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恋愛マスター(?)美月ちゃん Lv.1

私、山下美月には1つ悩みがあります。
その悩みと言うのは────

遥香:美月先輩のアドバイスのおかげで彼氏出来ました!

美月:ほんと〜?良かった。
困ったらいつでも相談しておいでね

遥香:はいっ!流石、”恋愛マスター”ですね!

周囲から恋愛マスターだと思われてること

美月:そんなことないよ〜
かっきーが可愛いからだって

遥香:ほんとに美月先輩のおかげなんです…!
自分に自信を持てるようになりましたし

美月:ふふっ。それは良かった

遥香:ほんとにありがとうございましたっ!

後輩のかっきーは深々とお辞儀すると、教室から去っていった。

はぁ、恋愛マスター…

こんな風に呼ばれ始めた責任は私にもあるんだけど

高校に入学してしばらくして小悪魔と呼ばれ始めた私

はい。完全に調子に乗りました。

それっぽく振舞って過ごしていたら、いつしかあざとい系の頂点のような立ち位置に

男心を理解していると勘違いされてるようで、放課後によく恋愛相談をされるようになってしまった。

実際の私はと言うと、現在彼氏はいません。

そもそも出来たことすらない。

と言うことは当然、キスしたことだって
もっと言うと手すら繋いだことも…

ここまででお察しの通り、
超がつくほどの恋愛初心者

ドラマから得たうっすい知識をドヤ顔で語っていたらどんどん恋愛相談が増えていき、気づいたら後には引けなくなってしまったのだ。


美月:はぁ。どうしよ…
私、恋愛なんてしたことないのに

美波:山が調子乗ったせいでしょ

史緒里:ね〜。正直に言っちゃえばいいのに。”私、彼氏出来たことありません〜”って

美月:も〜。そんなこと今更言えるわけないでしょ

この2人は、私の本当の性格を知っている親友達

恋愛マスターという世間のイメージがどれほど私とかけ離れているかを理解してくれている

私の心のオアシス×2だ


美波:で?山の方は最近どうなの?

美月:な、な、な、な、なにが???

美波:そんなん○○君に決まってるじゃん

美月:別に? 何も無いですけど?なんですか?

史緒里:そろそろ諦めなよ
どう見ても好きじゃん。どう見ても

2人からの突然の追求
山下ピンチ!

美月:は〜?どこを見たらそうなるわけ

美波:話してる時声がワントーン上がってるし、昼休みとかずっと目で追ってるでしょ。なんなら○○君が図書委員だから毎日、図書室通って───

美月:はいっ、そこまで!認める!認めるからぁ

梅の口から次々出てくる確固たる証拠にたまらず白旗

史緒里:やっと素直になった

美波:普通にバレバレだったけどね

美月:もう、2人ともうるさ〜い!

───────────

私には密かに気になっている人が居る
同じクラスの○○君

誰にでも分け隔てなく優しい素敵な男の子

すきっ。めっちゃすきっ。

恋心は心の中に秘めていたつもりが、2人にはバレバレだったみたい

史緒里:で〜?今どんな感じなの?

美月:え、結構順調だよ!
今日なんて15回も目があったし

ノートの端っこ書いていた正の字
通称”目が合ったカウンター”を2人に見せる

今日は正正正
調子が良かった。

美波:なにそれ。きもっ

美月:目があったカウンターだよ

史緒里:あらら、、これは相当重症だね

顔を見合わせて呆れた表情の久保と梅

美波:LINEとかではどうなの?
もちろん持ってるよね

美月:いや、持ってるわけなくない??

史緒里:えっ?まだその段階?

美月:アイコンのわんちゃんはよく眺めてるけど

美波:犯罪1歩手前でしょそれ

美月:だってさ、いきなりLINE追加して引かれちゃったらどうするの。○○くんに嫌われたら山下生きていけな〜い

史緒里:目が合ったカウンターなんてつけてる人がよくそんなこと言えたね

美波:だいたいさ、思い出して。さっきの後輩ちゃんがLINEについて相談してきた時なんてアドバイスしてた?

史緒里:”クラスメイトなんだからLINEくらい追加しちゃいなよ〜それくらい普通のことだから大丈夫だよ”だっけ?

