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「遙かなる時空の中で3」をだらだら語る

もう発売から18年も経ったってマ?
ショックで死ぬかと思ったので語らせてください。
ちなみに私は発売当時にはプレイしていなくて、発売後6年くらいたってからプレイしました。それでもよいゲームだったけれど、その作品の盛り上がりがピークであったころに味わえなかったことは今も辛い。
それくらいいいゲームだった。

私に乙女ゲームの楽しさを教えてくれたゲーム

遙かなる時空の中で3(以下遙か3)は、コーエー(現在のコーエーテクモ)から発売された、いわゆる乙女ゲームだ。

「遙かシリーズ」を知らない人にざっくり解説

「遙か」は乙女ゲームであると同時に、ネオロマンスゲームと呼ばれるジャンルのゲームになる。
「ネオロマンスゲーム」は、コーエー社内の開発チームであるルビーパーティーが製作した女性向け恋愛ゲームのことを指す。
ちなみにネオロマの記念すべき1作目は「アンジェリーク」、世界初の女性向け恋愛シミュレーションゲームだった。これだけでも、ネオロマ自体が歴史あるブランドであるということは理解していただけると思う。

「遙か3」のざっくり解説

当時、めちゃくちゃ流行って続編がバンバン出ていた薄桜鬼はあんまり好みではなかったのだが、私が好きだったら小説書きさんがイチオシ!とおっしゃっていたことから、遙か3を偶然プレイした。
そしてその時に乙女ゲームの面白さを教えられて、寝る間も惜しんでプレイした思い出のタイトルだ。
その頃とっくの昔にオトメイトやHoneybee、Queenroseなどなど乙女ゲームブランドが乱立していて新作がバンバン出ていたころだった。
そのため、すでに「ネオロマはちょっと時代遅れw」「古いよねw」みたいな風に言っていた友人もいたくらいだったのだが、全然そんなことはなかった。それどころか最先端をぶっちぎって走っていた。

それ以来、遙か3を凌駕する面白い乙女ゲームを探し続けているといっても過言ではない。なお今のところ見つからない。
「私にとっての原点にして頂点」、これが私の中の遙か3の評価だ。

ストーリーや世界観について

それまで遙かシリーズは平安時代を舞台とし、敵役には「アクラム」という男がリーダーを務める鬼の一族が登場していた。
ところが3からはガラリと様相を変え、アクラムは登場しない。
代わりに源平時代が舞台となり、平家の棟梁である平清盛が登場する。
正しい歴史では彼はすでに死んでいるはずだがなぜか生き返っていたり、清盛の長男も生き返っていることが語られる。
そんな中でプレイヤーは現代から迷い込んだ主人公「春日望美」となって、現代に戻る方法を探しつつ源平合戦という時代を必死に生き抜くことになる…というのが遙か3の大まかなあらすじだ。

遙かの世界には「怨霊」と呼ばれる存在がいるのだが、彼らを世界から完全に消し去るためには、主人公の持つ「白龍の神子」としての力が必要になる。
現代に戻るためにも神子として戦うことになっていく。
そして「白龍の神子」を守護するのが八葉と呼ばれる面々だ。

八葉 8人の攻略対象たち

遙かシリーズでは、「八葉」と呼ばれる存在が登場し、主な攻略対象はその名の通り8名存在する。
例えば主人公の幼馴染である有川将臣は「地の青龍」。
源平の時代で最初に出会った源九郎義経は「天の青龍」というように、四神それぞれに天地2人が庇護を受けている。
彼らはそれぞれ体のどこかに「宝玉」が埋め込まれていて、それこそが八葉である証拠になり、白龍の神子を庇護することになる。

一応、そんな彼ら以外にも攻略対象は居る。
力を失い人の形しか取れなくなった龍神である「白龍」、主人公の対となり歴代で初めて友好的な関係となる黒龍の神子「梶原朔」などなど…。
恋愛エンディングだけでなく、友人と事件の真相に迫るエンディングも存在する。

好きなところをあげていく

ということで概要についての時点で結構語ってしまったけれど、ここからは私が遙か3にめちゃくちゃハマって、少なくとも10年は思い出して定期的にプレイしてしまう理由をあげていこうと思う。

好きなところ1:主人公がつよい

はっきり言っておく。私は望美ちゃんが大好きだ。(イエスキリストか?)

