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恋愛マスター(?)美月ちゃんLv.3



その日の放課後
案の定2人に捕まってしまった。


美波:さぁ山、早くはきなさい

史緒里:逃がさないから


この2人が簡単に逃がしてくれるはずがない
今日は帰りが遅くなりそうだ。


美月:ちょっと2人とも目が怖いよ〜♡

美波:くっそ、ムカついてきた

史緒里:ね〜。私たちこんなに協力的なのに

美月:言ったらバカにするでしょ

美波:そりゃまぁ

史緒里:当たり前だよね〜

美波・史緒里:ね〜

美月:うざ!!絶対言わないからね


聞く前からニヤニヤが止まらない2人の親友達

ここぞと言う時は頼りになるものの、基本バカにしてくるの何とかしてほしい。

絶対に言うつもりのない私VS絶対聞き出すつもりの2人

特に見どころのない”ほこ×たて対決”は1人の女の子の登場によって一時休戦することになる



『あ、あの…!!』



教室を不安げに覗き込む少女
リボンの色を見るに1年生らしい


史緒里:あら、どうかした?

『山下先輩にそ、相談したいことがありまして…!』

美波:ほら。恋愛マスター出番だよ。

史緒里:恋愛マスター今日も頼みます!


わざとらしくおだてる2人。

そんな2人を軽く睨みつけると、後輩と思われる女の子を相談用の特等席、窓際最後列に案内した。


『わ、私1年の遠藤さくらって言います。』

美月:さくらちゃんか〜よろしくね!私が山下美月!

美月:こっちのでかいのが梅澤美波で、白いのが久保史緒里ね

美波:説明雑すぎない?

さくら:もちろん知ってます!御三方は1年生の間でも美人な先輩で有名なので。

史緒里:さくらちゃん。めっちゃいい子だね気に入った。

美波:ちょろ

史緒里:後で写真撮ろう写真

さくら:良いんですか……?是非!

美月:ごめんねさくらちゃん。せっかく、相談に来てくれたのに。久保のことは放っておいていいから

美波:ほんとほんと。久保には気使わないで

史緒里:そんなぁ。せっかく貴重な可愛い女の子との絡みがぁ。


可愛い子には目がない久保
見つけ次第ツーショットを撮っているらしい。

アイドル研究会所属は伊達じゃない


美波:久保。それ以上後輩を困らせないの

史緒里:はぁい。

美月:で、さくらちゃん。相談って言うのは?

後輩のさくらちゃんは少し恥ずかしそうな様子で話し始めた。


さくら:えっと、クラスの男の子に気になる人が出来たんですけど……。

さくら:私、恋愛とかしたことなくてどう接したら良いのかよく分からなくて……

美月:なるほどね。それで私に相談に来てくれたってことか

さくら:はい。親友のかっきー、あっ、賀喜遥香ちゃんに相談したら、美月さんに頼ったら上手くいくよって教えてくれて…

美波:ああ〜。かっきーってずっと、山に相談来てた子か。彼氏出来たって言ってたもんね。

史緒里:あの子もいい子だったよね〜。私たちのこと可愛いって褒めてくれてたし

美波:久保はそろそろ社交辞令って言葉を覚えた方がいいよ。


本日いつもにまして絶好調の久保は一旦放っておこう


美月:どういう男の子なの?さくらちゃんが気になってる人は

さくら:えっと、実はまだあんまり話したことなくて…。

さくら:ただなんて言うか、凄く丁寧で素敵な人なんです。

さくら:些細なことなんですけど、掃除の時の箒のかけ方とか黒板の消し方とか…あと言葉遣いとかも……

史緒里:細かいところまでよく見てるんだね〜

美波:ね、顔ももちろん大事だけど。そういう所もポイント高いよね

美月:さくらちゃんとは気が合いそう。続けて


さくらちゃんの語る相手の特徴が私にとっての〇〇君と重なって物凄く共感できる


さくら:は、はい。今はまだ好きとかではないと思うんですけど、お友達にはなってみたくて…。

美月:うんうん。いきなり距離縮めるのはハードル高いもんね

さくら:ど、どうしたらいいでしょうか…?

史緒里:さぁ。腕の見せどころだよ恋愛マスター

美月:久保はとにかく静かにして


流石に反省したらしい史緒里は大人しくなった


美月:まずは、普通に話しかけてみる事じゃないかな

さくら:ふ、普通に……

美月:相手が魅力的な存在だと、”異性”ってすごく意識しちゃうけど、それ以前にただのクラスメイトだから

さくら:で、でも嫌われないかなって……

美月:さくらちゃんはクラスの男の子に話しかけられて嫌いになったことはある?

