制服女子の魅力ってなんだろう?【国士舘アニ研ブログ】

(この文章は学祭や文学フリマにて頒布した部誌である「Cultures」にて掲載したものとなります。)


制服女子の魅力ってなんだろう?
執筆者:あねもね

皆さんは制服女子は好きですか? ……そうですか。実は僕自身は特別、制服女子が好きとかっていう訳ではないんですよね。じゃぁなんでこんな文章書いてるんだって話ですが、そこは触れずにいきましょう。こんなのは書いたもん勝ちです。
というわけで、今回はタイトルの通り「制服女子の魅力」についての持論をお話しさせていただきます。割と長めのものになっておりますが、それでもという方はしばらくお付き合いください。


・制服女子とは

まずはこの記事を書くにあたり制服女子を定義しなければなりませんね。
まず、当然ですが学校制服はこれにあたります。シャツやセーラー服、カーディガンやブレザー、スカートなどです。学園ものに登場するキャラが見に纏っているもので、制服と言えばこれらが最もメジャーですし、制服女子が好きと言う人々が言っているのもこれらのことでしょう。しかし、制服とは必ずしも学園ものだけに限ったものではありません。というのも、制服とはなにか規定された衣装を指す言葉であり、学園制服がその全てではありません。戦闘シーンがメインだったり、「〇〇作戦」なんて言葉が出てくるアニメを思い浮かべてください。例えば、「魔法少女まどかマギカ」や「新世紀エヴァンゲリオン」などです。戦う際に変身するのはこれらの2作品だけではなく、ほかの作品のキャラクターもこんな具合に特別衣装になることが多いです。色や系統はキャラによって異なりますが、戦闘衣装として身につけられるという点は共通です。このように共通の状況下で身につけられる衣装も、ある意味では制服です。他作品ではエヴァンゲリオンでも同じことが言えます。普段は学校制服を着用していますが、(一部シーンを除いて)エヴァに乗る際はプラグスーツに着替えています。こちらは特に、学校制服以外での「規定された衣装」としてわかりやすい例でしょう。エヴァに乗るキャラクター全員が似たようなスーツを来ていますし、その構造や基本的な機能も同じです。
長々話しましたが、つまり、制服には「いわゆる学校制服」と「特別な状況で着用される衣装」の2種類が存在するということです。
そして、この記事内では上記の2つを「制服」として扱っていきます。

・制服の魅力

この節では、制服の魅力はどこにあるのかを考えてみたいと思います。
〈学校制服の場合〉
こういった話題ではもっともわかりやすいでしょうし、皆さんもなんとなく感覚で分かるかもしれません。学校制服は上述した通り、シャツやセーラー、スカートやカーディガンと、色々なパーツがあります。夏はシャツやセーラーを着用し、冬はカーディガンやマフラーなどを重ねます。季節性だけではなく制服には色やデザインによっても違いが生まれます。皆さんの通っていた学校の制服とほかの学校の制服は同じ色でしたか?似ている色が使われることはありますが、デザインまで全く一緒というのはなかったでしょう。進学先を選ぶ女の子が「〇〇高校の制服可愛いから」と思ったり、男子が「あの子可愛くね、ナンパしよ」と思うのはそういう違いから出てくるものです。つまり、学校制服は一見すると一律に整えられたものであるが、パーツの組み合わせや季節性、学校ごとの差異があるということです。そしてそれが学校制服の「魅力」なのです。
〈特定の衣装の制服の場合〉
こちらの魅力をあげるのは少々難しいかもしれません。というのも、学校制服のようにある程度の決まった形が存在せず、各作品によって形式やデザインが全く異なるからです。例えば、まどマギとエヴァの戦闘衣装は全く異なるものですよね。両者の衣装は全く系統も機能も異なりますから、学校制服のように「〇〇高校の方が可愛い」といった同じ土俵での比較が出来ないのです。できない訳では無いですが、そもそも全く異なるものなので比べたところでどうにもならない問題です。ところがそこで出てくるのが「個人の好み」です。(*後述します)
こういった衣装としての制服の魅力を、とくにあげるとすればそれは独自性でしょうか。作品ごとに違うということは、作品ごとに方向性が違うということです。かっこいい路線でいくのか、かわいい路線でいくのか、それともユニークなデザインで差別化をするのか。こういった方向性の違いから、それぞれのかっこよさやかわいさが生まれるのではないでしょうか。学校制服が制服そのものに対する魅力であるのに対して、こちらは作品(テーマ)そのものの魅力であると言えるかもしれません。

・好みの差と学校制服との棲み分け

「〇〇作品の衣装はかっこいい」とか、「〇〇のこのキャラの衣装が良い」とか厳密な好みが出てくることろなのです。特に後者はある一定の共通性の中で好みが区分されます。
「鬼滅の刃」を例にあげてみましょう。鬼滅の刃には水柱や炎柱、蟲柱といったものが出てきますよね。こういった人々はそれぞれが柱という"称号"を持っていて、これが共通性です。そこで我々読者の好みが区分されるポイントは「なんの柱なのか」という部分です。柱によって見た目も、性格も戦闘スタイルも変わってきます。キャラクターの色が一番よく出る部分であり、読者の好みが一番現れる部分でもあります。こちらの場合は、学校制服なんかとはまた別の棲み分けがされることがほとんどです。実際に棲み分けという行為をしているわけではないですが、無意識的に我々は捉え方を変えています。

