取次者の矜持

わりと情に弱い人は、気をつけて頂きたい。
申請取次をやっていると、およそ日本に滞在させるべきではない
輩からの相談も来る。

といいながらも、自分もどちらと言えば、情に弱い。

出席率が悪すぎるのにアルバイト年収が多すぎる、しかもそれを誤魔化すような申請の仕方を行っていた留学生は、追加で求められた理由書(出席率が低いことについて)の提出もむなしく、帰国やむなしという結果になった。

理由書だせば、ダイジョブネと、一種たかをくくっていたところもさることながら、更新できなくても、また、仕事をしに来るつもりだという様子には、残念ながら反省は全く感じられなかった(だからこそ、入管は温情的に判断しなかったのではないかとすら思えるほどに)。ルールを破った場合でも、また日本に簡単に来ることができるくらいに考えているのは、文化の違いなのか、はたまた本人のパーソナリティそのものの問題なのか。

矜持なんてたいそうなタイトルではあるが、自分の場合、通すべき人を通して、通すべきではない人は通さないというのがポリシーで。その半端な位置にいるのが、たとえば出席率の悪い留学生だったりする。出席率が低い理由は人それぞれではあるけれど、精神的な問題で欠席が増えてしまったなんて場合は、その一事をもって即更新不許可とするのもなんだかかわいそうではないですか。その点において、自分は情に弱い。できるだけ更新を認めてもらえるようにとは思うけれども、上記のような、罪悪感のかけらもないがゆえにかえって罪深いと言わざるを得ないような人に限っては、「まずは反省をしなさい」と、小言の一つも言いたくなるものです。

結局、母国へ帰国した件の留学生は、帰国後すぐに、「日本での働き先を紹介してくれ」さらには、「それが無理なら、結婚するために誰か探して、みつかったら教えてくれ」とのたまう。

もはやこちらとしては、怒りと諦めをない交ぜにした、表現しがたい心持ちにならざるを得ません。特に後段の発言内容に至っては、取次を行う者としては、ため息しか出ません。

情に弱い。それは確かですが。一方で、遵法意識が皆無となれば、日本にそう簡単に入れてはいけない。郷に入っては、郷ひろみというじゃないですか(ちがう)。

果たして、件の彼の再来日が実現する日は来るのでしょうか ー

路上シンガーの前に置いてあるチップのための入れ物みたいなものです。入れて頂いたら一曲歌います(心の中で)。