性被害のツイートをするとどうなるか。
こんにちは、あんなです。久しぶりにnoteを書きます。
今回は、4月30日に私がしたツイートに対する反応について書かせて頂きたいです。
ツイートの趣旨、想定していた反応、想定していなかった反応、色々と思うことがあったので、目を通していただけると幸いです。
はじめに
4月30日の午後9時半頃、私は以下のツイートをしました。
これは、親方ちゃんさん( @kyunoyakatachan )さんのツイートにインスパイアされたものでした。
女性であれば、多くの方が何かしらの性的被害にあっているという実態。
アメリカの調査では、8割以上の女性は何かしらのセクシャルハラスメントを経験しているという結果が出ました。私が陳列した経験は、何も珍しいものではなく、私の周りの女性たちも、その多くが経験したことのある内容です。日本国内でも数字はほぼ同じです。ふわりさん(@huwari333)が取ってくださったオンラインアンケートでも8割という数字が出ました。他にも、未成年の時に性的嫌がらせを経験したことがあるか、という16万票以上集めたアンケートでも、8割が「ある」と答えました。この「8割」という数字は、この問題を考える上で柱となる数字です。
(未成年での性被害の経験「あり」 Twitterアンケートで10万票を超え 今なお拡散中)
上記米国の調査では、3割以上の被害者女性はうつ病等何かしらの心の問題を持っているという結果も出ました。それに対して、加害者に立ち向かった女性は全体の1%未満です。
もちろん、男性も性的な被害を受けてしまった方はいます。ですが、性加害の主な被害者は女性です。その実態を把握することは難しいですが、例えばレイプ被害者の9割は女性です。女性に対する加害者の割合は4%が女性で96%が男性、男性(残りの1割)に対する加害者の割合は28%が女性で72%が男性でした。このことから、男性の被害者のケースを含めても、男性が主な加害者であることがわかります。性加害は男性の犯罪なのです。
(→The Understudied Female Perpetrator )
ツイートの趣旨
私のツイートには以下の趣旨がありました。
1. 同じく性被害に遭ってしまった方に対して:
あなたは一人でないと寄り添うこと
声をあげても良いのだと示すこと
声をあげることができなくても、代わりに声をあげている人がいるから大丈夫だよ、と安心してもらうこと
2. 男性に対して:
世の中の女性が思っている以上に性的な被害にあっていることを認識してもらうこと
もし自分に思い当たる節があるなら改めてもらうこと
今後、女性に対して不適切な行為をしてしまいそうになった時、思いとどまるきっかけを作ること
これを機に、性被害・性加害について考えてもらうこと
ツイッターでも度々話題に上がりますが、世界は男性と女性とで見えている世界が全然違います。(私のツイートに対する反応からも確信できました。)
このツイートを通じて、少しでもそのギャップを埋めたいと思っていました。実際、「そんなにひどいものだとは知らなかった」と言ってくださった男性もいらっしゃいました。それだけで、私はツイートをしてよかったと思っています。
しかし、やはり多くの男性からは批判的・暴力的なリプライ・引用リツートが送られてきました。それを以下分析していきたいと思います。
セカンドレイプする男性たち
もう一度、私のツイートの内容を振り返りたいと思います。私がツイートで述べた過去の性被害は以下の通りです。
・無理矢理キスされる。
・尻を触られる。
・胸を揉まれる。
・抱きつかれる。
・好意を断ると逆切れして暴言を吐かれる。
・既読無視してるのに何ヶ月も毎日のようにLINEがくる。
・無理矢理ホテルに連れ込まれそうになる。
・教えていないのに自宅の前に現れる。
私があげた被害は全て過去のものです。現在進行形ではありません。
