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博士の普通の愛情

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。
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2023年12月の記事一覧

突然の贈り物:博士の普通の愛情|写真の部屋

14歳のときに聴いていた音楽は一生ものだと言います。さっき大貫妙子さんの『突然の贈り物』を久しぶりに聴いて泣きそうになったのですが、調べてみると、それは私が14歳のときに発表された曲でした。皆さんにもそういう曲があると思います。『突然の贈り物』の歌詞で、私が一番グッとくる部分は、 「必ず待ち合わせた 店も名前をかえた」 というところです。その前の「別れもつげないで 独りぼっちにさせた」のフレーズも勿論、切なく心にくるのですが、心情的ではない情景描写だけで表現しているのがう

東京と中国の寒さ:博士の普通の愛情

タクシーのIDプレートが最近、番号だけのものに変わりつつある。女性ドライバーも増えているからプライバシーに配慮したのだろう。昨日乗ったタクシーはまだ顔写真付きのものだったが、そこに中国人と思われる名前が書かれていた。東京では外国人ドライバーが少しずつ増えているので、話をするのが楽しい。 「中国からいらしたんですか」 「はい、そうです」 「タクシーを始めてどれくらいですか」 「3年くらいです」 これくらい話して、相手の日本語のレベルを探る。それほどうまくない人にはあまり難し

『カメラは、撮る人を写しているんだ。』

1月30日刊行の『カメラは、撮る人を写しているんだ。』の予約が始まりました。写真について足りない頭で考えていることのすべてを、この一冊にまとめました。カバーの小橋めぐみさんを始め、参加してくれた皆さんありがとうございます。

ポルシェ・スピードスター:博士の普通の愛情

彼はクルマが好きなの。私と暮らしていた間だけでも5台くらい乗り換えたと思う。 そう言ってからリエは、ティーカップを持ったまましばらくうつむいていたが、また話し出す。 いま、乗り換えたって言葉が自分の口から出て、ちょっとびっくりしちゃった。まさに彼は「乗り換え」ていたんだってことがわかった。詳しいことはよくわからないけど、知り合った頃は古いポルシェに乗ってたの。スピードスターって言ったかな。それがどれほどいいクルマなのかを説明されたけど、私が興味のない顔をしたからすぐに不機