ここはもう大前提かつ、このタイトルが今も根強い人気がある理由の一つだと思う。ネオロマの中で一番最初に前線に立つようになった主人公といってもいいんじゃなかろうか。
主人公は遙かシリーズの中で定番のポジションで、「白龍の神子」と呼ばれる存在だ。彼女は敵である怨霊を浄化することのできる唯一の存在として描かれる。
2までは積極的に戦闘に協力することはなかったが、3からは自ら剣を手に、八葉たちと戦場に立つことになる。
遙かの主人公はそれぞれ得意な武器を持っていることが多いけれど、それは3から始まっている。

そういうわけだから、基本的に彼女は戦場に立ち、男に守られることなく、どっちかというと男を助け出して守る。
特定のルートによっては、ゲーム中の戦闘難易度がハード以上でのクリアが必要になったり、特定の技のレベルを最大値まで強化する必要があったりする。
戦闘面でも相当なやりこみを求められる。

つまり物理的に強い。
そして前向きで、細かいことを考えたりくよくよしない。
割と単純な思考回路をしているところもあるのだが、身近にいたら絶対いつもニコニコと明るくて友人に沢山囲まれた人気のある子だ。
うじうじしたり察してちゃんをしたり、守られてばかりのようなタイプではないことがめちゃくちゃ良い。
あと壊滅的に日本史ができないところも、私から見ると可愛くていい。

好きなところ2:「運命上書きシステム」が面白い

簡単に言うなら「強くてニューゲーム」なのだが、ゲームのシナリオにも大きく関係してくる機能となっている。

まず遙か3は「絶対に1週目はバッドエンド」であることが特徴だ。
各キャラクターの恋愛ルートに到達するためには、必ず攻略対象(女性も含む)全滅エンディングを見る必要がある
そのタイミングで時間をさかのぼることができる「白龍の逆鱗」を手に入れて、主人公であるプレイヤーは時間をさかのぼりもう一度その歴史をやり直す…ここからが本編になる。
ところがこの「やり直し」にも落とし穴は存在するため、プレイヤーは何度も繰り返し歴史をさかのぼり、やり直しを繰り返すことで恋愛エンディングへとたどり着くことになる。

何度も何度も失敗を繰り返しながらも諦めず、自らや愛する人に課せられた過酷な運命を上書きしていくーーこの設定に燃える人は多いと思う。
また、望美ちゃんが男前なキャラクターとなったのはこのシステムの関係も大きいと思う。

好きなところ3:戦闘システムが楽しい

遙かシリーズは1から戦闘システムがあり、前線に立つ立たないの違いはあれど主人公は必ず戦う。
シナリオ上戦闘は避けられないし、攻略キャラクターによってはかなり主人公を強化する必要があるため、嫌でもやる必要はある。
実はこの戦闘システムが意外と奥深いというか、かなり本格的で面白い上に面倒くさくない
1、2までの戦闘は個人的に結構面倒くさかった。

まず主人公を含め、キャラクターは敵味方問わずそれぞれに「属性」を持つ。属性は相克しあうため、相手の弱点を突いた攻撃が必要になる。
それだけでなく、キャラクター同士の友好度をあげることで協力した攻撃を行うこともできる。

戦闘に登場できるキャラクターは主人公を含め4名いるのだが、陣形は円盤上になっていて、その円盤に配置された8名をくるくると左右に回し、交代させながら戦うことになる。
もちろん乙女ゲームなので、主人公が攻撃を受けた時にみんなが心配してくれたり、或いは攻撃からかばってくれることもある。
だが攻撃のかばい合いは攻略キャラ同士でも発生するので、攻略キャラ同士の関係性も分かってなおの事楽しい。

ゲームをプレイする時間のうち、半分くらいは戦闘をこなすことになる。
そのためこうしたキャラクター同士の会話要素があることや、実際「怨霊を浄化する」ことで没入感も上がる。
白龍と黒龍の神子、八葉、白龍の仲間たちで、怨霊を封じ、何とか源平合戦を乗り越えていくんだという空気感も味わえる良い演出だと思う。