これらの被害がいつ(時期・年齢)あったのか、それに対して私がどういった対応を取ったのか、相手が知人なのか見知らぬ男性なのか、事件のディテールは全く書かれていないことに着目しながら以下の反応をお読みください。
① クソバイス
「警察に行った方がいいですよ」
「弁護士を雇いましょう」
「ラインをブロックしましょう」
「護身術を習いましょう」
ドヤ顔で不毛なアドバイスを送ってくる人が一番多かったかと思います。彼らは、実際に私が警察に行ったか、弁護士を雇ったか、護身術を習ったか、ラインをブロックできる状態にあったか、全く知らないにも関わらず、ヒーローのマントをフリフリしながらやってきました。
正直、ここまでの数の男性が御呼びでない提案をするとは思っておらず、驚きました。
複数のアドバイスリプライを読んでいるうちに、私はこれがマンスプレイニングの一種であることに気付きました。
マンスプレイニング:男性について使う言葉。(通常は女性に話しかけている時に)必要もないのに、横柄だったり、相手を見下していたりするようなそぶりでものごとを説明すること。とりわけ保護者ぶっていたり、男性優越主義的な態度を示していたりすると思われるような口ぶりの時に使う。
(オックスフォード英語辞典)
「つまり、相手の女性が既に知っていたり、説明してもらう必要がないと思っていたりするのに、男性が偉そうに説明をするのが「マンスプレイニング」だ。とくに女性の健康とか、性差別とか、女性のほうがよく知っている可能性が高そうなことについて上から目線で男性が話す時や、相手が専門的知識を持っているのに自分の知識を無意識にひけらかそうとして話す際によくこの言葉が使われる。」と、武蔵野大学の北村紗衣准教授( @Cristoforou )はおっしゃります。
(『男たちはなぜ「上から目線の説教癖」を指摘されるとうろたえるのか』)
まず、最初のツイートの文脈からして、私はアドバイスを全く求めていません。
私のツイートの趣旨を再度振り返っていただくとわかると思います。それに、私にアドバイスを送ってきた方達は性犯罪に対する知識があるような方々ではなく、アドバイスたちはどれも浅はかで無用なものばかりでした。私が上げた被害は全て過去のもの(中には十年以上前のものも)あるので、これらのアドバイスは全くためになりませんね。
例えば、「警察に行ったら?」という人。彼らは上記のような性被害で日本の警察に行っても事件化が困難である現状を知らないということがわかります。性被害のほとんどが友人や親族など知人によって行われる(警察に行くことを躊躇するような間柄)こともおそらく知らないのでしょう。
(無理やり性交されたと答えた女性のうち、その半分は配偶者・パートナーからの被害でした。→13人に1人」が無理やり性交された経験 なぜか知られていない内閣府調査の衝撃)
私自身、過去に警察に二度相談したことがありますが、うち一回は真剣に対応して頂いたものの犯人逮捕に至らず、もう一度はこれは事件にはならないと言われ門前払いでした。友人が性被害にあった際、付き添って警察署に出向きましたが、その時も対応はとても良いものとは言えませんでした。
こういった実情を知らないにも関わらず、「警察に行ったら?」という時点で、彼らが性被害に対してアドバイスをすべき人材ではないということがわかります。
これらのツイートは、「相手の女性(私)が既に知っていたり、説明してもらう必要がないと思っていたりするのに、男性が偉そうに」アドバイスしてきた、マンスプレイニングに当たります。
とてもじゃありませんが、性被害にあった人に対する「真摯な」アドバイスには見えませんよね。
それに、警察に行く・弁護士に相談する等、被害者が思いつかないと思っているんですか?バカにするのもいい加減にしてください。性被害に遭った女性と、性被害のせの字も知らないあなたと、どちらの方がこの件に関して詳しいと思いますか?
