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あらゆる媒体の天才フレーズまとめ【国士舘アニ研ブログ】

こんにちは。国士舘大学アニ研です。
各部員がありとあらゆる媒体から秀逸なフレーズ(主観)を引用して、それについて語る記事です。では早速。


「夏はそこにあって、少女はそこにいる。でも僕はどこにもいない。」

(『COMIC LO』2014年10月号(vol.127)より)

茜新社から刊行されている成人向け月刊漫画雑誌『COMIC LO』から表紙のキャッチコピーのフレーズです。
『COMIC LO』のキャッチコピーは一部で密かに好評なのですが、その中でも個人的に好きなこのフレーズを紹介させていただきます。

フレーズ前半の「夏はそこにあって、少女はそこにいる。」は対象が全て「そこ」にあるもの、すなわち客観視止まりの決して届かないものとして描かれており、それによってどこかノスタルジックな感情が引き出されるのではないかと思います。
しかし、その後に「でも僕はどこにもいない。」という強烈な一文で〆るのですから驚きです。安全圏から客観視してノスタルジックな感情に浸っていた読み手を唐突に文の主体とする事で完成されるこのフレーズは、「天才フレーズ」と言っても差し支えないのではないでしょうか。

最後に「COMIC LOの表紙キャッチコピーの一覧」なるものを紹介させていただきます。興味のある方は是非。

(書手:鯖主)


「夜が明けて陽が昇る時まで待つのも手じゃないか」

(暴太郎戦隊ドンブラザーズ キャラクターソング「空想談義」(猿原真一)より)

特撮のキャラソンということで特殊な出典(?)にはなりますがキャラソンならではの思想のこもった歌詞です。
「夜が明けるまで〜」や「明けない夜はない」みたいなフレーズは使い古されていますが、そんな中で「待ち」の一手を肯定するものは私の知る限りではこれだけです。押しの強い言葉を使わずにあくまで一つの提案としているのも相手の意思決定を「待つ」ことの実践として働いているように感じます。
全体的に猿原のキャラクター性を表現するとともに「待つ」ことへの意識が薄れている現代への投げかけとしてストレートに投げたなという印象です。

(書手:とり天)


「これは呪いか。それとも罰か。」

(NieR:Automata)

スクウェア・エニックス発のゲームタイトル「NieR:Automata」のキャッチフレーズ。
主人公として操作するキャラクターやその仲間たち、なんならこの作品に登場するほとんどのものがアンドロイドや機械生命体といった人間ではないものである。
本来、機械に心や感情はないはずであるが....とドラマチックな要素も盛りだくさん。そんな、本来は感情を持たざるものである彼らにとって、呪いや罰とは何なのか。本作を購入する際と、プレイ後ではその意味合いが大きく異なってくるはずだ。
みなさんは吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」を読んだことがあるだろうか。機械としての彼らは我々よりもいち早く、より実感としてこの問題に直面しているのかもしれない。哲学的でありながらも、とても親しみやすく触れやすい作品となっている。
それは"命"という1番我々に近い主題ゆえだろうか。

(書手:あねもね)


「2番目にイケてるヒトがいい」


(THE iDOLM@STER 「きゅんっ!ヴァンパイアガール」より)

「きゅんっ!ヴァンパイアガール」は100年生きてる吸血鬼の女の子が人間に恋しちゃったという内容の楽曲で、このフレーズは血を吸う人間の基準を歌っているものですね。
このフレーズの直後に「いいえヒトなら誰でもいいわ 贅沢言わない」とも歌っているので喉の乾きで背に腹はかえられない状態であることも描写されていますが、本心は「2番目にイケてるヒト」に向けられています。好きな人の血は吸えない、でも2番目のヒトは欲しい…というマセた女の子(100年生きてる”ロリータ”って言ってるし)らしい感情をこの短いフレーズに詰めているのはなかなかトンデモ技量だと思います。この時点で恋してる対象のヒトが歌われていない上で恋してるのが察せられますからね。

(書手:とり天)


「あ~あ 人生が5回くらいあったらいいのになあ!(中略)…それで5回とも…同じ人を好きになる」

(漫画「BLEACH」より 井上織姫)

中略なしでいくと「あ~あ!人生が5回くらいあったらいいのになあ!そしたらあたし、5回とも違う街で生まれて5回とも違うものをお腹いっぱい食べて、5回とも違う仕事して…それで5回とも…同じ人を好きになる」です。フレーズというには長い気もしますが天才すぎるので。
「生まれ変わってもまたあなたを好きになる」みたいなテイストのセリフも数多くある中でこのセリフが一際目立つのは比較を用いて主張を強調しているからでしょう。どれほど違う人生を歩んでもそれだけは変わらないという比較、それに加えて「どれほど違う」の部分を分解して列記することでさらに主張を強めています。めっちゃ修辞法。ともすれば凡庸なセリフとなってしまいそうなものでも表現次第で心への残り方が変わるいい例だと思います。
これは関係ない余談なんですが、生まれ変わりのあるBLEACH世界でこの発言するの結構ヤバでは?というとこもあります。

(書手:とり天)


「ねえ、ニンジンを追いかけちゃだめかな?」

(『CARNIVAL』より 九条理沙)

理沙(左)と学(右)の会話です。一瞬だけ名前を覚えて欲しいです。

これを読むにはひとつ前談が必要なので引用します。

(宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』についての話をした後に)
理沙「うーん、幸福ってなに?」
 (中略)
学「ガラクタ」
理沙「えー、幸福はガラクタなの?」
学「気に入らなかったら、違うものもある」
理沙「なに」
学「ほら、マンガとかでさあ、馬の頭に釣り竿つけて、先っぽにニンジンつるすでしょ。馬はそれを追いかけてずっと走るって」
理沙「うん」
学「あのニンジン」

『CARNIVAL』より

表現が秀逸とかいうことではなく、単に言ってることが好きなので選びました。
絶対に届かないものであると分かっていても追いかける。その態度こそが大切なものなのかもしれません。私もニンジンを追いかけていきたいです。

(書手:鯖主)


ということで、お気に入りのフレーズ紹介でした。書いてる方は楽しいので、そのうち第二回も書くと思います。

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