さくら:な、無いです。

美月:でしょ?だからまずは普通に話しかけてみよう。さくらちゃん可愛いんだし自信もって?

さくら:いやいや、そんな事ないです…全然

史緒里:めっちゃ可愛いよ。目が肥えてる私が保証する

美波:今日初めてまともなこと言ったね。

史緒里:えー、だって可愛い子には自信もって欲しいじゃん。

美波:まぁ、確かに。こんなに可愛いんだし

美月:ほら2人ともそのくらいにしてあげて。さくらちゃん顔真っ赤だよ


みるみるうちに赤くなっていくさくらちゃん


さくら:ほ、褒めてくださって嬉しいです…

美月:とにかく、変に意識するとかえって空回りしちゃうから、まずはチャンスを見つけて話しかけてみよう

さくら:は、はい!頑張ります

美月:また、いつでも相談しておいでね。3人ともさくらちゃんの味方だから

美波:私たちこう見えて口堅いしね

史緒里:大事な後輩の恋愛事情なんて誰にも言わないよ


大事な内容は真剣な顔で伝える2人

メリハリがあって、芯がしっかりしてるところも私が美波と史緒里を好きな理由だ


さくら:ほんとにありがとうございます!。美月さん達のおかげで頑張れそうです。

美月:全然、良いんだよ〜

美波:頑張ってね?応援してるから


教室を覗いていた時の不安げな表情から一転、少しスッキリしたように見えるさくらちゃん

顔はもちろん可愛いし、それにくわえて素直でいい子。恋愛もきっと上手くいくだろう。


史緒里:じゃあ、さくらちゃん。相談も終わったことだし、あっちの方で写真撮ろっか?

美波:やめなよ久保。困らせるよ

美月:私たちが抑えとくから逃げていいからね

さくら:は、はい。ありがとうございました!


さくらちゃんは会釈すると軽やかに去っていった。



美月:ふぅ。今日も乗り切った……。

美波:今日はいつもに増していいアドバイスだったよ。

史緒里:たしかに。いつもの小手先のアドバイスじゃなかったかも

美月:小手先って酷くない?

美波:山、否定は出来ないと思うよ。

美月:ま、まぁ。そうだけどさ


酷いことを言われてはいるもののぐうの音も出ないのは事実

っていうか、2人の注意が私から逸れてない?

今なら逃げられるかも……


美月:よし。じゃあ帰ろっか

美波:ねぇ、山。

史緒里:逃がすわけなくない?


立ち上がろうとしたら、
二人に肩を掴まれてしまった

逃走失敗


美月:ちぇっ。いけると思ったのに

史緒里:考えが甘いね

美月:どんだけ問い詰められても絶対言わないからね

美波:残念ながら大体分かったよ。昨日のこと

史緒里:さすが梅。教えて教えて

美波:昨日は私たち3人で一緒に帰ったでしょ?なのに今日の朝、仲が良かったって事は……

史緒里:LINEか!

美波:そう。正解

美月:ちょっと。勝手に話進めないでよ〜。まぁ、あってるけどさ……


相変わらずの推理力の梅


史緒里:なになに、LINE通話でもしたの…?

美月:できるわけないでしょ

史緒里:え〜なんでよ

美月:私は久保みたいにガンガン行けないの。

美波:流石に私でも初日に電話はきついな

史緒里:もう、2人とも消極的だな〜そんなんだから彼氏できないんだよ?

美波:ムカつくねこの女

美月:否定できないのが悔しい


学校の皆には私と梅に彼氏が居て、久保は奥手と思われているみたいだけど実際は逆

私と梅には彼氏はおらず、久保には年上の彼氏がいる。

男子たちは久保の透明感に騙されすぎだ。


美波:とにかく、山が昨日で進展したのは分かったよ。1歩だけかもだけど

美月:梅のおかげだよ。ありがとう

美波:素直に言われると気持ち悪いかも

美月:散々感謝しろって言ったのは2人でしょ

史緒里:いざされるとなんかむず痒いよね

美波:今日のところは見逃してあげるから。ちゃんと進展あったら報告してよ?

美月:わかった。


一日に及んだ取り調べはようやく終了。
はぁ、長い一日だった。

今は恥ずかしくて2人には話せないけど
いつかは話さないとな。

もっと〇〇君と仲良くなれたら親友たちにもちゃんと伝えよう。


史緒里:山の話も終わったことだし、そろそろ私の話にいく?

美月・美波:いや、大丈夫!


惚気全開すぎて胃もたれしちゃうような、久保の恋バナはまたの機会にでも

〜つづく〜

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