・制服キャラのどこを見ているのか

制服を身にまとっているキャラクター達に一貫していることとして「似合っている」「かわいい」という部分があるかとおもいます。しかし、これらは2次元のキャラクターであるということが前提にあることを無意識にしてしまいがちです。2次元であるからこそ、そのキャラクターや作品のテーマに合ったデザインが象られて当然です。となると、我々が制服キャラをかわいいと思う際に、それらの判断基準にしている要素はどんなものなのでしょうか?2次元のキャラクターであればやはり顔でしょうか?それともデザインでしょうか?顔で判断しているか、デザインで判断しているかは一見同じことのように見えますが、少し異なってくる部分もあります。キャラクターの顔で判断していればキャラクター本体に対する嗜好に、制服のデザインで判断していれば制服というカテゴリーへの嗜好になります。
つまり、我々見る側の人間がそれぞれどこに重きを置いているかによって基準は変わってきます。(こんなのは当然のことですが、感覚的に感じていることをこのように文字に起こすことで改めて何か叡智を得られるかもしれません。大事なことです。)
前者のように顔で判断している場合は「制服が好き」ではなく「そのキャラが好き」または「そのキャラの制服姿が好き」ということになります。こうなってくると、制服キャラが好きかどうかという話題において大きく論点が異なる方向に向かっていきます。みなさんは「キャラクター本体」と「制服というカテゴリー」どちらで判断しているでしょうか。考えてみると意外と……なんてこともあるかもしれませんよ。

・3次元と2次元の差

ここまでは2次元の制服女子をメインに据えてお話してきました。この節では3次元の制服女子についても少し言及致しましょう。そうです、3次元、つまりはリアル、現実です。こちらにも目を向けなければなりません。いつまでも安全地帯にはいられんのです。さぁみなさん、現実に目を向ける覚悟はできましたか?僕はできていません。
3次元と2次元の差、その最たるものはやはり"存在"でしょう。目の前に在るか否かです。僕らがどんなに頑張っても2次元の女の子に直接触れることはできません。しかし、3次元であれば実際に触れることが出来ます。その証拠に、外に出て、そこらを歩いている女子高生に手を当ててみてください。すると、たちまちお巡りさんがやってきて頑丈な部屋に入れられるでしょう、世知辛い世の中ですね。
と、冗談は程々に、女子高生に触れるという行為が現実的な行為かどうかはさておき、実際に触れること自体はできるんです。では"存在する"という差による"2次元との魅力の違い"はなんでしょうか。感触でしょうか、それともすれ違いざまに感じる優しい匂いでしょうか。または、実際に手を触れた際の肌のやわらかさかもしれません。結論から言ってしまえば、これら全ての現実感そのものが魅力でしょうね。そこに存在するということが、魅力へ直結しているのです。だいぶ理屈っぽくなったので、もっと簡単に言います。2次元の女子とはデート出来ないけど、3次元の女子とならデートできます。推しのアクスタを持ってお出かけしてる人もいますが、そういうことではありませんよ。存在し、現実であるということは、対面と対話ができるということです。いくらアクスタの推しに話しかけても返事はしてくれません。せいぜい、自分の脳内でだけです。しかし、もうそれは自分の言葉であり、相手の返事ではありません。月並みなことを言えば、想い合っているかどうかです。「○○ちゃんとは両思いでち」といううるさいオタクは落ち着いてください。
と、そろそろ"存在" "現実性"ということについてお分かりいただけたかと思います。この節では、制服というよりも女子そのものの魅力の話になってしまいましたね。ということで制服(とくに学校制服)にフォーカスを戻しましょう。

