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麻雀ファンのためのゲーム理論入門(12):「俺も焼きそば現象」をゲームの木で

はじめに


こんにちは。麻雀研究家のアンモナイト鈴木です。

これまで、麻雀の説明を含めてゲームを、「いっせいのせ!」で複数のプレイヤーが自らの戦略を提示するかのように説明をしてきました。じゃんけんのように、各プレイヤーが同時に戦略を選ぶゲームを同時手番ゲームといいます。

逐次手番ゲーム

けれども、ご存じのように、麻雀は(鳴きがなければ)東家→南家→西家→北家→東家・・・とプレイヤーが順番に戦略を決めていきます。自分の前のプレイヤーの選択、具体的には上家の捨牌や立直の有無などを知った上で(ただし、相手のフーロしていない手牌は未知の情報です)、自分の打牌および立直の有無などの戦略を選択します。

このように、プレイヤーが順番にプレイするゲームを逐次手番ゲームといいます。

逐次手番ゲームとしては、既存の店(例えばイオン)が値下げしたときに、近くの店(例えばイトーヨーカ堂)が値下げするかどうかみたいな例が教科書では出てきますが、それを出しても芸がないのでここでは別な例をつくります。

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雀荘の焼きそば

前に、ツイッターで「カップ焼きそばの匂いって無駄に食欲をそそるので、雀荘で一人が頼むとほかの人も頼む」っていうツィートを見かけたことがあります。印象に残ってますが、だれのツィートかは覚えていません(ZEROさんだったかな?自信ないな)。

これをゲームで表してみます。東家は腹が減っていますぐなんか食べたい人、南家は麻雀が終わったら食事に行くつもりだけど横で焼きそばを食べられると空腹を刺激されて自分も焼きそばを頼まずにはいられない人です。西家と北家は食事をすませているとして考えないことにします。

ゲームの木

この状況を表したのが下の展開型ゲームです。逐次手番ゲームは順番に意味があるので、下のような図がよく用いられます。この図をゲームの木といいます。数字は東家の利得、南家の利得の順です。数字は大きさ自体には意味がなく、大小関係だけが意味があると考えてください。

てんかい

説明したいことは、このゲームの解き方です。東家がもし焼きそばを注文したとすると、南家は自分の手番で焼きそばを注文するかどうかで、焼きそばを注文すれば5の利得、注文しなければ-10の利得なので焼きそばを注文します。一方、東家がもし焼きそばを注文しない場合は、南家は焼きそばを注文すれば3の利得、注文しなければ8の利得なので、焼きそばを頼みません。

つまり、東家が焼きそばを注文する・しないは、それぞれで図の赤丸と緑丸の利得が実現します。そして、東家の利得は、焼きそばを注文すると10、注文しないと0なので、東家は焼きそばを頼むと考えられます。

従って、このゲームは、「東家が焼きそばを注文して、南家も注文する」がナッシュ均衡になると考えられます。このように、展開型ゲームは後ろ向きの推論によって解くことができます。(この話をもっと進めると「サブゲーム完全均衡」という概念を説明しないといけないのですが、麻雀から離れて行ってしまうので、やめておきます。知りたい方はググってください)。

麻雀の戦略を文字通り解釈すると

文字通り、ゲーム理論の戦略を解釈すると、自分が取ることができるすべての行動計画でなければなりませんから、4枚見えの牌はないという仮定の下で、東家は37種(マン・ピン・ソー・字牌の34種と赤各3枚)の各種を自摸ったら何を切るのかを決めておきます。

てはい

例えば、親の第1ツモ(2つ目のチョン)で自摸南ならツモ切りでしょうか。このあと、ひょっこり4mツモで1面子できたり、赤5mをつもってドラ2になれば、ホンイツはなし。逆に發や西が重なって、索子以外を切り飛ばしてホンイツもあるし、2sか3sをツモって一通狙いもあり得ます。また、途中で他家からリーチがかかったらどうするかも考えておく必要があります。ところで、何をツモるかはプレイヤーの意思とは関係なく、偶然に任されています。これを偶然手番といいます。

結局、ポン、チー、カン、リーチは無視すると、

偶然手番が4人の配牌をランダムに選ぶ
偶然手番が東家の第1自摸をランダムに選ぶ
東家が第1自摸を自摸って、捨牌を1枚選ぶ
偶然手番が南家の第1自摸をランダムに選ぶ
南家が第1自摸を自摸って、捨牌を1枚選ぶ・・・

となります。

これをさきほどの焼きそば注文ゲームのようにゲームの木で表そうとすると、省略して描いても、南家第1自摸当たりでもう限界になりそうw



ゲームの期

上の図で、一萬と中の間は省略されていますが、本当は

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となっています。

実用的な考え方は

 戦略をゲーム理論の定義通りにとらえてこのさきをどんどん続けていくと、戦略の数は宇宙に存在する水素原子の数よりも大きくなると考えられます。将棋とかチェスについてそういうことが言われています。さらに、麻雀は将棋やチェスと違って、情報の不完全性があるのでますますややこしいです。なので、ゲーム理論で麻雀をとらえるには、ある時点で期待値が大きくなる選択を考えるのが実用的であると思われます。

まとめ

つまり、ある手番で期待値が大きいのはどの選択かということです。麻雀の戦術書に期待値最大なのは〇切りというあれですね。つまり、麻雀は本当は逐次手番ゲームだけど、同時手番ゲームとして期待値最大化として定式化するのが実用的ということです。


あれ、なんか平凡な結論でおわっちゃったw これでは、読んでいただいた方に申し訳ないので、おまけで昔描いたマンガをつけます。






マンガは、ちょっとアレなんで1週間くらいで削除させていただきます。

(マンガは削除させてきた抱きました。2020.3.22)

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