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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2020年4月の記事一覧

メキシカン・フィルター:写真の部屋

ハリウッド映画などで、たとえばNYからメキシコに行ったとき、映像のグレーディングが黄色くなるという問題。これはなかなか具体的に気づかなかったけど、根深いなあと思った。 時間を伴う映像には「理解の速度」というのがある。映像についての最低限のルールを知っていることを前提に書くけど、観ている人の理解の速度に合わせて映像は編集される。アマチュアが作った映像がまったく観ていられない理由がここにある。 その例で言えば、主人公がNYから「文化の違うメキシコ」に移動したという事実を容易に

クライアントの違い:写真の部屋

同じ写真でも、クライアントの違いによってRAW現像は変わります。上がアメリカ航空宇宙局。下が和菓子屋さんの場合です。 Even for the same photo, RAW development is different depending on the client. Above is the National Aeronautics and Space Administration. Below is the case of a Japanese sweets sh

卵かけご飯とは:写真の部屋

いつも書いているのは、写真を撮る上で「正解」はないから好き嫌いでいい。ただし、最低限の技術の理解がないとただの破綻になってしまう、ということ。 簡単に書いたけど、もっと簡単に書くと、美味しい卵かけご飯は「いいお米を上手に炊いて、いい卵と醤油をかければできあがる」ということ。そこで妙な個性を出そうとしてタバスコをかけました、ココアをふりかけましたというのは斬新さではなく、破綻。誰も食べたいとは思わない自己満足になる。 つまり、そこで磨くべきなのは米を炊く技術や、最高の卵を見

ライティング:写真の部屋

自然光で撮る写真が太陽によって決まるように、スタジオではストロボなどの人工的な光が太陽の代わりになります。 スタジオではゼロから環境を作るので、どんな光でも再現できます。ちなみに「ストロボ」という言葉は登録商標が一般名詞化したものです。カメラの上についているモノを「フラッシュ」と言ったり、外付けのクリップオンタイプは「スピードライト」などと呼ばれます。 スタジオで使う高出力のストロボは電源がセパレートしたタイプ、ロケなど持ち運びに便利な電源が一体化したモノはモノブロックと

1/32000:写真の部屋

普段、バッグの中にはSONYのα7シリーズのどれかと、コンパクトなRX100が入っていて、撮ろうと思ったときの状況次第で使い分ける。 撮影ではなく、ただ持ち歩くときにはだいたいα7に35mmか50mmといった単焦点レンズをつけている。レストランなどでは大げさなカメラを出さないようにコンパクトを使う。 上海のカフェでお茶を飲んでいたとき、目の前に大きな噴水があった。話に集中しながらも片手では写真を撮る。いつものことだ。 RX100の電子シャッターは1/32000という高速