友人が友人でなくなる瞬間

私には小学校の時からの親友Mがいました。Mとは放課後アイス食べたり、図書館で一緒に勉強したり、休日遊んだり、本当に仲が良かったと思います。

私が受験したこともあり、中学は別々になってしまいましたが、疎遠にはなったものの文通もしていましたし、年賀状は毎年送りあっていました。

そして高校を卒業する間近になって彼女から連絡があり、一緒に食事でもしようということでした。

彼女と約束した当日、私は彼女と約束した時間の15分前には現地に到着していたと思います。私は10分前行動を常に心がけていて、他者に迷惑かけない、他者の時間を尊重する、それが当たり前だと思っていました。

ですが、彼女は約束した時間から30分くらい過ぎても彼女は来ませんでした。

私がメールすると、「寝坊したから遅れる」とのことでした。この時点で誠実さや、マナーに欠けると苛立ちを覚えましたが、交通費も結構高かったので帰ろうとまでは思いませんでした。

そしてやおら彼女が現れました。ごめんの一言もありません。そして彼女は何より外見が変わっていました。派手なタイプの子ではなかったのですがメイクはバッチリして、寝坊していたとは思えません。なんといえば良いのかもう目つきが違いました。人を見下すような目つきになっていました。

「私、彼氏出来たんだ。」

彼女が約束の時間に遅れてきて一番はじめに言った言葉でした。レストランの中でも彼女は携帯の画面しか見てなかったですし、彼氏と電話したり、口を開けば彼氏の話ばかり。彼女は、私とろくに会話する様子でもありませんでした。彼女いわく高校は特進クラスで一流大学を受験するとのことでしたが、(実際に入ったらしい)正直、どんなに頭が良くても人間力に欠けると思いました。彼女は、なんだかとても遠くに行ってしまったと感じその日以来、私はもう二度と彼女と会ったり連絡もすることはありませんでした。 

友達が友達でなくなる瞬間。終始彼女は、(理由は分かりませんが)私を馬鹿にするような態度でした。私だけではなく彼女の言葉の端々から他者を馬鹿にするような発言があり、彼女の中にある何か大切なものが失われたとはっきり感じました。

昔は彼女と一緒にいると楽しかったし、何でも話し合える仲だったのにまるで別人になってしまったのがショックでした。

人間は成長する過程で色んなことを学び、経験し、その人にしか出せないオリジナルの個性が構築されていく。でもその過程で大切なものが失われることもある。それは残念なことだけど仕方ない。大人になると色々失望することもあるけど新たな出会いもある。失われた友情は取り戻せないけど彼女との苦い思い出が、今後の新たな出会いに期待したいと思うきっかけになりました。