見出し画像

ふたりのラジオ:博士の普通の愛情

「難しいクイズが出せる人かな」

ケンタに好きなタイプを聞くと、不思議な言葉が返ってきた。今までにも同じ質問をしたことは何度かあるけど、こんな答えをした人は初めてだった。

「ケンタってやっぱり変わってるね」
「普通だと思うけどな。でも普通って自分が決めることじゃないか」
「うん。かなり変人」
「変な人、と、変人ってまるで違うよね。くらうダメージというか」
「でも、なんでクイズを出せる人が好きなの」
「クイズっていうのは喩えなんだけどさ、こちらが考えたこともない質問をされて考えちゃうのが好きなんだ」
「へえ。よくわかんないけど」

「たとえば、ある40代の弁護士がいた」
「あ、クイズはじまったのかな」
「うん。その弁護士は離婚訴訟で10割の勝率を誇っていたんだ」
「優秀なんだね」
「その負け知らずの弁護士にはポリシーがあって、絶対に妻の側しか弁護しないと決めていた」
「じゃあ裁判では、奥さんの方が必ず勝っていたってことね」
「うん、そうだ。でもあまりにも裁判ばかりにチカラを入れているものだから、自分が離婚される羽目になってしまった」
「あら。家庭崩壊。困ったわね」
「曲げられないポリシーだから妻の側に立って弁護をした。この離婚裁判はどちらが勝ったと思う」

ここから先は

1,268字
恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。