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写本 -いとも優雅なる中世の小宇宙- @国立西洋美術館 に行こう!

2024年8月25日まで国立西洋美術館で「写本 いとも優雅なる中世の小宇宙」が開催中。日本で西洋中世の写本を観れるとは•••と大感動であります。

大学時代に17世紀ネーデルラントの版画を研究していたのですが、研究テーマを決めるときに中世の写本も候補に挙がっていました。

西洋美術オタクのわたくし。
僭越ながら、ここ、すご〜! ここ、おもろ〜!を3つほど。


1、人の遊び心って

中世の写本のおもしろいな〜と思うところは装飾のユーモアだと思っています。
今回一番クスッと笑ってしまったのはこの作品。

この動物たちの何ともいえない、小馬鹿にしたような微妙な表情。なぜこんな表情にしたのか? ちなみにこのイラストは文章部分とは全く関係ありません。

展示されている各写本の文字装飾や余白スペースもそこまでこだわらなくてもいいだろう•••というところでバチバチに装飾が施されていたりします。

右側の鳥はなんだ?!

学校教科書に載っていた“芥川龍之介”や“夏目漱石”の顔写真にお絵かきしてみたり、余白にパラパラ漫画を描いてみたり。そういう遊び心に通じるものが中世の写本にもあると思っていて、何百年前の名前も知らない誰かに親近感を覚えます。

2、人の本質って

これまで中世の写本を美術館で観てきましたが、子どもの百科事典サイズのものばかりで、写本とはその大きさが基準とばかり思っていましたが•••

今回の展覧会で文庫本より小さいサイズのものがスタートだと知り、目から鱗でした。持ち運び用の聖書なので小さいものが求められていた、と。
なるほど。確かに。
そのサイズで装飾をしてみようと思った誰か。執念ですね。

文庫本サイズでこの装飾の細かさはすごい

その後、写本は聖書の中から普段の礼拝で使う部分を抜粋したり、礼拝時に讃美歌を歌うから楽譜を載せてみたり、みんなで見れるように写本のサイズを大きくしてみたり、文字が読めない人にもわかるようにイラストを増やしたり、大きくしたり。

上の画像と比べて文字量少なって思いますよね

時代が変わっても人間の考えることは一緒なんだなぁと思いました。

3、楽譜の歴史

礼拝で讃美歌を歌うから、写本に入れ込もう!
その讃美歌の楽譜。今見ているものとは違い

四線譜でした! 
どんな音楽だったんでしょう。今も残っている讃美歌なのかしら。
今回展示されている写本で1枚だけ五線譜のものがありました。楽譜の歴史も気になるところです。

まとめ

大満足の展覧会でした。
日本でここまで質の高くて保存状態の良い中世の写本を観れるなんて。
感激です。

写本のどういうところが好きなのか考えてみたのですが。
科学がどれだけ進歩しようとも、「余白にお絵かきしよ」とか「普段使うところだけ抜粋しよ」とか人間の本質部分は変わらない、というところが多分好きなんだろうな、と思いました。

写本の装飾は細かいものが多いので、ぜひ顔を近づけてじっくりと作品を楽しんでほしいです。

私も家宝として装飾写本一葉を購入しようかと思いました。ヨーロッパの古書店で購入することができるようですが、どこかにツテが転がっていないかしら。

ここまで読んでいただきまして、Dank u wel !!


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