非常に簡単な戦闘システムでありながら、ターン制バトルゲームが好きなコアな層も満足できること間違いなし。
戦闘難易度がイージー、ノーマル、ハードと3つも用意されているところからも、最後までゲームを飽きさせねぇ、ハードまでガッツリ遊びやがれというルビパの気概まで見て取れる。
私はそのルビパの策略にまんまとはまったクチです。

好きなところ4:推し

ここまで我慢したから話すが、私の推しのおかげもあってこのタイトルは株が爆上がりしている部分も大きい。
個人的に一番の推しは「平知盛」だ。
知盛は、主人公である望美とは敵対する平家の将だが、自らの兄にあたる平重盛が家督を継ぐことが決まっていたためか、或いはいずれ自らの一族が滅ぶことをすでに予見していたのか、退廃的な雰囲気と気だるげな空気をまとった男だ。
何においても本気になる気配はない上に、話し方すらも気だるげだ。だがやはり平氏の一員だからか恐らくは良い教育も受けているな、とストーリー中にちらちら片鱗を見せてくる。
攻略できそうかも、というところをこれでもかとチラチラと見せてくるというか、キャラ立ちがとにかくすごい。

そのくせ平家との決戦となる「壇ノ浦の戦い」までストーリーが進んでしまうと、史実通りに彼は壇ノ浦の波の下の都に向かってしまう。
しかも専用スチルあり。攻略対象じゃないくせに。

あまりにもそういう人が多かったんだろう、十六夜記で彼は攻略キャラクターに昇格し、続編のラビリンスでは条件が揃えば一晩だけ会うことができる。
ただし十六夜記で攻略できる!!と意気揚々とプレイして地獄を見たお姉さまもいるのではなかろうか、私もそうです。

どんなルートを辿ろうとも、他のキャラクターの攻略ルートでは必ず知盛は死ぬ。(描写のあるなしはさておき)
そういうところもたまらなく好きだったな~と思うし、彼の存在は遙か3という「運命を変える」ゲームの中の「変えられない運命を象徴している」というところも好きだ。
「大切な人のために運命すらも書き換える」というのは遙か3の中で最も重要なテーマの一つだけれど、変えることのできない運命もあるという厳しさが随所に現れている。
例えば九郎の兄との関係性、弁慶や朔の過去、景時の行動や敦盛の家族たち。
それでも良い未来を迎えたいという思いで突き進むからこのゲームって面白かったんだなと思う。

あ、八葉の推しはリズ先生です。
愛が重たすぎるので、最後の最後にクリアするのにふさわしい相手だと思う。彼について話をすると、全てがネタバレになってしまう重要人物だし、攻略難易度も高い。
なので、ここで詳しいことを話すのは悲しいけれどやめておく。
総勢10人の攻略対象のうち9人をクリアして世界観を理解したうえで、是非リズ先生の通常ルートを最後にプレイして、遙か3のすべてのストーリーを見届けてほしい。

まとめ

ということでだらだらと遙か3について語ってみた。
PSvitaをお持ちの方であれば、遙か3のアルティメット版(移植版)で通常+十六夜記までフルボイスでまとめて遊べる。
PS2版の方が或いは入手難易度やプレイ環境整備が簡単かもしれないが、フルボイスではないこと、一部キャラクターの攻略が不可能なことなどは注意してほしい。

もう移植されて5年も経った!?と思ってビビり散らかしたし、すでにvitaは2019年で出荷が終了している…ので、ぜひともswitchにも移植してほしい…が、なかなか厳しいかも。

ちなみにあまりに人気が高かったためか、2枚目の追加ファンディスクとして「運命の迷宮」も追加されている。
こちらは大団円エンディングののち現代に戻った望美たちと、現代に一緒にやってきてしまった仲間たちが、元の世界に戻る方法を探すため再び戦うことになる…というストーリーだ。
古いタイトルだけれどぜひじっくり遊んでほしい。

まあ何はともあれ知盛を攻略しようとして枕を涙で濡らす乙女がいっぱい出てくれたらいいのに(下種)


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