やめましょう。うざいです。やめましょう。
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あまりにもドヤ顔ヒーローが多かったので、私は思わず以下のツイートをしました。
このツイート後も似たようなリプライが止まりません。
単に私のツイートを無視した、と考えることもできますが、おそらく読んでいないのでしょう。このツイートは元のツイートにツリーとしてぶら下がっています。ということは、彼らはツリーを全て読むこともなくアドバイスをしてきたということになります。つまり、私の状況をよく知る気もなく、アドバイスは真摯なものではないのです。
そして、このツイートによって現れた次のグループが、トーンポリスたちです。
トーンポリシングとは:
差別や抑圧が問題になっていて、その被害を受けている人たちが声を上げる際に、訴えの内容そのものではなく、話し方や言葉づかい、態度を批判することで、論点をずらす行為のことをいう。
(トーンポリシングの意味は何か?「保育園落ちた日本死ね」等シチュエーション別に解説)
「せっかくアドバイスしてるのにその態度はなんだ!」
「真摯にアドバイスしてる相手に無礼だ。」
「どうして素直にありがとうが言えないんだ。」
彼らはまず、「アドバイスしてくれている人」が二次被害を生んでいることに気付いていません。「アドバイスしないでくれ」と言ったあとにもアドバイスをやめないことにも気付いていません。繰り返しになってしまいますが、私が列挙した被害は過去のものです。それに対して上記のアドバイスをするということは、不毛であると同時に、それをしなかった被害者を間接的に責めてしまう結果となります。
「あの時警察に行かなかった私が悪い。」
「護身術を習ってたら、あの時あんな思いをしなくてよかったのかも。」
「なんであの人を信頼しちゃったんだろう。」
性被害者はただでさえ自責の念に駆られます。「あの時もっとこうすれば…」とフラッシュバックのように思いがこみ上げてきます。そのような気持ちになってしまった被害者が「やめてください」と言うと、「どうして感謝できないんだ!俺様がアドバイスしてやってるのに!」と返ってくる。
やはり、真摯でないことがわかります。
中には、私の「態度」によって性被害が自業自得だと言い出す人まで現れました。
これらのアドバイスの裏には、「俺はこいつよりも物事を知っている」という性差別と、見ず知らずの女性に「感謝されたい」というナルシシズムが垣間見えます。くどいようですが、本当に私のことを心配してくれているようなアドバイスではないのです。それに対して、「感謝しろ」と言うのがどれだけ馬鹿げているか、そして性差別を助長しかねないか。
性被害者にまでも、「偉いね、すごいね、ありがとうね」と言われたいという気持ちはどこからくるのでしょうか。
ーーー
追記(2020年5月4日 8:17 am)
「アドバイスを考えたいのは、男性は解決策を考えたいからだよ!」「男性脳だからしょうがない。」と言う方々がいましたが、残念。それは間違った情報です。
脳科学上、男性脳・女性脳というものは確かに存在しますが、生活の上で顕著に性格・思考に変化が生じる様な特徴があることは証明されていません。
(図形の読み方等に違いが現れると言われています。)
この様なデマが浸透してしまった理由を、ネイチャー誌は"Neurosexism"と呼んでいます。直訳すると脳科学的性差別です。「男性脳だから!」というのはやめましょう。
→「男脳」「女脳」のウソはなぜ、拡散するのか
→【nature】Neurosexism: the myth that men and women have different brains
② 「モテますね」 「魅力的なんですね」
性被害に遭うことと、「モテる」ことは全然違います。そもそもこの文を打たなければならないことに心を痛めています。
強制わいせつの被疑者553名を対象とした被害者選定理由の調査を行ったところ、以下の結果が出ました。
「おとなしそうに見えた」48%
