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"excited"≠「興奮している」 「興奮」という意味をもっと考えよう

"I'm excited." で笑いが起きた

どうもこんにちは、セカンドストライクです。
先日、某格闘ゲームの海外の大会を配信で見ていました。海外の大会なので、当然内容は全て英語だったのですが、日本人向けの日本語応援配信があり、MCやコメンテーターも日本人でした。その応援配信中に、日本人選手の試合に向けての意気込みのコメントが発表され、そのコメントを見たMC達から笑いが起きるという事がありました。その笑いが起きたコメントはこちら。

"I'm excited."

海外向けの大会なので、恐らく元々は日本語のコメントをそのまま英語に翻訳したのではないかと思われます。この日本語のコメントが元々どういったものだったのかを考える前に、まずは皆さんで「何故この英語に翻訳されたコメントで笑いが起きたのか」を考えてほしいのです
さて、この英語自体は何もおかしいものではありません。日常会話的にも非常によく使う英語なのですが、これをそのまま皆さんの一般教養で習う英語に当てはめて翻訳してみましょう。すると、たいていの場合こんな日本語に翻訳されるのではないでしょうか?

「私は興奮している」

この翻訳自体が「間違いである」と言うつもりはありません。確かに状況的に興奮するようなこともあるかもしれませんが、状況を一度整理してほしいのです。
ゲームとはいえ、これから試合に向けての意気込みのコメントで「興奮しています」と、”日本語で”回答する人は一体どれぐらいいるのでしょうか?

いや、自分を奮い立たせていて、興奮しているという状況も全くないとは言えないのですが、ただやはり応援配信を見ていた日本人のMCや解説、コメンテーターの人から笑いが起きたというのは、少なくとも「いやいや、お前そんなに興奮するようなことかよ(笑)」と思われたのだと思います。
実際に、MCの一人がこのコメントを見て「興奮しているってことなんですね(笑)」と翻訳(解釈)してしまったことから、周りでも笑いが起きてしまったのです。

「興奮する」とは?

そもそも日本語で「興奮する」とはどういう意味でしょうか?

web辞書のweblioさんで調べると、以下のように出てきました。

感情高ぶること。「—を静める」「—して口数多くなる」「—状態」
生体またはその器官組織が、内外刺激反応して休止状態から急速に活動状態になること。特に、神経細胞筋線維活動電位生じること。
気分病的に高揚した状態。カフェイン・アルコールの急性中毒躁病(そうびょう)の患者などに認められる

「weblio辞書」より

とまあ、こんな感じでした。私的には、結構鼻息を荒くして熱くなっているみたいな状態をイメージします。

「かわいいこ」が興奮している様子

"excited"は「興奮している」だけではない

ところがどっこい、一方でその英訳の対象となっている"excited"は、必ずしも「興奮している」という意味だけで翻訳されるものではありません。試しに私がいつもお世話になってるweb辞書の英辞郎で調べてみると、こう出ました。

1.〔良い出来事に対して〕興奮した、活気のある、ワクワク[ウキウキ・ゾクゾク・ドキドキ]する、ハイテンションになって、胸の高鳴る、血が騒ぐ
・I'm getting more and more excited. : 燃えてきたぞ。◆意気揚々
2.〔議論などが〕激しい
3.〔原子などが〕励起された

英辞郎on the WEBより

注目すべきは1の部分です。確かに「興奮した」とありますが、それだけではなく「ワクワク」「ウキウキ」などもあります
このことからもわかるように、"excited"はただ単に感情が高ぶるだけでなく、将来に向けての楽しみや期待に胸を躍らせる表現でもあるのです

さて、最初の日本人格闘ゲーマーの意気込みコメントに戻りましょう。
「興奮しています」とコメントした可能性も100%ないとは言い切れませんが、恐らく状況やその選手の性格的にも「楽しみです」ぐらいの事を、元々日本語でコメントしていたのではないかと思うのです。これならば、日本語応援配信でも、笑いが起きることは無かったのではないでしょうか。

とまあ、こんな感じで"excited"は「興奮している」から「楽しみ」ぐらいの意味的なふり幅があると思っていてください。日本語だと「興奮」or「ワクワク」の二択ぐらいで捉えられますが、実際に英語で使われる"excited"は、日本人が思う「興奮している」よりも、もっとカジュアルな意味で使われる場面が多いと思った方がいいです

テレビを見ていても、恐らく反射的に「興奮しています」と翻訳されている場面が結構あるなと感じます。有名な海外俳優のインタビューでの通訳や、あるいは外国人観光客を取材する某テレビ番組などなど……。

特に通訳は瞬間的な反応が求められる仕事なので、いちいち野暮なことは言いませんが、もし皆さんもテレビや動画などを見ていて「興奮している」と訳されたときに違和感を持ったら、「ああ、『楽しみ』ぐらいの意味なのかも」と脳内変換してみると、スッキリすることも多いのではないでしょうか

学生の内はテストで"excited"を日本語訳する問題が出ると「興奮した」と書かないとバツになってしまう事もあるので仕方ないかもしれませんが、学生を卒業した、あるいはもっと実践的な英語を身につけたい方は、"excited"の意味の介錯を「興奮した」よりももっと拡げてみましょう!

以上です! ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

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