正しい画を求めて⑪ HDRのメタデータ

WindowsでHDRモードの校正をしっかりやった。。。はずがDeckLinkやコンソール機の出力(※)にLUTを当てても同じように見えない事がある。というか大半はそうなるはずだ。
※なおコンソールの出力に外部LUTで校正を当てる場合、基本的にHDCPを解除する必要がある。HDCP対応の外部LUT BOXがないからである
せっかく時間をかけて校正したのに何故・・・と変な爆裂娘を仲間にしたカスマさんの如く絶望に打ちひしがれるかもしれない。

これはHDRモードでのマッピングが異なるからである。
WindowsはおそらくモニタのEDIDを参照し、HDRのメタデータ情報としてHDMIに出力する映像の輝度情報を付与する。
HDRモニタはその輝度情報を元にマッピングを自動調整する(メーカーの設計にもよる)が、この情報は必ずしも適切なものではなく、またWindows以外の機器では出力するコンテンツに付与された輝度情報をHDMIの出力に重畳する。
この情報はMaxCLL/FALLとして知られており、HDRモニタが参照するHDMIのメタデータとしてはこの他にMax Luminance、Min Luminance、Primary ColourやWhite Pointに関するものもある。
Windowsとコンソール機やDeckLinkで表示が異なるのはこれらの情報が異なるからだ。
余談だがハードウェア校正に対応した機器ではこれらの情報を一切無視し、固定されたマッピングで表示し続ける事が可能である。校正を考えると当然のことだろう。

ではコンソール機やDeckLinkの出力は再度作り直さないといけないのだろうか。
出力に応じた専用の校正情報を作成すれば問題ない話ではある。ただしDeckLinkはまだDaVinci ResolveをPattern Generatorとして使用することで対応できるが、PG機能を持たないコンソール機は校正できない。
ではやはりコンソール機の校正は不可能なのだろうか。
たしかにメタデータが異なればWindows用の校正は機能しない。
しかし逆にメタデータを強制的に上書きすれば同じマッピングになり、Windowsで作成した校正LUTを使用することが出来るのではなかろうか。

これを実現するのがHDFuryのHDFury 4K Diva 18Gbpsや4K Vertex、8K VRROOMである。
これらの機材は接続されたHDMI信号に対し、HDRメタデータの付与/削除や編集が可能だ。
この機能を使用し、Windowsと同じメタデータを再現、もしくはWindows含めより適切なメタデータを設定してやることでモニタのマッピング設計を常に同じに設定することが出来、この状態でWindowsで作成した校正LUTはその他の機器でも使用可能だ。

WindowsのDWM経由でLUTを当てる方法と比較すると機材が必要になるなど、少し手間は増えるがこの方法でUHD BD再生機やPS5、DeckLinkの出力も校正が出来るので試してみるとよいだろう。
なお先述の通りコンソール機はHDCP情報があるため外部LUT BOXが対応していないことが殆どである。このような場合は非HDCPの出力が可能なスプリッタを挟むことで処理が可能だ。

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