『 であったこと』 制作日記 vol.1

2019.09.17

 安住の地第4回本公演「ケスクセクモア?」が終演した。打ち上げの途中で抜けて終電にすべり込む。ぼーっとした頭で色々考えていると、乗り換えでばったり客演さんの一人と会う。私が居酒屋を抜けるときには帰るそぶりが全くなかった人だったのでびっくりした。「(終電)間に合ったんですか?」と言うと「めっちゃ走った」と言って笑っている。
 
今回も、劇団最高動員数を記録したらしい。それにふれて「安住の地が本気でもっと活躍したいっていうんやったら全力で協力するよ」という言葉をもらう。じーんときた。私たちはもうこの役者さんを準劇団員だと思っている。

「次(作演出)やるんやってな」と言われたので「そうなんですよ~」と少し話す。「あんたはカッチリやりたい人やもんな」と言われて、さすがよくわかってはるよなあ…と思う。「今回岡本があれだけ好き勝手やってもお客さんついてきてくれるんやから、つぎは少し冒険してみたら?」と助言も。

次の公演は「無言劇」。正直「やろう」という確信はあったものの今までのような戦略はなにもない。何せ会話劇しか書いてこなかった人間が会話を書かないのだ。唯一の得意分野である脚本すら不安材料になっている。

そんなことをぼそぼそ言うと、「稽古場もさ」と一言。「あれだけ役者も力ついてきたんやから、信頼してやってみたら?」と。信頼かあ…と考えてみる。私は役者を信頼してないんだろうか?よく劇団員からも「稽古場でもさあ、もっと停滞する時間とかを恐れずにやってみたら?」と言われるのを思い出した。正直いってそれが悪いとはおもっていなかったので最初はショックだった。だけど、今回の稽古場を見て「ああ、何事も気にしすぎるとほかのところに歪が発生するのかもしれない…」と思うようになった。

次の競作についても少し話す。「今回みたいに岡本の、わけわからん演劇があるやん?そこに、あんたの会話のわかりやすさが入って中和されるやろ?そのバランス。やから、一緒にやるのはいいと思うよ」と言ってもらった。

そこで、意図せずに自分から「ある意味一緒にやるのはすごく安心感があって。岡本さんと一緒にやっていたら完全にエンタメによることは絶対ないから」という言葉が口をついて出てきてびっくりした。

執筆:私道かぴ

読んでいただいてありがとうございました! サポートは活動費として大切に使わせていただきます。