・ファッションとしての制服

皆さんはどんな時に制服を着るでしょうか。高校卒業以来着てないという人が非常に多いと思います。しかし、大学生や大人になっても制服を着る機会も決して無いわけではありません。
皆さんは「制服ディズニー」をご存知でしょうか。名前のまま、制服でディズニーに行くということです。実際にやったことはなくても、聞いたことや見たことはあるという人は多いでしょう。高校を卒業して大学生になったあと、制服を身につける必要が無くなったにも関わらず、あえて制服を着てディズニーに遊びに行くという人も結構います。指定の制服を着るというある種の義務や規定から開放されたにも関わらずわざとそれを着るという行為、普通に考えればおかしな話です。なぜなら、そもそもディズニーには高校生であろうが大学生であろうが制服を着て行く必要も決まりもありませんから。
では、あえて必要にない制服を着るのは何故でしょうか。それはずばり「ファッション」でしょう。我々人間はオシャレとして服を着るとくことが多々あります。季節に合わせたり、流行の色やアイテム、組み合わせなどを参考に今日は何を着ようかと試行錯誤します。しかし、人間というのは周囲の環境に適してた格好をしていれば生きていけるのです。暑ければ半袖や薄い生地のものを着ればいいですし、寒ければ長袖や熱い生地のもの、重ね着をすればいいだけです。にもかかわらず、我々は一定程度ファッションというものに気を取られています。周囲からの目線や自分への愛着から少しでも良く着こなそうとします。最近では、ファッションということ自体が周囲への適応となっているようにも考えられます。〇〇系が流行だから、〇〇色が人気だから、という世間での流行やそれを気にする人々からの視線や思われ方を気にし、それに適応する形で着こなしをしていると言えます。自分を可愛く見せたいためのファッションも、周囲の人々に対して自分をアピールするため=無関心な状態を克服して自分を良く見せるための着こなしです。ファッションとしての服装は自分が満足するための手段であるとともに、自分を周囲にアピールする(見せる=魅せる)ための手段なのです。これに当てはめると制服ディズニーもファッションです。ディズニーに制服で行くという風習のような流行のような考え方があるために、彼ら彼女は着る必要のない制服を纏ってディズニーに行くのです。また、制服ディズニーという概念の誕生により、ディズニー×制服という組み合わせがごく自然となり、ついには「一度度はやってみたい」というような憧れにもなり得たのです。周りがやっているからという環境的な理由の他にも、ディズニー×制服という1種のオシャレの方法が確立したのです。
他に制服を着る機会を挙げるならばコスプレです。こちらもキャラクターによっては高校生かどうかを問わず、あえて制服を着る場面があります。学園ものや日常系作品のキャラクターでコスプレをする場合は学校制服を着ることも多いのではないでしょうか。しかし、この場合の学校制服は"衣装としての制服"とも言えます。規定や規則のためではなく、キャラクターを周囲に示すために着ていますから。そして、こちらもまたファッションとしての制服になるのです。自分の格好が特定のキャラクターに倣っているということを周囲にアピールしている(理解してもらう)ための衣装ですから、こちらもある意味ではファッションと言えます。アニメや漫画にも流行はありますのでコスプレイヤー達は、「自分の好み」+「ウケのいい作品・キャラ」というものをベースに考えているでしょう。流行やウケの良さを追求しているという部分でもある意味ファッションなのです。そして莫大なジャンル・作品・キャラクターたちの中から、制服キャラのコスプレを"あえて"選ぶということは、上述した内容に当てはまります。とても無理矢理感は否めませんが、感覚的にはコスプレをするということもファッションの1種なのです。
この節のまとめとして、本来であれば必要のない場面であえて制服を着ることを選ぶ、ということを「ファッションとしての制服」としておきましょう。

・制服女子の魅力ってなんだろう?

長々語りましたが、結局のところ制服女子の魅力ってなんなのでしょうか。これは文字として書き起すにはすごく難しい問題です。なんだかんだ人によりけりな部分でもありますし、これまで書いてきた内容のように理論的ではないからです。あえて述べるのであれば、上述した「制服キャラのどこを見ているのか」の内容に通ずるところがあります。制服というカテゴリーが好きで制服のデザインや着合わせられるパーツの多さを見ているのか、制服を着ている女の子自体をみているのかです。前者のように、制服というカテゴリーで好んでいるのであれば何らこの文章とズレはないわけです。しかし、かわいい子が制服を着ればかわいいでしょうから、後者のような人々も間接的には制服女子が好きということになります。(普段は眼鏡をかけてない女の子がメガネをかければ"メガネっ娘"になり、眼鏡っ娘好きが満足するのと同じ。)そしてここが個人によるところであり、はっきりと区別できない部分であります。
しかしながら、我々オタク達は後者が圧倒的に多いのではないでしょうか。自分の好きなキャラクターが制服を着ていたら嬉しいですし、かわいいです。例外として"制服を着るようなキャラじゃない"という場合もあります。ムスカ大佐が学校制服を着ているのを喜ぶ人は少ないでしょう。よっぽどコアなファンだけです。しかし、こういう場合を除いて言えば、我々は「キャラクター+制服」または「キャラクター×制服」という具合に見ているのではないでしょうか。
なんだか分かりずらくまとめにくくなってきましたが、要は見た目です。極端に言えば、かわいいキャラが制服を着ればかわいいが、かわいくないキャラが制服を着ても響かないということです。

・まとめ

ではここまでの長い長いお話をまとめましょう。
「制服女子の魅力とはそのキャラクターの制服姿に対する価値観による」としておきます。制服姿に対してみんなはかわいいと言うけど、自分はそうとも思わないことだってあるでしょう。逆も然りです。結局は個人の趣味や価値観によるという話ではありますが、このように一つ一つの要素に分解して考えてみることも大切だと思います。2次元の制服女子と3次元の制服女子ではまるで異なりますが、見方や考え方としては共通する部分もありました。(流行とか見た目に対する価値観とか)2次元でも3次元でも同じ制服女子であるのに、違いがあって、その違いはなんなのかを少し大袈裟に考えたのが本文です。このように相容れない存在の共通点と相違点を考えて見ることが我々オタクには必要な行為なのだと思います。

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