おっさんが操縦する青いモビルスーツと言えば

元々、『ポケットの中の戦争』の各モビルスーツは、『ガンダム』に登場したモビルスーツを「清書」しただけのものだったので(どこかで誰かが言っていた)、たとえ見た目や動きや性能や機能が違っているように見えても、想定時間より10分遅れていたサイクロプス隊のズゴックとゴッグは、レビル将軍が居たベルファスト基地を襲撃したズゴックやゴッグと「同じもの」であり、バーニィが初陣で撃墜されたザクは、ジーンが初陣のアムロに鼻をもがれたザクと「同じもの」であり、サイド6内で市街戦をやっていたリックドムは、三分も持たずに12機が撃墜されたリックドムと「同じもの」であり、サイド6の領空を侵犯しているゲルググは「大佐、邪魔です」と言われたゲルググと「同じもの(さすがにシャア専用機ではないだろうけど、エース専用機風ではある)」。それは連邦軍のモビルスーツにも言える。

ところが、ガンプラを売る都合か、レンタルビデオの回転数を上げる都合か、それとも、あとから「ファン」が勝手にいろいろ言い出したのかは知らないけれど、その『ガンダム』と「同じもの」だったはずの『ポケ戦』のモビルスーツが、なぜか全て「新型」とか「改良型」とか「実験機」とかにされて、今に至る。

いずれにせよ、『ポケ戦』に出てくるモビルスーツの「新型」は、アレックスとケンプファーだけ。けど、アレックスは、「シャア専用ザク」をガンダムでやった「アムロ専用ガンダム」という位置づけだから、まあ、要はガンダム。だから、ほんとうの意味での、ゼロからの「新型(新作)」は、ケンプファーだけなんだ、と、ずっと思っていた。

けど、今日気付いた。違う。

ケンプファー、これはもう、ベテランのおっさん(ミーシャ)が操縦する青いモビルスーツなんだから「グフ」に決まってる。ケンプファーを「グフ」と考えると、先に挙げた、ザク、ドム、ゲルググ、ズゴック、ゴッグと合わせて、『ガンダム』に登場した主要モビルスーツが勢揃いするので、この点でも間違いない(アッガイとか、ゾックとか、あと、ギャンとかモビルアーマーとかは、まあ、大河原さんのもう一つの大きな仕事である『タイムボカン』の系譜だし)。

『ポケ戦』に登場するモビルスーツは、『ガンダム』のモビルスーツの「清書版」であり「高解像度版」なので、目指しているのは「兵器機械としての迫真性の向上」。で、ザクとかドムとかゲルググとかズゴックとかは、まあ、原型をとどめたままでも、それらしくできた。ゴッグは、元々の「手足の生えた樽」ではどうにもならんと判断され(たのだと思う)、「変わり果てた」姿に変更された。しかし、その「どうにもならん」ゴッグ以上に、どうにもならんと思われたのがグフ(たぶん)。グフは、見た目がどうというよりも、その「性能」や「機能」が頭痛の種。何しろ、指先がバルカン砲になっていたり、普段どこに仕舞い込んでいるのか全くわからない極太電流ムチを振り回したりする、『マジンガー』や『ゲッター』的なお方だから。その結果が、完全renewalの「ケンプファー」。指バルカンは手持ちのshotgunに変更された。これは簡単。極太電流ムチ(heat rod)はどうしたかというと、truckのcontainerにあらかじめ隠しておいた「紐状に連なった爆弾」として「再現」された。アレックスの体に一瞬でまとわりついて、外装を破壊した、あの奇妙な「鎖爆弾(chain mine)」は、グフの「漫画武器(heat rod)」の「清書版」なのだ! とさっき気づいて、鼻息荒く、今これを書いている。という次第。

(2024年9月3日 穴藤)

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