「1人で歩いていた」32%
「警察に届け出ることはないと思った」30%
「弱そうな感じがした」24%
「警察に捕まるようなことではないと思った」21%
「挑発的な服装」6%
(性暴力被害の実態と刑事裁判より)
被害者の美しさが犯行動機となるものはほぼ無いに等しいのです。
それにも関わらず、被害者に対して「魅力的なんですね」というような言葉を投げかけるのは立派なセカンドレイプです。
人としての好意(モテ)と性加害は全く関係ありません。「性欲という点で一致する」と言い出す人もいますが、これも違います。性加害の多くは、性欲ではなく加害欲・支配欲・ミソジニズム(女性に対するコンプレックス)からきます。
(そして、「モテ」も性欲からくるべきものではありません。)
日本初の社会内での性犯罪再発防止プログラムを実践している榎本クリニック・精神保健福祉部長でもあり、『男が痴漢になる理由』の筆者である、斉藤章佳氏は以下のように説明しています。
「加害者のヒアリングで浮かび上がってきたのが、『自分より弱い存在を支配したい』『征服したい』『じわじわいじめることで優越感を味わいたい』という声でした。
痴漢という性犯罪の本質は、"支配欲"です。性欲を発散するだけなら方法はいくらでもあるのに、性暴力を介してそれを遂げようとするのは、「相手を自分の思い通りにしたい」という支配欲がベースになっているから。そして、彼らにとって痴漢行為はストレスへのコーピング(対処行動)なんです。」
(「男が痴漢になる理由」なぜ女性も知っておくべきなのか。満員電車でくり返される性暴力)
斉藤氏が行った200名を超える加害者に聞き取り調査によると、過半数が「痴漢の行為中に勃起していない」と回答しています。
被害者にモテるという現象は、父親に痴漢に遭ったと相談したら「女として認められた証だ!よかったな!」と言われた、というツイートによく現れていると思います。
本人が承諾していない性的なアプローチは全て不快です。犯罪でなければ、ハラスメントに当たります。
人格に魅力を感じられるのではなく、肉欲的(支配欲的)に求められることは「モテ」でもないし嬉しくもありません。
性被害に遭った方に「モテるんだね!」ということは一切やめてください。
③名誉男性たち
名誉男性の出現は想定していない反応の一つでした。
これは、女性が、「私は女だけど、こんな被害にあったことない!きっとこの人に隙があるんだと思うー。」と言うように、女性という立場から私のツイートを否定する方達です。
冒頭でも述べたように、多くの女性は何かしらの性的被害に遭っています。
この方たちが被害に遭っていないことは本当に良かった、と心から思います(被害に遭ったことに気付けていない可能性も大いにありますが)。
しかし、それを「被害に遭った」というツイートに対してリプライをすると言うことは、本来の問題定義を弱小化する可能性があります。
もちろん、「私は性被害に遭ったことがありません」という方よりも、そういった経験があると告白してくださる方のが圧倒的に多かったです。
しかし、こういった発言一つで、「それみろ、お前たちがおかしいんだ。何もされていない女性もいるんだから、お前たちに非があるんだ。」という男性が出てきてしまいます。
ーーー
名誉男性の中には顔面マウント、とまで言ってくる女性もいました。
彼女たち以外にも、「私はモテないのでこういった経験はないです。」と言うようなお返事をする方もいました。
上記の「モテますね」の欄でも説明しましたが、このような解釈はナンセンスです。繰り返しますが、外見の美しさと性加害は関係ないのです。
実際、後述しますが、こういった被害があることを「嘘」だと思っている男性はたくさんいます。
あなたが被害に遭ったことがなくて本当に良かった。ですが、それを報告することによって実際に被害に遭った人間の声を消し去ってしまいます。
あと、性被害に遭うことが "女として認められている"と本気で思っているんだとしたらそれはなんと恐ろしいことなんでしょう。そんな馬鹿らしいことを言うのはやめてください。
