ちょっと東京にいってきます
窓を覗くときれいな空と山が見える。
本日は北海道の翼 AIRDOからお届け。
つい先ほど私の大切な3人が空港まで見送りしてくれた。zoomでも会えるし6月も函館に来るからって何にも寂しくなくて、涙さえ流さなかった。あんまり実感がないな〜、本当に自分今から東京に行くのかな〜なんてボーッとしている。
もうすぐCAさんがワゴンと一緒に「飲み物いかがですか?」と聞きにきてくれる。私は決まってリンゴジュースと答えると決めている。
私は、さっきもらったみんなからのお手紙を
おもむろにショルダーバックから取り出して読むことにした。
え......涙が止まらない.....
ちょっと函館を離れて、ちょっと勉強しに行くだけなのに、
たった、たったそれだけなのに、涙が溢れるのはなんでだろう。
6年前、どこでもいいから遠くに行きたくて
修学旅行が北海道札幌市だったから、「じゃあ、ここで」って適当に決めた大学。
テレビ塔かと思ったら五稜郭タワーで、
大通り公園かと思ったら大門グリーンベルトだったりして
函館と札幌は思っていたより遠くて唖然とした。
そんな中、あの有名な五稜郭公園で花見よりも羊の肉を焼いて喜ぶ函館市民を見て、顎が外れそうになった大学1年生の春のことを思い出した。
もう少しで桜が函館に咲くらしい。
そんな私はもう桜が散った東京に行くらしい。
人口は北海道の何倍かな。
面積は北海道の何十分の1かな。
そんなことを考えながら温かいスープをすすっています。
(直前でりんごジュースの気分じゃなくなりました....)
全てのことに興味があって、呼ばれたらなんでも顔を出していた私。
何がしたいかわからなくて、啄木公園まで自転車で行って、海に向かって石を投げる私。
たまたま弁天町の古民家を紹介してもらってすみはじめちゃった私。
函館なんて大嫌い!と衝動で函館山に登って、素晴らしい眺望にやっぱり函館が好きだ!と思わされた私。
よし!やり切ったぞ!って気持ちでともえ大橋を運転する私。
自由と責任の間で押しつぶされそうになってぎっくり腰になる私。
毎日毎日、あの小さな町でわちゃわちゃもがいていた
若くて、青くて、ちょっとおっちょこちょいな私。
今の私は、どんな私かな。
そんな街を抜け出して東京に行くことになった私?
東京に行くことは、この靴紐を結ぶ行為に似ている気がする。
東京で学ぶことは多分、遠回り。時間もかかるから足踏みもしている。
そんなことしないで函館でこのまま暮らすこともできたはず。
でも違和感を抱えたまま、自分に「これでいい」って言い聞かせながら
函館に暮らし続けることはできなかった、のだ。
私は東京で靴紐を結び直すように、今の靴を履いたまま、今後出会う「大切な誰かを救えるスキル」と、自分の価値観にあったしっくりとくる「私のスタイル」を身につけてくるつもりだ。
そしたらきっと
もっと一歩一歩を噛みしめて生きていける気がする。
もっと沢山の人と手を取り合って生きていける気がする。
もっとこの街に貢献できるような気がする。
もっと広い空を、飛べるような気がする。
もちろん靴紐を結び直す時間は野暮ったくて、泥臭いと思う。すごく大変で、困難が待ち受けていそうな予感がする。
一筋縄でも、二筋縄でも行かないことばかりだと思う。
だけど、私はなんとなく、大丈夫な気がする。
いや、大丈夫だ。
だって
私には、帰る場所があるから。
私の全てを受け止めてくれる太平洋と津軽海峡があるから。
私を私で居させてくれる函館山が待ち構えているから。
帰ったらぎゅって、抱きしめてくれる人がいるから。
あったかいご飯を、用意して待っていてくれる人がいるから。
いつだって、ここに帰ってくればいい。
チャイニーズチキンバーガーを頬張ればいい。
函館山に登ればいい。
だから全力で東京ライフ頑張ろう。
だから毎日一生懸命生きよう。
だからつらくっても、逃げずにもがこう、向き合おう。
次みんなに会うときは、ボロボロだとしても少し成長した自分でありたい。
みんなにはありのままの自分でも誇らしく堂々とした顔で会いたい。
みんなのおかげで今の私があって、みんなのおかげで未来の私ができていく。
さあ、私は、これからどんな私になるかな。
うーん、どうかな〜〜
(あ、そろそろベルト着用サインが点灯しそう)
でも、多分きっと変わらないんだろうな。
函館の皆様、大変大変お世話になりました。信じられないくらいお世話になりました。こんな私のことを大好きだって温かく見守ってくださってありがとうございます。函館、実はすぐにまた帰ります。これからも変わらず仲良くしてくださると嬉しいです。
東京でやることは別に変わらないです。
おんなじ靴を履き続けながら、
今より、少し高くジャンプをするために
靴紐を結び直す旅に出るだけです。
ちょっと東京に、いってきます。
いただいたものは、全て大切なひとに、そしてまちに、使わせていただきます。