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白いワンピース:博士の普通の愛情

「つきあっていた人のアカウントを見つけたんだ」
「Facebookで」
「うん」
「俺が会ったことがある、あの人かな」
「いや、そのひとり前だな。お前は知らないと思う」

僕は、よかったことと悪かったことをちょうど半分ずつ思い出していた。

「結婚して子供もいたよ」
「そうだろうな。俺たちはもう40過ぎだから」
「うん。それはわかってた」
「別れた彼女でも、あまりいい気分じゃないか」
「おかしいけどな、俺も結婚しているのに」
「誰だってそんなもんだろ」

数日前、それほど近い距離ではない友人(だいたいソーシャルメディアなんてそんなものだが)から数年ぶりにメッセージが届き、仕事の話のようなそうでもないようなお願いをされた。あまりに都合がいい話だったので無視したが、彼の「友だち」のところに彼女が表示されていたのだ。

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「ありきたりだけど、別れた女性には幸せになって欲しいと思うだろ。でもあまりにも自分とはかけ離れた立派な旦那じゃないことも願ってしまう。かと言って不幸な姿も見たくない。勝手なものだよね」
「わかる。ちょうどいい平凡さがいいよ」
「でも平凡っていうのもなかなか難しいよ」
「確かに。どれくらいだったらいいのかなあ」

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1,750字
恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。