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博士の普通の愛情

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。
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2024年3月の記事一覧

エンドロール:博士の普通の愛情

この歳になると便利な仕組みが使えるようになることを若者に教えておきたい。それが時効だ。トップギャランが「胸に棘刺すことばかり」と歌った青春時代は、あとからほのぼの思い、笑いながら味わうことができる。今日の話は、いま映画館の座席に座っているひとりの中年男性の40年前の出来事だ。 彼はイラストレーターを目指す専門学校生。当時はイラストレーターが時代の花形だった。『イラストレーション』という雑誌には公募のコーナーがあり、そこに自分の絵が掲載されることを誰もが夢見ていた。彼もそのひ

窒息する:博士の普通の愛情(無料記事)

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ブルーのハートマーク:博士の普通の愛情(無料記事)

『愛してる。いつまでも私の娘』 ある女優から聞いた話で一番心に残った言葉です。もちろん状況や具体的な部分はアレンジしていますから、ここからの話はフィクションだと思って読んでもらえればよく、間違っても「あの人のことですか」などと聞く人はいないと信じているので本人の許可をもらって書いています。 「私は日常的に大勢の人から、綺麗ですね、素敵ですねと言われていました。若い頃からです。それらの言葉がいつの間にか心の奥底に沈殿していってしまい、誰とも個人的な付き合いができなくなってし

タイプと年齢:博士の普通の愛情

こゆきさんからいただいた 「好きなタイプは?」「何歳までならオッケーですか?」という質問の正解を教えてください。 というお題にお返事。質問の正解ということは、そう聞かれたときにどう答えたらいいのか、ということでしょうか。取りあえずそれで進めますが、皆さんは明確に「好きなタイプ」ってありますか。背が高い、スポーツマン、優しい、など自分が相手に求める容姿や属性や性格などをどれくらい重視するのかってことですよね。 容姿についてはルッキズムがいまだに幅をきかせていますよね。普段

マガジン内容を一新:博士の普通の愛情

恋愛小説のようなものを書いてきましたが、ここらへんでインタラクティブにしようと思いました。簡単に言えば購読メンバーから恋愛についてのお悩みや持論を送ってもらい、それに答えたり悩んだりしてみようと。 とは言うものの、悩みを解決なんてできませんから聞いてもらえばスッキリするというくらいのスタンスでよろしくお願いいたします。どうなっていくのかはやりながら考えますので、まずは定期購読メンバーの皆様、コメント欄に一言どうぞ。

定期購読メンバーの皆さんへ

「たとえば一週間どこかに遊びに行ったとして、どれくらいいい写真がセレクトできますか」と聞かれることがあります。私はスマホでほとんど写真を撮らないので、遊びに行くときでも普段仕事で使っているカメラで撮ることになります。これがプレッシャーなんですよね。ちゃんとした『作品』と呼べるようなものが撮れるのではないかと淡い期待も生まれます。では、どれくらいの枚数がセレクトできるのでしょう。その答えです。

海を見ると、そう言う:博士の普通の愛情

サヤカさんは以前の職場での同僚。一年先輩だったので色々と仕事を教わった思い出がある。僕が入社して4年くらいしたときに結婚して退職し、そこからは何の連絡もとっていなかった。社長が若い会社だからか、割とクールな職場環境だ。皆で飲みに行くなんてことはなかったし、古い会社にありがちな、休日まで仕事のメンバーと遊ぶなどは考えられなかった。僕にとっては働きやすいのだが個人的な連絡先を知らない社員ばかりだから、会社を辞めるとそれきりになることが普通だった。サヤカさんもそのひとり。 5月の