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深夜の恐怖散歩:博士の普通の愛情

私は19歳の女子大生です。昨日の夜、怖いことがあったので聞いてください。私にはちょっとだけ変わった趣味があります。深夜3時頃に近所を散歩するのです。静かな住宅地なのでちょっと怖いのですが、ここに引っ越してきて散歩を始めてから半年、一度も人とすれ違ったことはありません。

昨夜もいつものようにラジオの深夜放送を聞き終わると、身支度をして外に出ました。夏の終わりを感じさせる空気が肌に心地よく、いい気分で歩いていました。数分したとき、遠くにキラッと光る何かが見えました。黒っぽい人影。右手に光っていたのは街灯に照らされた刃物ではないだろうか。私は怖くなりましたが同じペースで歩き続けます。

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男は一度見えなくなったのですが、また少し近い場所にあらわれました。手に持っていたのは画面が青白く輝くスマートフォンのようでした。シャッターのカシャッという音が聞こえ、私を撮っているのではないかと思ったら恐怖を感じました。ストーカーかもしれない。家を特定されたくないのでそこからは全速力で走り、部屋に戻りました。スニーカーは汗で湿っていて、ドキドキしている胸を鎮めるように手を当てるとヌルヌルした汗。

その男にはまったく心当たりがありません。追いかけてくる様子もなかったので家は特定されていないと思いますが、すでにここが知られているとしたら恐ろしい。あの男はなぜ私を撮っていたのでしょうか。私は鏡に映る自分の姿を見て、明日の夜のことを考えていました。

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恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。