機会があれば、周りの女性とこういった話をしてみてください。あなた自身には経験がなくとも、意外と身近に被害者はいます。そして、こんな恐ろしいことは言いたくありませんが、あなたが今後性被害に遭ってしまう可能性もあります。
家族や友人、そして未来の自分のためにも、そういった発言は控えましょう。
④「嘘つけ」
これも、想定していませんでした。なぜなら、こんな嘘をつくメリットが私にないからです。ご覧の通り、散々クソリプに悩んでいます。
どうしてここまで私のツイートが嘘(であってほしい)と主張する人が多いのか不思議になり、皆さんに聞いたほどです。
私が告発することによって(性被害に対する告発者が出現することによって)、彼らが抱く幻想や世界観が崩れてしまうのかもしれない。
本当に男女で見えている世界が違いすぎて、事実がフィクションにしか思えないのかもしれない。
単にフェミニストが気に入らずに嫌がらせしているのかもしれない。
本当にこの世に性被害が横行していないと本気で思っているのかもしれない。
理由はなんであれ、性被害を信じることができない・その事実を直視することを拒むこの反応は、性被害に対する社会の対応の根っこのような気がします。報道等で強制わいせつ・強制性交の事件を目にしても、あくまでスクリーンの裏側の話であり、自分には関係ない。しかし、13人に1人の女性は「無理やり性交された経験」があり、8割の女性は何かしらのセクハラを経験している。それは揺るぎない事実なのです。それから目を背けるから、なかなかこれが身近な問題をして扱われずに改善がなされないのです。
(→13人に1人」が無理やり性交された経験 なぜか知られていない内閣府調査の衝撃)
性被害者に対して「嘘だろ」というのはセカンドレイプです。元のツイートのリプライに、「性被害に遭ったと告白しても信じてもらえなかった・からかわれた」と送ってくださる方は多数いました。私は幸い自分の被害を告白して、友人や家族にその真意を問われたことはありませんが、もし疑われていたら、本当に心がもたなかったと思います。
こうしたツイートを見ることによって、実際に被害者たちは「あ、やっぱり信じてもらえないんだ。」と思って口を噤んでしまう可能性があります。より心に深く傷を負う可能性があります。
彼らに嘘ではない旨を伝えると、今度は「どんな被害だったか説明してみろ」という論調に変わりました。
彼らは、性被害者に対して「俺様を説得させてみろ」という有害な態度をとります。こちらがいくら丁寧に説明しても、嘘だ・そんなことはあり得ない、と初めから聞く気は無いのです。そもそも、性被害者に対して「嘘だ」と平気で言える人に対して、説明をする義務などありません。
第三者に対して被害の詳細を説明をしなくても、被害があった事実は変わりません。逆に、彼らには説明を求める権利は無いのです。
100歩譲って、未だに事実を受け入れられず嘘だと思うならそれで結構。けれども、それを声に出したり、一番最悪なのが被害者に直接伝えることなど言語両断。絶対にやめてください。
追記:(2020年6月11日 18:00)
この方のように、本当は理解する気がないのに、質問を投げかけて相手を疲弊させる行為を『シーライオニング』と言います。
⑤ 「どうしてそんなことがおこるんですか?」
こっちが知りたいよ!!と叫びたくなりますが、ここは冷静に。
こういった方は被害者側に何かしら非・理由があることを求めているようですが、繰り返します。被害者に非はありません。理由は全て加害者にあります。
ここまで読んでくださった方は、これまでの資料やデータを合わせればなんとなく理由はわかるのではないでしょうか。
根底にあるのは男尊女卑・女性蔑視的価値観です。
女性に対する支配欲・加害欲。
『男が痴漢になる理由』の筆者、斉藤章佳氏によると、中には手帳に痴漢のノルマを課し、正の字を書いていた加害者もいたそう。
ホモソサエティの観点もあると思います。斉藤氏のヒアリングの中では、「痴漢同士が情報交換したり成功体験を自慢し合ったりする掲示板サイトがあるのですが、そこに書き込んで評価されることで、間接的な報酬効果となり問題行動が強化されていたというケース」もあったそう。