美波:頑張りなよ〜。”恋愛マスター”さん

2人でケラケラ笑っている

美月:2人ともバカにしすぎ!
私だって出来るもんなら追加したいよ

史緒里:○○君優しいし大丈夫でしょ。
追加しちゃいなよ〜ね?ね?

強引にスマホを取り上げようとしてくる久保

すると

”ガラガラ”

突然教室の扉があいた。

「僕がどうかした…?」

3人同時に扉の方に目をやるとそこには○○君が

美月:○、○○君!?

○○:なんか僕の名前が聞こえた気がしたんだけど

史緒里:べ、別に?何も無いよ

美波:うんうん。私たちのクラスの図書委員誰だったっけ〜って話してただけ

○○:な〜んだ。そういう話かびっくりした

史緒里:そ、そうだよ!うんうん。

こういう時の梅の頭の回転の速さは凄まじい。上手に誤魔化してくれた。

さす梅

○○:あっ、そうだ。山下さんこれ。
図書室に忘れてたよ

美月:あっ、私のシャーペン
あ、ありがとうございま…す

○○:ふふっ。なんで敬語なの

美月:えっ?いや、、、なんとなく。。

○○:良かった。まだ帰ってなくて
じゃあ僕はこれで

史緒里:えっ?もう行っちゃうの?

○○:うん。女子会邪魔したら悪いし

そのまま教室を出ようとする○○君
せっかく会えたんだからまだお話したいのに…

美波:ねぇ、○○君

○○:ん?どうかした

美波:美月が最近読書にハマっててさ

○○:そうみたいだね。図書室よく来てるし

美波:そうそう、だから○○君のオススメの本教えてあげて?

○○:もちろん。でもおすすめの本か〜
結構あるから、1冊選ぶの難しいな

美波:それなら美月のLINEに送ってあげてよ!沢山送った方が山も喜ぶだろうし

梅からのナイスパス
持つべきは親友。ほんとにありがとう。

○○:あぁ、山下さんのLINE持ってないんだよね…

少し気まずそうにこちらを見つめる○○君

是非、今すぐ追加して!お願い

美波:クラスLINEから追加してあげて?
山も○○君のおすすめの本知りたいでしょ

美月:ひっ、そりゃもちろん。

美波:ほら。山もこう言ってるし送ってあげてよ

○○:山下さんがいいなら…追加するね?

スマホを取り出して操作を始める○○君

”○○さんがあなたを友達に追加しました”

夢にまで見た通知が私のスマホに
梅。ほんとにありがとう

○○:追加できたかな?

美月:う、うんっ!追加できたよ。

○○:じゃあ、家帰ったら何冊か送っとくね

美月:待ってる…です!

○○:うん、じゃあまた後でね。

しどろもどろな私の言葉に少し微笑みかけると○○君は図書室に帰って行った。

”また後でね”だって、、、

○○君あざとすぎ。
おそるべし。

美波:はぁ。危なかった

史緒里:梅、さすがだね

美波:今回は流石にやばかった

美月:ふ、ふふっ。アイコンの飼い犬可愛すぎる。

史緒里:山。話聞いてる?

美月:聞いてるよ。アイコンの犬かわいいよね

美波:全然聞いてないじゃん。

史緒里:アイコン毎日見てたんじゃないの?

美月:友達になったことでよりいっそう可愛く見えるの!

美波:なんだそれ…

なにはともあれ○○君のLINEゲーット

てれてれってってってー
山下の恋愛レベルが1上がった(?)

ふふふ。これで○○君とあんなことやこんなことが…

美波:なに勝手に自分の手柄にしてるの。
どう見ても私のおかげでしょ

美月:いいじゃん。私だって頑張ったのに。

美波:何も話せてなかったけどね

史緒里:はいはい。2人とも仲良くね。

美波:山の恋愛も1歩進展した事だし、そろそろ帰ろっか

美月:あっ、ちょっと待って…
えーっとこれで18っと

先程の会話で目が合った回数が3回。目が合ったカウンターの回数を更新しなきゃ。

美波:LINE交換したのにまだそんなことしてんの

史緒里:山はぶれないね…

美月:えへへ〜

美波・史緒里:褒めてないから

美月はいつか○○と付き合える日が来るのか?
”超”恋愛初心者の奮闘が始まった





〜つづく(?)〜

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