"呪い"の二面性 ~のろい と まじない~【国士舘アニ研ブログ】
どもども、あねもねです。
卒論を書いている間に『呪術廻戦』が完結し、時の流れに焦りを感じています。
『呪術廻戦』を含め、呪術や呪物関係で何か書きたいなとは思っていながらなかなか書けずにいましたが、ようやく筆を取りました。
しばしお付き合い下さい。
サムネイル:プレミアムバンダイ 獄門疆販売ページより引用
"呪い"の陰と陽
『呪術廻戦』のヒットのよって聞き馴染みのある言葉となった「呪い」ですが、呪いにも実は色々あります。
この色々に関しては以前PENDが記事を書いているので読んでみてください。
→『呪術廻戦』と平安時代/PEND
PENDの記事でも書いていますが、呪術というものは時には占い、時には医療に使われていました。つまり、呪術の全てが悪い意味を持っているわけではありません。
『呪術廻戦』においては善と悪の対立でそれっぽく区切られていますが、やっていることは呪術による殺し合い、呪い合いですから結構おっかないことをしています。
しかし、これは呪術を"のろい"として扱っている面が大きいからでしょう。先に述べた通り呪術は悪い意味だけではありません。占いや医療にも使われます。シャーマンの祈祷、陰陽師の九字や「六根清浄、急急如律令」のように上位のものへ祈りを捧げて吉凶を占ったりお告げを聞くもの、心身を清めるために使う呪文や力があります。
悪意のある"のろい"に対してこれらを"まじない"としておきましょう。
"のろい"も"まじない"も同じく「呪い」と書きますから、性質的には表裏一体なのでしょうが、使用者の使う意識によってこのふたつの間を行ったり来たりするものと考えていいと思います。
いまいち「呪い」の善と悪が分からないという場合は、藁人形を想像するといいでしょう。藁人形と言えば、丑の刻参りが有名で、夜な夜な藁人形を五寸釘でうちつけている画を想像するかと思います。もちろんこれは"のろい"であり、悪の面です。
一方で、アフリカには呼称こそ異なるものの藁人形に非常に近いものがあります。現地の呼称に倣って呼ぶならば「ブードゥー人形」という名前です。こちらも"のろい"として使うものですが、反対に厄災や病気から守るためにも使われます。藁人形は釘を刺した箇所と同じ身体の部分に効果が出ると言いますが、それを逆手にとって、病気の箇所に呪い(まじない)をかけると、その病気が治るという訳です。ブードゥー人形を身代わりとして厄災や病気を断ち切る、これは"まじない"、善の面と呼んでもいいでしょう。
このように「呪い」「呪術」と言っても悪と善、陰と陽が存在するわけです。
呪物だって負けていない
せっかく藁人形やブードゥー人形というモノが話題として出てきたので、モノについても話してみましょう。
藁人形やブードゥー人形に近しいものであれば、ドルイド教のウィッカーマンが有名です。
人型の編み物の中に人や動物を入れて焼き殺すという代物です。要は生贄です。明確に誰かを呪うための物という訳ではなさそうですが、蛇足として取り上げました。
話を戻して呪物について取り上げます。呪物と言っても何があるのかちっとも分かりませんが、「コトリバコ」ならみなさんも1度は聞いたことがあるでしょうか。
こちらは旧2ch出身のオカルトで実在こそしませんが、非常に作りが良く、小さい子供なら騙せそうなくらいです。
この箱の実態は(実在しませんが)、動物の血と子供の遺体で箱を満たして閉じます。この箱はからくり箱になっていて簡単には開けられないようになっているらしいです。箱が完成したら呪いたい人に押し付けて生活空間に置かせるだけ。箱を送られた人は呪力で内蔵を損傷して吐血、死ぬというもの。
この箱はの呪いは子供と出産が可能な女性にのみ効果があるということから、一族を根絶やしにするために送られることもあるらしいです。オカルトですが。
では、実在する呪物にはどんなものがあるのかというのが気になるところです。
人形繋がりで「クマントーン」について紹介します。
タイではお守りや運気向上の効果がある人形として馴染みがあるようです。
クマントーン本来の作製方法が特殊で、亡くなった赤ちゃんや胎児、時にはその母親の遺灰や体液を土やハーブと混ぜ合わせて作り上げるらしいです。この製法は現在では気いしされているようです。
そして人形なだけあって、見た目も胎児を象っているものが多いです。
クマントーンに関しては以下の動画を視聴することをおすすめします。
・【呪物】タイの人気呪物「クマントーン」田中俊行の呪物コレクション
呪物というイメージこそないですが、お守りなんかも一種の呪物といってもいいでしょう。お守りは神仏の力を借りて家内安全や病気平癒を願うものです。我々にとって身近な”のろい”ではなく”まじない”としての意味がある呪物のひとつです。
このように、一般的には呪物としての認識がないものでも、スピリチュアルな意味合いを持って接していればある種の呪物です。良くも悪くも呪物は沢山あるのです。
今回は呪いの二面性について、主に呪物の方からアプローチしてみました。
『呪術廻戦』の流行も後押しして、呪術や呪物についての記事は書き尽くされていそうですが、個人的に触れておきたかったことなのでお付き合いいただきました。
ではまた。
《参考》
・ウィッカーマン-Wikipedia-
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ウィッカーマン
・映画『樹海村』公式サイト
https://jukaimura-movie.jp/news/
・【呪物】タイの人気呪物「クマントーン」田中俊行の呪物コレクション
https://youtu.be/yaEUdbEPrNk?si=E_BKOonNXjSFy5mY