アニメーターの賃金が低い理由③:労働基準法と下請法の対象外
アニメーターの賃金が低い理由として挙げられるのが、就業形態です。
『アニメーション制作者実態調査2023』によると、425人の回答者の約半数が、労働基準法が適用されないフリーランスまたは自営業者です。
サラリーマンは、企業と雇用契約を結んでいるため、労働基準法と最低賃金法で最低限の労働環境が保護されます。一方で自営業・フリーランスの場合、労働基準法と最低賃金法の適用外となるため、法外な低賃金になりやすい現状があります。
本来であれば、自営業・フリーランスは一種の個人事業であるため、下請法によって、不当な契約を回避することが可能です。しかし、現行の下請法は「資本金1,000万円以下の事業者」には適用されません。
帝国データバンクの『アニメ制作企業の経営実態調査』によると、約半分のアニメ制作企業が「資本金1,000万円以下」になるため、フリーランスのアニメーターに下請法が適用されづらい現状があります。
つまり、多くのアニメーターに労働基準法・最低賃金法・下請法が適用されないため、まともな労働契約が保障されない現状があるのです。
その結果として、時給換算で最低賃金を下回るだけでなく、サラリーマンで言うところの「残業代」も支給されず、正社員に比べて不利な労働環境で働かざるを得なくなるのです。
ここで気になるのは、アニメ制作会社の思惑です。はたしてアニメ制作会社は、これらの抜け穴を承知の上で、わざとアニメーターを安く働かせているのでしょうか。それとも、どうしても資金的に厳しく、仕方なく現状維持で、これらの法的抜け穴に目をつぶっているのでしょうか。
この辺の部分が、あまり見えてきていないので、ぜひ取材したいと考えています。
次回からは、アニメ業界全体として、低賃金問題を解決できる方法を検討してみます。
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