本当に理由が知りたい方は心理学をお勉強されたら良いと思います。
問題は、被害者に「どうして被害にあったと思いますか?」と問うことです。彼女たちに理由はありません。いくら聞いても何も出てきません。
「電車に乗っていたから。」
「飲み会に参加したから。」
「彼氏を信じていたから。」
これらは性被害に遭う理由では無いです。彼女たちは、ただ生活していただけなのです。
被害者に「どうしてそんなことが起きたと思う?」と聞くのはセカンドレイプです。それに不毛です。
その質問は加害者男性に向けてください。
⑥「俺も女に同じことされた!」
まずはじめに、男性ももちろん性被害に遭っていますし、それを否定するつもりは全くありません。女性の性被害と同様に、問題として取り上げられるべきです。
しかし、私が頂いたリプライの中には、真剣な被害の告白ではなく、性被害をバカにするような、「それくらい俺だって経験あるし女だってするじゃん。」というような態度のものがありました。
男性がこのように「俺は女にされたことあるww」というのは、本当に性被害を受けてしまった男性が、さらに声をあげられなくなってしまいます。
男性が女性に受けた性被害というのは、とてもスティグマティックです。
男性に求められている「男らしさ」等から、なかなか言い出せないのが現状です。
「無理やり性交された」と真剣に告白しても、「ラッキーじゃん!」と重く受け止められない。しかし、ラッキーなんかでは全くなく、不快であり恐ろしい経験であることには変わりありません。
(男性が男性によって受けた性被害も、社会のスティグマから話すこと・受け入れることが困難なものです。)
女性の性被害をバカにしているつもりでも、このような発言は男性の声をも奪う行為です。やめてください。
⑦ 右翼・差別主義者
これについては、私のツイートと無関係なのであまり言及しませんが、どうやら「日本は安全な国なんかじゃない」の部分に激昂したようです。
中には、加害者が日本人じゃない(韓国人だ)という人もいました。
加害者男性は世界中どの国にもいますよ、日本も例外ではありませんよー。
⑧ 謎の謝罪
私は長らく、この「男として謝ります!」発言にモヤモヤしていました。
「同じ男として謝ります」と言われて、怒りが収まった女性はいるのだろうか。
このモヤモヤの理由をいくつか言葉にしてみます。
・心から申し訳無いとは思っていないのに、ただ被害者女性に媚びて、「ありがと
うございます。」「あなたはそんな人じゃないですよ。」と言われたいだけ。
出た、ヒーローのマントフリフリしたい系男子。
・そもそもどうして加害者男性と「同じ男性」という立場に立つのか。
ノットオールメンという割には、自分からオールメンの枠に入っていってる。
・ごめんなさいという割には、身近の男性の女性軽視的発言を指摘しない。
このような違和感だと思います。
それに、もれなくセットで言われる「男ってバカな生き物なんですよ。」というレトリックは有害でしかありません。
「男はバカだから」
「男はやんちゃだから」
この言葉のせいで女性は数々の男性による加害を許してきました。
学校でのスカートめくりから始まり、しまいにはおじさんからのセクハラまで「男はバカだから」で片付けられてしまう。ですが、これらの「男のバカな戯れごと」は立派な性被害です。
「男はバカだから」と女性に許す負担を強いるのはもう通用しません。
この言葉を使うことはやめてください。
本当に「申し訳ない」と思っているのならば、女性に「同じ男としてごめんなさい」なんてバカなことを言うのはやめ、自分の周りの有害な男性に「加害はやめろ」と指摘していきましょう。
⑨ その他のコメント
もちろん、クソリプは上記にまとめきれないものもたくさんありました。
謎の応援。
謎の同情。
謎の父性。
謎の語る資格委員会会長。
「男がみんなそう」とは一言も言っていない。
そうだったんです。
謎の命令。(お互い様…?)
