見出し画像

27歳からの老害:Anizine

21歳の男性と話をした。かなり緊張していたが、それもそのはず、彼の父親は俺と2歳しか違わないのだそうだ。俺たちフリーランサーの仕事は年功序列でもないし、数十歳離れた人々がそれぞれの持ち場のプロフェッショナルとして作業をする。ただ年を食っただけで威張れるようなことはない。

むしろ「その年齢でその程度ですか」という恐ろしさに晒されていると言える。普通の会社で20年先に入社した上司と新入社員が対等に話すことはまずないだろう。喫煙所でフランクに話す、みたいなことではない。能力を基準に互いをシビアに評価する、という意味だ。

彼は「50代の人から見て、僕らは幼稚に見えますか」と聞いてきた。

それは仕方のないことで、老害とかそういった話ではなく「経験値」が違う。年間のキャンペーンを一度やった人と30回やった人とで知見に差があるのは当たり前だ。これは経験至上主義でもなく、生まれてから一度もライオンを見たことがないこどもが想像するのと、動物園で見たことがある人と、アフリカで見た人はそれぞれ違うだけのこと。

「君は21歳だけど、たとえば10歳の子に同じことを聞かれたらどう思うか」

と聞いてみた。小学生でもちゃんとした自意識を持っていたら議論を挑んでくるかもしれない。それに対して21歳の彼は自分より11年分の経験がない小学生と本気で戦うことはないだろう。それと同じだ。

ただしものすごく大事なのはここから先なので、有料だ。

ここから先は

238字

Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。