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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2022年5月の記事一覧

ロケ準備:写真の部屋

2020年2月以来、2年ぶりのヨーロッパロケ。久しぶりすぎて何をすればいいか思い出せない。今回は数カ国を移動するし、色々なモノを撮ることになるのでできるだけ機材は少なく、を主眼に。

あなたが焼くステーキ:写真の部屋

仕事で写真を撮っていて面白く感じるのは、「客観性を持てること」だと思っています。たとえば街で見かけた美しい花を一枚撮ることに客観は存在しません。好きなように撮ればいいし、もっと言えば、撮らなくてもいい。 しかし「ここにある花を撮って欲しい」と仕事を依頼された場合、そのすべてが変化します。好きで写真を撮るという行為が持つ領域は、写真を撮るという大きな概念の中の半分以下かもしれません。写真を撮り始めた人が理解したと思っている言葉に感じるのはそこです。スーパーマーケットでいいお肉

フォーカス:写真の部屋

言わずと知れたバルセロナのサグラダファミリアですが、これは自分の目で見た方がいい。写真で見ても何も伝わらない。

ギャランティについて:写真の部屋

とても書きにくいことを書きますけど、生きていく上でお金の話は避けて通れないので仕方なく。たとえば私たちが撮影の仕事を頼まれるとき、ギャラの交渉はとても面倒です。「あの人、写真の空気感とか、写真が持つエレガンス、なんて普段は言ってるくせに、ギャラをもうちょっとあげて欲しいとか言うのよね。セコいわ」などと言われていないかドキドキするのです。というわけでギャラ交渉はマネージャーに任せています。マネージャーが言うとビジネスライクになりますから。 しかし、その反対にアートという高尚な

フードプロセッサー:写真の部屋

写真家の幡野さんが、あるカメラのことを書いていた。それはシェフ同士が「あのフードプロセッサーは便利だよ」「あれは不便だよ」というような会話なんだけど、写真を趣味とする人の中にはかなりの「カメラ愛」を持つ人々がいる。これはクルマやバイクに似ているのかもしれないといつも思う。 ドライブをするという自己実現と、それに伴走する機材という意味において似た構造になっているのだろう。写真はどんなカメラで撮ろうが写真家が同じであれば一緒になる。物理的にこのカメラでなければ撮れないという条件

スタンドイン:写真の部屋

いつもロケハンに行くと、「本当にちゃんと撮れるのかな」と不安になる。いくつもの画角のレンズを用意して、ありとあらゆる可能性を考えて臨む。しかし、だいたいの場合、本番ではなんとかなる。むしろスタンドインが入るロケハンの方が不安をかき立てるものなのだ。 ちなみにロケハンは和製英語で、ロケーションスカウトという。外国人スタッフがいる場合にはそっちを使う。日本人同士ならわざわざ言わなくてもいいんだけど。 スタンドインとはモデルの代わりにライティングや立ち位置を決めるために入っても

格差社会:写真の部屋

昨日はリクエストがあったので普段行かないようなタイプの店で食事をすることになった。結論から言えばさんざんな目に遭った。過去、サービスの質において日本は世界でも有数のレベルにあったはずだが、すでに底が抜けてしまったのだなと感じる。そこには明らかに「格差」の問題がある。 なぜ「写真の部屋」でこんなことを書いているかというと、そこでスマホを取り出して写真を撮っている人をたくさん見たからだ。批判をしたいわけではないのでどんな店かは書かないけど、休日にわざわざ遠くからそこを目指してく