謎の許可。(既に怒ってる。)
謎の被害者女性責め。
これらは全て、女性の性被害の告白に対する返事だということを、もう一度思い出してください。
これらよりも酷いものももちろんたくさんありました。「やめてください」と言っても、やめない人がほとんどでした。
私が感じたこと
私は、自分がツイートした内容の性被害に対して、自分が把握している限り今にも続くトラウマは抱えていません。それでも、大量に送られてくる心無いリプライに疲弊しました。心無い言葉に涙が出そうになったこともありました。「やめてください!」と叫んでも、今度は「態度が悪い」と叩かれる。終わりの無い批判。
普段は夜中まで起きている私ですが、この日は9時ごろに寝床に着きました。
それくらい、クソリプを読むだけでも体力が奪われることなんだと、今回の経験を通じて学びました。
「自分は大丈夫」と思っていた私でさえこんなにも疲れてしまうということは、
まだまだトラウマや不安を抱えている人が自分の経験を告白したらどうなってしまうんだろう、と背筋が冷たくなりました。
もちろん全てのクソリプに悪意があったわけではありません。ただの無知や、むしろ善意のものもありました(不適切であることには変わりありません)。
しかし、「セカンドレイプ」とはまさにそうで、クソリプは性被害とはまた別の傷を作ります。そのツイートを送る前に、その言葉が相手にとってどういう意味を持つのか、一度考えてから送ってください。
自ら性被害者と関わりに行くのであれば、普通の会話よりも丁寧なコミュニケーションが必要です。あなたが何を言いたいのかではなく、相手がどう受け取るのかに重きを置きましょう。
そのように指摘をすると、「ツイッターなんだからそれぐらい想定してるだろ。」のような返事をする人がいました。
人とコミュニケーションをとるときに(ツイッターの場合、私の独り言に勝手に文句をつけてきているわけですが)、そこまで低く見積もって想定すべきなのでしょうか。私はそうは思いません。
スクリーン越しの相手が生身の人間だということを忘れてしまっている方が多いです。
元KARAのク・ハラさんが命を落とされたのは記憶に新しいです。彼女が自らの命を絶ったのも、SNS上のセカンドレイプが一因だとされています。何気なくストレス発散のためにはなったその言葉が、誰かの最後の一撃になるかもしれません。
リアルでもツイッターでも、言って良いことと悪いことがあるという当たり前のことを再確認してください。
(「雑巾みたい」と煽られ…ク・ハラ、ソルリ自殺に見る、韓国芸能界が女性に強いる"矛盾")
でも、ツイートしてよかった。
とっても長くなってしまいましたが(汗)、ここで私がツイートした趣旨をもう一度振り返りたいと思います。
1. 同じく性被害に遭ってしまった方に対して:
あなたは一人でないと寄り添うこと
声をあげても良いのだと示すこと
声をあげることができなくても、代わりに声をあげている人がいるから大丈夫だよ、と安心してもらうこと
2. 男性に対して:
世の中の女性が思っている以上に性的な被害にあっていることを認識してもらうこと
もし自分に思い当たる節があるなら改めてもらうこと
今後、女性に対して不適切な行為をしてしまいそうになった時、思いとどまるきっかけを作ること
これを機に、性被害・性加害について考えてもらうこと
ツイートを通じて、たくさんの女性に「私も同じような経験をした」と言っていただきました。
友人が被害にあったらどうすれば良いかと聞いてくれた高校生もいました。
「こんなに酷かったんですね」と男性の方に言っていただくこともできました。
「自分が経験したことが性被害だったと気づくことができた」と言ってくれた方もいました。
クソリプ対応は大変でしたが、それを超える数の方々から嬉しいリプライをいただいて、ツイートをして本当によかったと思えました。
性被害はなかなかオープンに話される話題ではありません。なので、当事者以外の人からしたらどこか遠い世界のことのように聞こえてしまうのかもしれません。
しかし、実際にはむしろ被害経験がない女性の方が少ない。
あなたに見えていないだけで、あなたのすぐ近くにいる人が実は被害にあっている可能性の方が高いのです。
そのことを少しでも認識できる方がいたのなら、それで私は満足です。
あなたができること
さて、我々は今後、この性被害者・女性への抑圧を改善するためにはSNS上でどうしていけば良いでしょう。
