マガジンのカバー画像

写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
¥500 / 月
運営しているクリエイター

2019年11月の記事一覧

あなたが知らない世界:写真の部屋

「写真を撮ること」と「写真を仕事にすること」を混同された質問を受けることがある。俺は先生でも講師でもないから答える義務はないけど、ここは写真のことを知りたいひとのための定期購読マガジンだから、メンバーには説明しておく。 写真はカメラさえあれば誰でも撮れる。iPhoneだって十分撮れる。 インスタグラマーなどの出現で、現在は「プロとアマチュア」を技術の差と言ってしまえるほど簡単じゃない状況になっている。だからこそ丁寧な説明が必要なんだけど、最低限の共通認識を持っていないと理

SIGMA fp:写真の部屋

カメラは自分の思い通りにさえ写れば、何でもいいと思っている。 ずっとNikonを使っていたけど、仕事用のカメラは一気にSONYに乗り換えた。LeicaやHasselbladも用途によって使っているし、つい最近FUJIFILMも買った。 そんな中、毛色の違うのがSIGMAだ。SONYでもレンズはSIGMAを使うことがほとんどで、データでも実感でも文句なしの光学性能。特に今回の45mm 2.8、35mm 1.2は、いい。レンズの性能は純正と同じ条件で比較できるからわかりやすい

SONY α7R4:写真の部屋

α7シリーズは、7Rから使い始めて4代目。α9も並行して使っているので約10台を使っていることになる。仕事で使うカメラは予備のために二台ずつ買うからだけど、まだ7R4は2台目を買っていない。ちょっと使いにくいかなと思ったからだ。2ヶ月くらい使ってみて思ったことは、6100万画素というのがオーバースペック。 日常のスナップを撮るだけなのに、「数年前のデジタルバックか」というほどの画素数をムダに持ち歩いていることになる。今まで6000万画素級の中判デジタルバックを頻繁に使う種類

毎日のレタッチ:写真の部屋

毎日どうでもいい写真をアップしておりますが、どういうレタッチをしているのかを聞かれることがあるので、簡単な説明を。 たとえば、こんなカット。CAMERA RAWから何もせずにphotoshopで開いたのがこれです。 135から、4x5の比率にトリミング。理由は単純に135は横に長すぎて、この比率が好きだからです。どこが必要かを決め、やや曲がっていた水平も直します。「最初から完璧な構図で撮るべきで、トリミングはするべきではない」などという古武道みたいな教条主義的発言も見るこ

イナバ物置と国際空港:写真の部屋

以前パリから東京に帰ってきて、仕事場のバックアップ用HDDに写真のデータをコピーしていた時のこと。日付を入れたフォルダがひとつ足りない。10日間くらいだったが、一日分のデータが丸ごとないのだ。これはやってはいけないことをしてしまったと思った。その時は仕事じゃなく遊びで行っていたから別に困るわけじゃないけど、撮ったモノがないというのはたまらん。 いつも、撮影したSDカードをそのまま残し、MacBookと外付けのSSDにコピーをしている。仕事の場合はSSDをもう1台増やしてクラ

機内から都内:写真の部屋

視線の重要性:写真の部屋

当たり前なんだけど、写真を撮り始めた当初からグイグイと人物に寄っていける人は少ない。だから動かないモノを撮るんですよね。カフェオレとか。 写真の仕事を大きく二つに分けると、人物と静物があります。俺は絶対にブツ撮りしかしないのだと決めるのもいいんですが、写真の技術は「こちらの思い通りにならない」ものを撮った方が上達が早いので、人物を撮る練習をして損はないと思います。 「コミュニケーションが苦手、カメラみたいなガジェットが好き、イコール人見知り、人間撮るの苦手、彼女いない」と

ただの嘘つき:写真の部屋

表現に関わる訓練は、受験勉強のようにはいかない。表現のための技術を学ぶのは必要不可欠なことなので、勉強しない人は当然のように脱落していく。 勉強や訓練の方法を間違えていても結果は同じで、「頑張っているのに結果が出ない」という人は、自己流の努力の方法を再考してみた方がいい。 そしてそれもまだ救いのある人だ。「何も正しい方法で学んでいないが結果が出ている」と勘違いしている人に対してはまったく助言のしようがない。何度も書くことになるけど、カメラを買えばその場で誰にでも写真は撮れ