キャパオーバー

チコ・・・4歳5ヶ月
チビ・・・1歳5ヶ月

昔から、ちいさい子どもが大好きだった。
幼児教育にも興味があった。

だから、ちいさい我が子はどちらも可愛くて仕方ないし、自分が彼らと一緒に過ごせる時間を好きなようにとれる生き方をできていて幸せだなとつくづく思う。

しかし、同時にキャパオーバーも毎日痛感している。
ちいさなちいさなことでチコへの怒りが爆発し、怒りをぐっとこらえて、いつの日からか私は毎日自分の頬の内側をぐっと噛みしめるようになった。
なんでこんなことでイライラが爆発するのだろう、と思う自分もいる。
でも、脳みそじゅうを怒りが駆け巡って、血管がふつふつと切れそうだなと思うくらい、はらわたが煮え繰り返る思いが生じるのを抑えられない。

なんでチビを寝かしつけている時に声をかけてくるの。
それはやめてほしいことを毎日毎日お話ししているじゃない。
寝かしつけも終盤、チビがようやくうとうと寝かけている時に、
「おかあさん」と声をかけてくる。
たとえ小声であっても私が「なあに」と返事をすれば、
チビは一気に覚醒して、立ち上がっておもちゃだなを指差して、
寝かしつけはまた振り出しに戻ることが目に見えている。
だからといって私が黙っていると…私が答えるまでなんども「おかあさん」「おかあさん」と声をかけつづけてくる。
だから、部屋の外で待っていてと言っているのに。大好きなお絵描きをしていたら?も、そんな時だけつうじない。
最近になって「おばけがでそうでこわいの」と言いはじめ、
すんなりとは部屋から出られなさそうな大量のおもちゃを両手に抱えて
寝かしつけをしている私の近くにやってくる。自分自身の気がむいた時に。
そして、「おかあさん、はやく行こうよ」と言いはじめる。

チコひとりだったら、おおらかに気にもとめないかもしれない。
チコのペースで、すべてやらせてあげるかもしれない。
チコに向き合って、穏やかな気持ちでひとつひとつのことをお話しし、
納得させて次に進めるかもしれない。

でも現実には、私はその瞬間、頭に血がのぼって怒りの塊になる。
「おかあさんの近くにいたい」「おかあさんに近くにいてほしい」
そう思う4歳は可愛いよ、と俯瞰した私が思う。
でも、どちらに転んでもほら、結局チビは覚醒し、
再度落ち着かせるために絵本を読んで付き合ってあげて、
立ち上がるのをなだめようとすると反り返って泣いて反抗し、
その脇でチコが「はやく行きたいよ」と言ってくる。
自分のせいだよ、キミが静かに寝かしつけに協力してくれたら、
結果として早くキミと一緒に外に出て、ずっとキミに付き合ってあげられたんだよ。
それを毎日説明しているつもりなのに、まったく伝わらない。
(だいたい、チビはこうやって数分後にはベッドに一人残されてセルフねんねさせられるけれど、キミは寝るまで付き合ってもらうんだよ…。)

言いたいことがたくさんあるのに、言葉が拙くて伝えられない幼い子どもが、もどかしくて手や足を出してしまう、とよく言われるけれど、
どんなに努力を尽くしても子どもに伝わらなくて、それをおおらかに許してあげられる余裕のない状況にある時の私も、思わず手を出したくなる。
バンバンと叩いて、私の気持ちをわかってよ、と伝えたくなる。
それをぐっと噛み締めて、最近私の頬の内側には、くっきりと痕が残っている。寝かしつけの時ばかりでなく、1日のなかの数え切れない場面で、度々それが起きるから。

チビはめちゃくちゃ手がかかるけれど、どんなに大変でもチビに対して怒りは沸き起こらない。
会話の通じる(と思えてしまう)相手に、聞いてもらえないことに怒りが生じているのだろうな。でも、相手は4歳だから、たまたまチコは会話が達者だから勘違いしてしまうけれど、理解してもらえなくて当然だよなあ。もし2人ともチビだったら、思うとおりにいかなくても、私は怒りは生じないのだろうか。
いや、「自分が思うとおりにいかない」ということが、私の怒りの原点なんだろうなあ。

チコもチビも可愛いけれど、現在の私という人間には、この2人を一緒に相手にすることが無理なのかも。いや、無理なのだろう。
「一緒にいる時間をできる限りとりたい」とか、「同じ月齢の2人を育てるあのお母さんはうまくできている」とか、「なんとかしたい」とか、
そんな自分の理想や思い込みを手放すことが必要なのではないかと、最近つくづく思う。
実感していないけれど、自分が当たり前だと思ってしまっている常識がたくさんあって、私はその中でがんじがらめになっている。
もうすこし時間をとって、ここに書き出しながら、私がこの2人との生活のなかで何を一番大切にしたいかを再度整理して、必要のないものをどんどん手放して、もっと理想に近づきながらストレスフリーになっていきたい。

毎日毎日、思うところが多くて試行錯誤の育児だからこそ、
そして一難去ってまた一難、前の悩みを乗り越えた頃には新しい壁と格闘することになって、去年はもちろん数ヶ月前に何をどんなに頑張っていたかなんてきれいさっぱり忘れてしまっている育児だからこそ、
できる限りその現実を書き留めていけたらな、と思う。


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