1. ダメなものにはダメという。
もしあなたの周りで女性に対して蔑視的な発言をする人がいたり、性被害者にセカンドレイプをする人がいたのなら、傍観者にならず、ちゃんと「やめろ」と言いましょう。
私に対して飛んでくる多くのクソリプに対して、「それはセカンドレイプだ、やめろ」と仰ってくださった方が多数おられました。私は、彼らの言葉に本当に救われました。一人で戦っているのではないのだな、と確信することができたからです。
クソリプを飛ばしてくる人の殆どは男性です。彼らは、そもそも女性を軽視しているからクソリプを飛ばしています。悲しきかな、女性がいくら正論で立ち向かっても差別的発言を重ねられ、女性が疲弊してしまいます。男性の言葉の方が彼らは素直に聞く(ダメージが大きい)のです。
男性の方々、傍観せずに、加害男性にちゃんと「やめろ」と叱りましょう。
これは女性だけの戦いではありません。
女対男ではなく、社会対加害者なのです。
8割の女性は男性からの加害経験がある。「俺は違う」と言っても、彼女たちは判別することはできません。警戒し、距離を取るでしょう。
男性が加害者男性をしっかりと根絶しない限り、自らをも「加害者なのではないか」と疑われてしまいます。
ナットオールメンを主張するならば、女性に向かって「男性が全員そうではない!」という前に、加害をしている男性に「加害をやめろ!」と言ってください。自分が、そこに含まれないことを証明してください。
2. クソバイスはしない!
あなたが性犯罪のスペシャリストでない限り、性被害に遭った人に対するアドバイスが彼女にとって使えるものである確率ほぼ0に等しいです。
クソバイスがいかにクソかということはもう既に説明したので控えます。
「〇〇したほうが良いのでは?」という文面のツイートを送る前に、一度それがクソバイスでないかどうか確認しましょう。
「困っています。どうすればよいですか?」というツイートに対する返事でないのなら、それはおそらくクソバイスです。やめましょう。
3. 今こそ「フェミニスト」を名乗ろう。
「フェミニズム」とはなんですか、と問われた時に、あなたはどう答えますか?
女性の権利を訴える思想だと言う方が多いかと思いますが、その説明では不完全です。なんだか、日本語に直された時に偏った意味合いで広がってしまったように思います。
フェミニズムの語源である英語の辞書、Merriam-Websterを引いてみると、以下のように書いてあります。
Equality of the sexes とありますね。すなわち、性別の平等です。
思想としては、女性の選挙権の運動から始まったので、「フェミ」という単語が入っていますが、今ではフェミニズムは全ての性別の平等を歌う思想です。
よく女性の権利を主張するような内容のツイートでも、「私はフェミニストではありませんが」と枕詞を置く方がいます。それは、実はとても矛盾していることなのです。女性も男性と同じ権利を持つべきだと信じてらっしゃるのなら、あなたはフェミニストなのです。
フェミニズムを歌うことは男性にとっても有益です。
「男ばかり稼げと言われる。」「男は大変なんだ!」そう思うあなたこそ、フェミニストを名乗り、その男性性の呪縛から逃れるために尽力しませんか。
たまにフェミニストは女性しかなれないと思っている方がおられるようですが、そんなことは全くありません。男性だってもちろんフェミニストになれます。
海外では数多くの男性がフェミニストを名乗っています。
例えば(500)日のサマーのジョセフ・ゴードン・レヴィットもその一人です。
是非SNSのプロフィールにフェミニストと書いてください。
それが難しいようであれば、機会があれば「フェミニストです。」と言うようにしてください。
それも難しいようであれば、「私はフェミニストではありませんが」と言うのはやめましょう。
ーーー
このnoteを書き始めた時、まさかこんなに長くなってしまうとは思いませんでした。最後まで目を通していただいてありがとうございました。
今後、性被害者被害のみならず、女性差別が少しでも早く無くなりますように。
ではみなさん、どうかご自愛ください。ありがとうございました。
ーーー
追記(2020年5月4日 7:43 am)
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