第2夜 ニワトリの卵に関する動物福祉
2021年5月15日に第2夜を開催しました。
テーマは「ニワトリの卵に関する動物福祉」。
みなさんは、卵を買う時にニワトリがどんな風に飼われているかを想像したことはありますか?
この回では、身近な食材である卵をキーワードに、ニワトリの福祉についての基礎知識を共有しました。そして、私たちにできることは何かを考えました。
1.あなたはどのくらい卵をたべますか?
まず最初に「日本人はどれぐらい卵を食べているでしょうか?」という質問をしました。
この中のどれだと思いますか?
正解はこちらです。
日本卵業協会によると、2020年の日本人一人あたりの一年間の卵の消費量は約340個で、メキシコに次いで世界第2位だそうです。日割り計算では、なんとほぼ一日1個食べていることになります。
そして、もうひとつ質問。
スーパーにお買い物に来たという設定で、たくさんの卵のパッケージ画像を見ていただいて「この中でどの卵を選びますか?」という質問をしました。
パッケージには、ビタミンD入り、新鮮、こだわり、平飼いなど、さまざまな表示があり、その中から1つ選んでいただきました。
選んだ理由について、参加者の方からは値段がやっぱり気になるというご意見をいただきました。
2.ニワトリの一生と飼育方法
次に、卵を産むニワトリの一生について情報共有しました。
ニワトリは生後約20日頃から卵を産み始めます。1年過ぎたころに「強制換羽」をします。これは、羽が抜け替わるときに起きる卵の不揃いをなくすために人が管理して行われています。そして生後2年で廃鶏として加工肉になり、一生を終えます。
また、飼育環境についても触れました。
日本では、卵を採るニワトリはバタリーケージという、ノートの大きさくらいの金網のケージに1羽ずつ入れて飼育する方法が一般的です。
そのほかにも、
平飼い(小屋を作って自由にさせる)
放牧(日中の半分以上を外で過ごさせる)
ファーニッシュドケージ(止まり木や遊び場がある小屋)
エイビアリー方式(立体的な止まり木がたくさんある小屋)などがあります。
3.ニワトリの動物福祉、世界はどうなっている?
日本ではバタリーケージでの飼育がメインでしたが、世界ではどうなっているでしょうか。
ヨーロッパでは、どのように飼育されたニワトリの卵かどうかを知るための「ラベル」がついています。そのラベルを確認することで、その卵が動物福祉に配慮されたものかを知ることができ、消費者自身が選べるようになっています。
また、世界的にバタリーケージを廃止する流れになってきています。
しかし、2021年5月に「卵を産むニワトリの動物福祉の基準は、国によって多様な飼育システムが認められるべき」という日本側の主張により、ややあいまいな文言が採択されました。
そのため、現時点では各国によって動物福祉の基準はまだバラバラという状態になっています。
4.動物福祉に配慮された卵を買いたいけれど…
知識の共有のあとは、2つのテーマで議論の場を用意しました。
1つ目は「日本でもEUのように、動物福祉に配慮されている商品が売られていたら買うか?」
2つ目は「どんな飼われ方をした卵を、どんなふうに消費したいか?」
です。
この議論では、動物福祉に配慮された卵を買いたいとは思うけれど、日々のことなので値段が気になるというお話などを参加者の方としました。
5.第2夜まとめ 日本の卵のこれから~あなたの選択が未来を変える~
動物福祉に配慮された飼育方法に替わっていくと、卵の値段は上がっていきます。
消費者である私たちは、その値段に納得して買うことができるでしょうか?
また、今後どんな卵をどのくらいの値段で、どんなポイントにこだわって買えばよいのでしょうか?
これらの答えは、私たち一人ひとりの「選んで買う」という、普段のお買い物の習慣にかかっています。
私たちの習慣は、ニワトリだけでなく、ほかの生き物を取り巻く世界を変えていくということを忘れないようにしていきたいですね。
6.次回の掲載予告
次回は
『第3夜 動物福祉の視点で動物カフェを見てみる』の内容を掲載します。
どうぞお楽しみに!
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【第2夜で使用した参考文献】
・https://www.jiji.com/jc/article?k=2021011500903&g=eco
採卵鶏は議論長期化 家畜ごとに国際基準-アニマルウェルフェア (http://jiji.com)
・https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210127/k10012834911000.html
卵が値上がりする?事件記者、真相を追う(NHK WEB NEWS)
・https://maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/oie/attach/pdf/oie7-168.pdf
5月のOIE総会へ提出する採卵鶏生産システム第五次案(47ページから)
・ニワトリの閉じ込め飼育続ける日本 採卵農場で女性従業員が見た“残酷” 2020/12/10(木) Yahooニュース
・https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/attach/pdf/animal_welfare-46.pdf アニマルウェルフェアの考え方に対応した 採卵鶏の飼養管理指針 公益社団法人 畜産技術協会
・http://www.nlbc.go.jp/okazaki/tamahiyoniwa/niwatori/qa-tori.html
独立行政法人 家畜改良センター岡崎農場
・http://www.nlbc.go.jp/hyogo/index.html
独立行政法人 家畜改良センター兵庫牧場
・http://www.jakks.jp/feed/prtprocess/chicken.html
ジェイエイ北九州くみあい飼料株式会社
・http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/improvement/tori.pdf
アニマルウェルフェアの向上を目指して 採卵鶏
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