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驚くべきカードの請求:Anizine

仕事の報酬には二種類ある。手間賃と複製による利益だ。自分がいつもやっている写真やデザインの仕事は手間賃で、ひとつのものを作ったのでギャラはこれだけです、というタイプ。複製というのは音楽のCDや本のように複製されることで印税をもらったりするもののこと。YouTubeの視聴回数による広告収入もこれと似ている。

ふたつの違いは、手間賃というのは昔からあって複製による権利の商売は歴史が浅いということだ。だから若くて新しいことに順応できる人々がそこにいる。YouTubeでマネタイズができるとなったとき、50代の部長クラスが一気に「やるぞ」とならなかったのはそれが理由。遠巻きに(ある意味で批判的に)眺め、様子見が長い。どうやら大金が動いているらしいと知ったときにはもう遅く、自分が乗り遅れたことをただただ恨んでいる。

ここから抜け出すにはいくつかの方法があるが、どんなことでも新しかったら飛びつけばいいというものでもない。自分が持っている能力にフィットしていないのに「新しいテクノロジーだ」というだけで一喜一憂している人を見ると、ああなるとマズいなと感じる。重要なのはすでに持っている自分の能力がどんな列車で運ばれていくと新しい稼ぎになるかということ。稼ぎと言ってしまうと言葉が汚いけど。まあ手持ちのカードを有効に使ってカードゲームに勝つというくらいの意味。

身の回りの人たちがやっているビジネスを見ていると、Aのスリーカードを持っているのにポーカーのテーブルに行かない人がいて勿体ないと感じることがある。反対にいいカードを何も持たずにテーブルに座っている人もいるんだけど。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。