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TVアニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」第5話感想と解題

わけあって遅めの感想と解題です。
今回は的場梨沙の「担当回」でしたね。
このお話を見て、彼女は誤解されがち名部分と、見た目そのままの部分が渾然一体となっている、実に魅力的なキャラクターだと感じました。

努力と焦り

それにしても、梨沙は必要以上に焦っているように見えます。早く仕事が欲しい、他の子に遅れをとりたくないと、プロデューサーにも迫るくらいでした。

確かに、今までのところ見せ場がはっきりとありませんでした。仕事が得られずレッスンしかないときには、不満な表情と態度を隠そうともしていませんでした。

その一方で、彼女は根性のある頑張り屋であることが今回特に強く描かれていました。もしかしたら、U149組の中でもとりわけアイドルへの思い入れが強いのかもしれません。
だからこそ、いつでもバッチリとメイクを施し、自主練あるいは居残りダンスレッスンをしているなど、日頃の自分研きや努力を欠かしません。

それにしては、彼女の焦り方はやや度を超えているようにも見えます。そのあたり、プロデューサーも少し心配しているのか、彼女とやり取りしているとき、ふと表情が陰ることが見受けられました。

彼女は、一体何に急かされて焦っているのでしょうか。

櫻井桃華に先を越されたからでしょうか。
確かにそれもあるでしょうが、それだけで説明できないようにも思えるのです。

「がんばりたかったのに」

上記のセリフは、駅で電車待ちをしているときに父親と電話で会話しているときのセリフで、引っかかった部分です。

オーディションには落ちましたが、その代わりに重要な役を演じるようオファーがあり、それを受諾しました。これは十分に大きな成果を上げたと言えます。しかし、「がんばったんだからご褒美」と言うプロデューサーに対して「いらないって言ってるでしょ!」と突っぱねます。

梨沙は、「(みんなと)がんばりたかった」のだと、そう父親に対して告白しています。ただがんばっただけでは彼女は満足できなかったということかと、そう読み取れるセリフです。

おそらく、彼女は結構な完璧主義なのではないかと感じさせられます。その点を、プロデューサーは感じ取っているかもしれません。完璧主義は度が過ぎるとかえって自分を苦しめてしまうことも往々にしてあります。
そこをどうしても彼は解きほぐしたくなっているのかもしれません。

「私ってかわいいじゃない?」

この梨沙のセリフは、自分が「アイドルとなるには十分にかわいい」ことを知っているというようにもとらえられますが、その後のセリフはそこから少しずつずれていくように感じられます。自惚れているように見えて、「今の私の魅力は、今だけのもの」という自覚もあるように感じるのです。

そして、「今の自分の輝きを見せつけたい」と心情を吐露します。たぶんそれが、先ほどの「がんばったのに」に繋がってくることだと考えます。そして、その上でプロデューサーに頼んでくるわけです。「私はまだその方法がわからない」と。

「みんな、お願い。協力して!」

そして、梨沙は「見た目も性格もおとなしい役」を演じるために、自分では届かない部分について第3芸能課の「仲間」に助力を乞います。ここが前半と全く違うところですね。誰の手助けも借りずに一人でオーディションに合格しようとしていたときとはまるで違います。少し、頑ななところが解けたかのようです。

ちょっと面白かったのは、「メガネっ娘」がどのように受容されているかの分析があったことですね。落ち着きがあるように見える、というのです。
その割に、アイドルマスターシリーズにはアクティブだったり落ち着きがなかったりする眼鏡キャラが沢山いるのが面白いところです。

その結果は御覧の通り、というわけですね。

それにしても、梨沙のパパの影がそれほど大きくなく、かえってプロデューサーの姉ちゃんの方が存在感が大きいような作り方になっていたのはどういうことなのでしょうか。パパ像は謎のままです。

作画については、全体のクオリティをほぼ保ちつつ、要所で細かな演技をさせていたのは印象的でした。特に、駅で一人になったときの梨沙の作画が印象的です。

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