わざわざ英文法をややこしくしている理由がよくわからない

(注:英語のネイティブたちが持っている「正解」については知りませんが、自分には英語がこのように「見える」ので、それを書きますよ。あと、文法用語は無手勝流ですよ)


【規則1】be動詞のあとにくるものは全て〔実態としては「形容詞」〕である。
(その「形容詞」を修飾している副詞などは、無論、その「形容詞」の一部とみなす)

よって、「be動詞+ing形」の進行形の「~ing」は、動詞から作られた「形容詞」であり、「be動詞+過去分詞」の受動態の「過去分詞」も、動詞から作られた「形容詞」である。両者の違いは、前者が「能動的」もしくは「進行中」の意味を持つものであり、後者が「受動的」もしくは「既に起きた」の意味を持つものであるという、ただそれだけのこと。更に言えば、be動詞のあとにくる「名詞」も、名詞から作られた「形容詞」。

今言った3つは、「役割/機能」としては、「幸せ」や「赤色」を表す一般的な形容詞となんら変わらない。だから、例えば、「He is happy.」と、「He is walking.」(所謂「現在進行形」)と、「He is fired.」(所謂「受動態」)、そして、「He is a teacher.」は、実質的に4つとも〔「形容詞」を伴ったbe動詞文〕にすぎない。

【規則2】一般動詞(be動詞以外の動詞)の後にくるものは全て、〔実態としては「名詞」〕である(その「名詞」を修飾している、形容詞や副詞などは、無論、その「名詞」の一部と見做す)。

よって、例えば、現在完了形とは、ただの「haveを用いた現在形」である。【規則1】では、過去分詞は、動詞から作られた(その動詞の意味を込められた)「形容詞」だったが、ここでの過去分詞は、動詞から作られた(その動詞の意味を込められた)「名詞」である。つまり、現在完了形の「正体」は、「過去分詞が表す〔過去に起きたこと/状況〕を現在所有している」という意味の、単なる「現在形」なのだ(同じ論法で、過去完了形の「正体」はただの「過去形」)。

この点に気づけば、複雑怪奇に思える様々な複合的表現(現在完了進行形、現在完了受動態など)の「正体」も、全て見破れる。

一つ例をあげれば、所謂「助動詞+現在完了形」は、普通の動詞として使われている「have」の前に助動詞(willやmayなど)が付いているだけなので、つまりは、ただの「助動詞文」。だから、例えば、「She will have a cat.」と「She will have gone there」は、文の構造としては同じもの。haveの後ろに、普通の名詞(cat)が来るか、動詞の過去分詞と呼ばれる〔或る状況を表す「名詞」〕が来るかの違い。名詞が来れば、「将来の時点(=will)でそれ(=名詞)を所有(=have)しているだろう」という意味になり、過去分詞が来れば、「将来の時点(=will)で、〔その時までに既に起きてしまった或る状況/事態〕(=過去分詞)を、所有(=have)しているだろう」という意味になるだけ。

ついでに言うなら、「完了形」絡みで生じる混乱の一番の原因は、その文の中心になっている動詞を見誤るため。例えば、

(a) She will go there.
(b) She will have gone there.

の二つの文章を見たときに、どちらの英文も中心となる動詞はgo (gone)だと「誤解」してしまう。しかし、違う。(a)の動詞は確かに「go」だが、(b)の動詞は「have」なのだ。ここでの過去分詞「gone」の「正体」は「動詞」ではなく、或る状況(その動詞から引き継がれた状況)を表す「名詞」である。上でも言ったように、(b)の英文を、超機械的に訳すなら「彼女は、〔行ってしまったという状況(=gone)〕を持つ(=have)ことになるだろう(=will)」となり、これが英語にあって、日本語には存在しない「完了形」の「からくり」。要するに、英語にも、実は「完了形」など存在しないのだ。あるのはただのhaveを使った現在形(hadなら過去形)だけ。

【規則3】過去形助動詞(wouldやcouldなど)を用いた「仮定法」は、ただの「過去形」である。

これは、日本語で考えてもわかること。日本語でも、「〜ということになっていたろうなあ(=would)」とか「〜は可能だったろうなあ(=could)」というときには、文字通りの意味と、実際にはそうはならなかったという含みを持たせた意味の、両方の意味に取ることができる。日本語の場合は、それがどちらを述べているものなのかの確率は五分五分で、文脈から判断するしか無いが、英語の場合は、圧倒的に「本当はそんな事は起きなかったんだけど」というつもりで用いられる言い回しだという、ただそれだけのこと。つまりこれは「過去形助動詞」を用いることに〔仮定法という独自の意味機能〕があるのではなく、「この言い回しはこのような意味で使われることが多いのでそのように理解したほうがいい」的なものなのだ。


【規則4】過去形助動詞を用いた丁寧表現は、ただの「過去形」。

これはオマケみたいなものだけど、不思議がる人がいるので書いておく。助動詞というのはどれも、話者の「心づもり」を表すものなので、これを過去形にすることで、暗に「今はそんなつもりはないですが、以前にそう思ったことがあったのです」というメッセージを送ることになるから、「丁寧」「控えめ」になる。日本語の側から見れば、これは、「丁寧」というよりも「持って回ったような言い方」に近い。

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