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義妹生活(小説版)8巻の表紙と9巻の表紙の違いについて(今さら)

12月中に1本記事を作ると、毎月更新が継続するということで、今さらながらこの話題に触れる。小説版「義妹生活」8巻の表紙の特徴と、9巻の表紙の特徴について語らせていただく。

1〜7巻の表紙はどうなっているか

小説「義妹生活」の表紙は、ずっと主人公の二人の生活の一部を切り取ってきた。そして私が注目しているのは、二人の視線である。この「何気ない」一場面は、それぞれの巻の物語を象徴しているのではないか。それも、位置関係というよりも、二人の視線の絡まりあい方が非常に特徴的だ。

1巻では二人の視線は向かい合わない。彼らの身体の向きは真反対を向いている。それでも悠太は沙季に視線を送っている。これからの二人の物語が示唆されているようにも感じる。

8巻の「どうした?」

8巻に表紙に、多くの読者は違和感を感じたかもしれない。二人が同じ教室にいるらしいことはわかる。しかし、二人の視線は絡まることはない。二人の身体の向きも全く異なる。
同じ教室にいるというのだから、学校においても彼らの距離は縮まったかと思いきや、二人の視線の先は全く別のところにある。

二人の関係に何かあるのか、ということを何となく感じさせて、不安が湧く。「どうした?」「何があったのか?」と感じるすれ違いぶりである。

実際8巻では、様々な事情があって二人の関係に揺らぎが起きていた。
このエピソードでも重要人物として登場した工藤英葉の言葉で-その見立てが当たっているかどうかに疑問があるとは言え-二人の関係はまた少しずつ自然さを取り戻すことができるか、という、二人の主人公同士にとっては非常に大切な、そして第三者にとっては全く些細な話が「続く」のだった。

9巻の変わりよう

そして9巻である。正直、身悶えた。二人が向かいあっている場面が表紙で描かれるのは初めてである。さらに、弁当を渡すシーンというおまけまでついてきて、もうカワイイの一言に尽きる。
二人の関係は、また少し、自然な形で深化していった。そしてもう一つの対の物語も匂わされた。

主人公二人の関係がより深まっていく描写は、直接的なものではなかった。彼らが抱えているまた別の課題、「自分はこんなヤツだ」という殻を破ったのは、実は非常に大きな変化である。

それこそ、表紙の二人が向かいあって弁当を渡すように、二人の関係は変化したのだ。それは確かな一歩だ。

二人には、家族になって欲しい。

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佐分利敏晴
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