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この世界が滅びかけてから50年、街は見事に復興した。 静かに広がるうろこ雲と、緑豊かな街並み。誰が災厄の爪痕に思い至るだろう。 避難所で世話になった婆さんは、ある実を食べて生き延びたと言っていた。私もほんの小さい頃、食べた事がある、はずだ。 ふと、口一杯に広がる濃厚な甘味を思い出す。 名も知らぬあの実。もう一度、食べたくて仕方なかった。 だが今や、樹木は人工的に作られた物。もう天然物は見られない。 あの実は完全に姿を消した。婆さんや両親が生きている間に話を聞いておくべきだ