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写真の部屋

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。
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2019年5月の記事一覧

裁判長に、退廷を命じます。

写真について色々なことを考えていこうと思っている「写真の部屋」ですが、これが正しい、あれは間違っている、とは言わないつもりです。 なぜなら写真は、撮る人全員に「完全な自由」があるからです。 大事なことなのでもう一度言いますけど、正解も間違いもなく、自由です。それがわかった上で考えなくてはならないことは、たくさんありますけど。 技術の向上は質の向上に含まれますが、イコールではありません。ここを理解しない門外漢ほど、「いい写真とは何か」などを語りがちです。デシベル的に言うと

写真の部屋・スパルタその4

写真を仕事にしたいと名乗りを上げた14人のメンバー。 一度全員で実際に集まったあと、クローズドなグループページでオンライン勉強会をしているんですけど、そこで気づいたことを「写真の部屋」購読メンバーの皆さんにも共有したいと思います。 努力は健康と似ている。 1月から始めたスパルタですけど、だいたいわかってきました。 今まで見てきたのはメンバーの写真の能力ではありません。自分が発注側として、もし仕事を依頼するとしたら誰にするかというような基準です。 誰でもある日、病気にな

入学試験のない学校。

「ぼくは勉強が苦手なので、将来はアートをやりたいです」というコメントを読んだことがあります。 この場合の勉強という言葉はたぶん学校の勉強、受験勉強を指すのでしょう。でもアートをやるには勉強が不要かというとまったくそんなことはありません。むしろ受験なんかより数百倍必要だと思います。 あらゆる「生き残り試験」の難しさは、倍率によって決まります。それをやりたいという人が多ければ多いほど勝ち抜くのが困難だからです。入り口の敷居が低く、間口が広いほど職業にはなりにくいのです。 誰

函館かウィーンか、のブランディング。

「どうして外国で撮る仕事が多いんですか」 と聞かれることがある。知らん。反対に、「どうして日本で撮る仕事が多いんですか」と聞かれても困るだろう。それと同じ。 たとえば何かの広告で、女性タレントがウィーンの街を歩いているコンテがあるとする。ヨーロッパが商品のイメージに合うとクライアントが考えているから、そこで撮るんだろう。 また、日本酒の広告だったら日本の海がいい。函館でも敦賀でもいいし、肴はあぶったイカでいいと思う。 その商品の違いは、写真を撮る人の選択に直結している