例えば「スプーン曲げ」を「科学的」に説明する最も安上がりな方法

例えば、「スプーン曲げ」(超能力)を「科学的」に説明する、最も安上がりな方法は、〔この世界が実は『マトリックス』だから〕と言ってしまうこと。『マトリックス』というのは、昔の映画の『マトリックス』のこと。要するに、現実世界だと思っているこの世界は、実はコンピュータが構築した仮想現実で、そこで起きる「超能力現象」や「超常現象」は、全て、プログラム上のエラーの類という「説明」。

この説明が「科学的」な理由は、〔指で擦っているだけでスプーンが曲がる〕のに、既知の物理法則を破る必要がないから。

しかし、この説明には、〔マトリックス=仮想現実〕の外の「現実の世界」では超能力は存在しないという主張も含まれている。つまり、「超能力」に「超」の字が付いている理由は、それが既知の物理法則を「超」えているように見えるからだが、「超能力」はそもそも物理法則に関わる現象ではない、というのが「マトリックス説」の主張だから。

喩えるなら、「なんで豚が空を飛んでるの?」「それは絵に描かれた豚で、飛んでいるように見えるのは、画家の描き損じだよ」というやり取りと同じ。

でも、それはいい。かまわない。なぜなら、こちとら、「本物」の超能力や、「本物」の霊能力よりも、種も仕掛けもある、手品師の知恵と技術の方が圧倒的かつ絶対的に素晴らしいに決まってるという立場の側の人間なので。

「マトリックス説」が安上がりなもう一つの理由は、「マトリックス説」輒ち、古典的には「水槽の中の脳」説は、「一休さんのとんち」みたいなもので、とりあえず、反証も立証もできないから。



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