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ICQE23初参加 | 初めて書いたPaperがAcceptされました&初国際学会参加!

タイトルにもあるように2023年10月8〜12日にメルボルンで行われたInternational Conference of Quantitative Ethnography(以下、ICQE)に参加してきました。これまで世界一周記事を上げてきましたが、メルボルンが最終目的地になります。

ICQEとは?という方も多いかと思うので、簡単にどんな会なのかご説明します。


ICQEとは

定量エスノグラフィー(QE)という学問に関する国際学会のことをICQEと呼びます。
定量エスノグラフィーとは、簡単にいうと「定性データの分析を定量データを使って支えること」を指します。元々、教育心理学からスタートした考え方で、あらゆるインタビューデータなどを書き起こし、コーディング。またその上で可視化するツールに入れることで、定性データを下記のようなグラフ形式で表現し、意味合いを出します。

QEのアウトプットイメージ

QEについては、生みの親であるWisconsin大学Madison校のDavid Williamson Shaffer教授が書いた『Quantitative Ethnography』をぜひお読みください。(英語かつ統計的な話も含まれるので、少しずつ読み進めていくことをオススメします)

ICQE自体は今年で5回目の開催で、他の国際学会と比べると歴史が浅く初回参加者であっても歓迎される雰囲気を非常に感じました。

  • 第1回:アメリカ

  • 第2〜3回:オンライン

  • 第4回:デンマーク

今回は「QE自体初学者」&「国際学会初参加」&「サービスデザイナーとしての参加」という、ほぼアウェイな状態で参加した感想をまとめます。

"初学者"でも"初国際学会"でも案外いける

普段研修者として機関に所属されている方に対して非常に失礼ですが、これまで卒論以外にろくに論文など書いたこともなければ、卒業後はビジネスにしか関わってこなかった私は、国際学会自体がどんなものなのかわかっていない状態で参加しました。ただファーストインプレッションとして感じたのは「学会は意外と初めて参加する人にも開かれている」ことでした。
ICQEでは大きく下記のようなコンテンツがあったのですが、特にワークショップについては初学者向けに開かれたものもいくつかあり、その中で出会った人と「なぜICQEに興味を持ったの?」「普段は何の研究をしているの?」と会話が広がる感じがあり、とてもいいきっかけになりました。

  • ワークショップ

  • キーノートセッション

  • ペーパーセッション

  • ポスターセッション

  • 博士向けセッション

また、キーノートでは普段業務で扱うサービスデザインのような取り組み事例の話もあったおかげで、普段サービスデザイナーとして働く私には余計親しみやすさがあったように思います。
特に「Quantitative Futures Ethnography」というテーマで講演されていたMonash UniversityのSarah Pink教授のお話では「オーストラリアにおける未来のエネルギーの利用方法についてあるべき姿」を検討するために、ユーザーインタビューや定量調査をもとにシナリオ形式にまとめたプロジェクトを紹介いただきました。
プロセスとして、まず仮説設計のためにあらゆるコンサルなどが作成する未来洞察レポートを分析した上で想定されるエネルギー利用方法の仮説作成。そして、それを元にオーストラリアに住む70世帯の人々にユーザーインタビューをし、得られたインサイトをもとにワークショップ形式で現状の課題やあるべき姿の洗い出し、またそのエビデンスを支えるために定量調査をするなど3年がかりで実施したプロジェクトの情報を紹介いただきました。
※各プロセスの詳細は、こちらの資料に記載されていますので気になる方はご確認ください。

定性・定量データを組み合わせた価値創造はビジネスだけでなく、アカデミックにおいても求められていることを痛感しました。

ここまで聞いて面白そうと思っていただいた方もいると思いますが、講演を聴いたり、アカデミックな人とも交流したいがために数十万円かけて国際学会に参加するにはハードルが高いと思います。
そこで私が参加したきっかけになった「RAD」についても紹介させていただきます。

RADとは

RADとはResearch Agenda Developmentという略称で、今年から始まったセッション。

「QEを使ってこんなことができるんじゃないか?」

「自分のテーマにQEを使うと、新たなインサイトが生まれるのではないか?」

こんな思いを形にできるのがRADというペーパーで、A4 2枚のテンプレートに先行研究の結論やQEを使うことの有用性を記述し、通過すると学会のSupplement Proceedingsに掲載されるものになります。
※ちなみにICQE23のSupplement Proceedingsはこちらに載っているので、気になる方はぜひ。

もちろん英語で書かないといけず、先行研究を確認するために海外論文を読み漁ったりすることも必要です。ですが、AIツールで簡単に翻訳したりサマリ化することができる今、その壁は非常に低いように思います。

こちらをお読みになった方はぜひ、今年のICQE24でRADにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

少し話は脱線しましたが、初めて参加してみたICQE、非常に自分にとって有意義な機会になりましたし、今後大学院進学する際にどういう勉強をしていくべきか改めて考えるきっかけにもなりました。

世界一周記事はこのメルボルン編を持って、終わりにしたいと思います。
また2024年にデータXデザイン関連でさらなるアウトプット、インプットができるように邁進していきますので、ぜひ乞うご期待!!!!


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