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機動戦士ガンダムSoul 第1話「失われた日常」

―――あの日、僕の日常は壊れた。

西暦2049年 '東京’

長い冬を終え、暖かくなり始めた4月。

あの日、気だるい高校の授業を終え

僕...堂本マサキは

小学校からの親友(悪友?)である

アキラとタクミの三人で街に来ていた。

「来週から、正式にサッカー部に入るし、本格的な練習が始まる前に『イグニッション(3Dカラオケ)』に行っておこうぜ!」

と勢いよくタクミが言う。

「今から行って入れるか?この前も一杯で入れなかっただろ?」

それに対し、アキラが溜息混じりに答えた。

「だからこそだろ。今度こそリベンジしてやる!」タクミはどうしても譲らない。

「今年の春から、高校生になったって言うのに、俺達あんま変わってないよな~」

と僕は、二人の顔を交互に見ながら言った。

「別に無理して変わる必要ないだろ。俺達は今まで通りで気楽に行こう。」とアキラが微笑んだ。

そんな何気ない会話をしながら、僕達は、人ごみをかき分け、大きな交差点を走って渡ろうとしていた。慌しく点滅する信号。その時、大型トラックが猛スピードで突っ込んで来た!

吼えるようなブレーキ音。目の前で次々とひかれる人々の悲鳴。刹那の瞬間。逃げる間もなく、僕達はトラックに轢かれたはずだった。

.............

気が付いたら、世界は灰色に染まっていた。

人も街も、すべてが灰色になり動かない。先程までの喧騒が嘘のように静かだ。

「アキラ!タクミ!」そう叫びながら、僕は、すぐ傍で倒れていたアキラとタクミの身体を触れてみた。しかし、二人の身体は、まるで蝋人形のような感触だった。何が起こったのか僕には解らなくて、夢でも見てるのかと思った。だが...

ドガッ!!

突然、どこからか爆発音が聞こえたかと思うと何かの破片が飛んできて、僕の額を切り裂いた。額から流れ落ちる血の匂いと傷の痛みでやっと分かった。これが「現実」だと言うことが。
はるか上空で、何かが爆発した。そう直感した僕は、額の傷を押さえながら灰色の空を、ゆっくりと見上げた。

雲を切り裂きながら、空中で激しくぶつかり合う二つの影。戦闘機?いや違う。あれは

「あれはガンダム!?」


上空で戦闘を行っている二機の内、緑色の...龍を彷彿させるその機体は子供の頃テレビで見た『ガンダム』と言う名のロボットによく似ていた。

戦闘は激しく続いていたが、やがて、緑色の機体が押し始めた。形勢が不利になった黒い機体は、突然、逃げるように地上に降りてきて、僕の近くで身構えた。

―――戦闘は、さらに激しくなる。

「一刻も早く逃げないと。」そう思えば思うほど足がもつれて動けない。

そんな僕の目の前で、緑色の機体が一瞬、輝いたかと思うと黒い機体は、十字に引き裂かれ、やがて、ゆっくりと崩れ落ち、その後、跡形もなく爆発した。目前に迫る炎。でも、僕の体は恐怖で動かなかった。

――― 死ぬ!?

そう思った瞬間、目の前に、ガンダムのような水色の機体が突然現れて爆風を防いでくれた。あまりの出来事に、僕が呆然としていると、さっきの緑色の機体から、誰か降りて来た。

そして、ゆっくりと僕に近付き「なんだ?お前は。」と言った。
僕が返答する間もなく、軍服を着た20代前半くらいに見えるその男は、胸元から銃を取り出すと「誰だか知らねぇが、見られたからには死んでもらう。それが俺達のルールだ。」そう言いながら、鈍く光る銃口を僕に向けた。

(第2話『閉ざされた世界』 に続く)

子供の頃からアニメが好きで、そのまま大きくなった40代です。(*´∀`)♪懐かしいアニメから最新のアニメまで、何でも見てます。