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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2022年7月の記事一覧

最低限の処理:写真の部屋

9月のParisのホテルを探していたら、最後に行った2020年2月より倍近い値段になっていて驚く。円安もあるけど物価の上がり方は異常だ。この前、6月にヨーロッパに行ったときは初めての場所が多かったから比較はしにくかったが、物価は高い気がした。今回はいつものサントノレ、オデオン、サン・ジェルマンあたりのエリアには泊まれそうにない。3万円だった部屋が6〜7万円になっている感じ。 ホテルはもちろん場所が便利で快適な方がいいし、超高級ホテルのように高いことに納得がいく設備やサービス

32分の写真展:写真の部屋

今日撮った「32分間」の写真を11枚、お届けします。カメラはSONYのα1、レンズはSIGMAのコンテンポラリー、90mm DG DN。APS-Cクロップをしているので135mmで撮っています。暑苦しいほどにアップの写真ばかりです。

その人がそこにいる:写真の部屋(無料記事)

ブランディングを個人にたとえると、一番わかりやすいのはソーシャルメディアのプロフィール写真かもしれない。アニメのアイコンを使う人は、私はアニメが好きですと表明しているのだろうし、アイドルの写真も同じだ。つまり自分が「大勢の中のひとりである」というスタンスなのでブランディングは機能していない。 個人にとってブランディングは必要なのか、と素朴に聞かれると困ってしまうんだけど、初対面の人と出会ったときに覆面をしていたら二度目に会ったときに思い出せないと考えればわかるはずだ。最初の

2時間4分の写真展:写真の部屋

当たり前ですがどこに行くにもカメラを持っていきます。もし何かを見つけた時にカメラを持っていなかったら後悔するからです。さっき仕事場から朝食に出かけて帰ってくるまでの2時間4分、何を撮ったのかをお見せします。

フィルム対デジタル:写真の部屋

自分にとってフィルムからデジタルになった恩恵は、写真の整理がしやすくなったことです。フィルムを買いに行って現像所に行って受け取ってネガを整理して、といった作業がゼロになり、HDDには日付ごとに検索できるフォルダだけが溜まっていきます。なんと便利なのでしょう。 デジタルとフィルムを感情的な部分において比較する議論も最近は減ってきた気がします。フィルムにはフィルムの良さがあることはわかりますけど、利便性や経済性といったものとのトレードオフというやつです。デジタルのRAWデータは

透けない下着:写真の部屋

毎日必死で英語を勉強しているんですが、なかなか思ったようにはいきません。よく聞くのは「閾値を超えた瞬間、いきなりわかるようになる」という言葉です。これは自分でも他の分野で体験したことがあるのでわかりますしどんなことでも同じなのでしょう。ある程度、伸び悩む期間を経ないと何もできるようにはなりません。耐えられずに学ぶことをやめ、手前でインスタントな解決法を身につけてしまうと、もう永遠に壁は越えられなくなってしまいます。 写真にはいくつかの構成要素があり、その精密な選択が出来上が

人物のサイズ:写真の部屋

写真の「人物のサイズ」には個性が出ると思っています。 写真全体の面積の中で、メインになる被写体がどれくらいを占めているか。これは誰しも無意識で決めていると思うんですが、何かしらの癖が出ているはずです。使うレンズの選択による画角の変化には意識が働いても、このことはあまり考えていない人が多いような気がします。

裏の手間:写真の部屋

写真を趣味にしている人から写真を見せてもらう。とてもいい写真があった。その人は公務員をしているのだが、辞めてフリーのカメラマンになりたいと相談された。言いにくかったけど「それはやめた方がいいと思います」と助言した。彼が撮った写真は確かにアマチュアにしては上手だった。でも決定的な違いがある。

レタッチの歴史:写真の部屋

リチャード・アヴェドンは、世界中の人々からポートレートのお手本にされる巨匠です。このサイトにある「プリントの指示」に注目してみます。 デジタルカメラはPhotoshopで色々いじって、写真の本質を逸脱している、という原理主義者がいます。写真とはノートリミング、ストレートが基本であると。本当にそうでしょうか。 そもそも写真は「自分の目で見たモノ」を誰かと共有するためのものであって、気象衛星から送られてきた科学的なデータではありません。作者の主観を伝える作品に、客観性ばかりを

写真の現像(追加):写真の部屋

忘れていたことがあったので追加しておきます。 デジカメの色の特徴にはもうひとつあります。アスファルトのようなニュートラルグレーの色調が転ぶことです。このストレートな写真ではややマゼンタになっていますが、これが嫌いなので少し青くしたい。どう処理するかは人によって方法が違いますが、俺は以下のようにしています。

写真の現像:写真の部屋

この前、幡野広志さんとRAW現像の方法について話しました。人それぞれまったくやり方が違うので人の話を聞くと面白いのです。今日は、さっき撮ったこの写真を例に簡単に説明しようと思います。 写真としてはどうしようもないですね。作例というのは「いい写真」である必要はないのでハイライトとシャドウが混在するものを選んだだけです。 これは何もせずにRAWから開いただけで保存したです。では次にRAW現像のパラメータをいじりつつ、現像してみます。それが次の写真。

記憶への執着:写真の部屋

ある仕事の知り合いがいます。その人とはかなり前にヨーロッパのロケに一緒に行ったことがあるんですが、最近はまったく仕事をしていません。仕事をしていない理由は別に何かトラブルがあったわけではなく、その人をスタッフィングするような種類の仕事がないだけです。 たまたま何かのパーティで会ったとき、その人は昔のロケの話を始めました。俺たちの間では「新しい共通の思い出」が増えていないからです。俺は昔話があまり好きではないので、その人がうれしそうに話すのをボーッと聞いていました。悪気はない

愛情の速度と深度:写真の部屋

Twitterなどで誰かの写真を見ると「いい写真ですね」と言いたくなることがあります。モチーフは自分の子供だったり飼っている猫だったりするんですけど、ああいいなあと素直に思える写真にはそうリプライしています。プロに褒められて光栄です、なんて言われるけどそうじゃありません。俺はそのフィールドで戦ってもあなたには勝てない、と思うだけです。 InstagramやFacebookの場合、そう言いたくなる確率が低くなることに気づきます。なぜか。今日は写真の素人が「対等に戦える武器」に