【英語無手勝流】月とスッポンではない

「ボキャブライダー」を聞いていたら、「apples and oranges」を「月とスッポン」のような意味だと言っていたが、全然ちがう。どちらも、「比べようがないもの」という意味で使われているが、「比べようがない」理由が違う。

「月とスッポン」は、「スッポンと比べるのは失礼なくらい月のほうが圧倒的に良い」という理由で「比べようがない」のだ。言い換えるなら、わざわざ比較するまでもないくらいはっきりと差がついているから「比べようがない」

一方の「apples and oranges」は、共通点は「丸い果物」だけで、そもそも違う種類の果物。「採点方法」に公平性を保てないので、言葉の意味通りで「比べようがない」のだ。

まあ、もしかしたら、英語話者には、applesは〔果物の女王〕で、orangesは〔果物の庶民〕みたいな認識があるのかもしれない。もしそうなら、「月とスッポン」と同じ意味になるけど、英文での使われ方を見るとそういう感じはない。「あの二人は月とスッポンぐらい違う」の「月とスッポン」は「優劣の強調」として使われているが、「We’re just comparing apples and oranges」の「apples and oranges」は「優劣をつけようとすることの無意味さ」を表すために使われているように見える。

(2024年8月26日 穴藤)

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