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【トトロ】ジブリde俳句第2弾【結果発表】

こんにちは。アニメ俳句部です!

先日、Twitterでとなりのトトロの場面写真で俳句を募集したところ、36名の方から投句がありました。

この記事では、いくつかの句を紹介するとともに、トトロ賞1句を発表いたします!

佳句ピックアップ

トトロ賞の発表の前にいくつかの句をピックアップしてご紹介します。

夕立はどこか運命的なもの   龍田山門
「夕立」という季語を「どこか運命的なもの」と定義しました。「運命的である」という断定ではなく、「どこか」と輪郭をぼかすことで人ならざるものとの不思議な出会いを匂わせているところが巧いです。

どんぐりや大人の知らぬパスポート   まんぷく
「どんぐり」という四音の季語+切字「や」+十二音という基本の型をきっちりやることですごく良い句になっていると思います。季語は作中にもたくさん登場する「どんぐり」。「パスポート」という言葉はエンディングの歌にもでてきますね。子供の手に握られているどんぐりこそトトロやまっくろくろすけに会うためのパスポートなのでしょう。トトロの世界観の核を十七音で表現できているところがすごいです。

村雨やニンゲンに声かけられて   でんでん琴女
「村雨」についてはおウチde俳句くらぶのページに解説がありました。

引用「村雨:にわか雨のこと。一般には無季だが、夕立と関連づけて夏の季語とすることもある」

とても勉強になりました。この句は、メイやサツキの視点からではなく、トトロの視点から「ニンゲンに声かけられて」と詠んでいるところが発想の逆転で面白いです。「ニンゲン」とカタカナ表記なのは、トトロにとってメイやサツキが得体のしれない未知の存在であることを表しているのでしょう。

夏山のヌシのかたちを知った夜   雨野理多
この句の「夏山のヌシ」というのはトトロのことだと読みました。夏山のヌシと出会ったとかではなく、夏山のヌシの「かたちを知った」というところまで言うことで読者は、それはどんな形をしているのだろうと想像をめぐらせます。「夜」の中におぼろげにトトロのシルエットが見えてきそうです。

雨粒の音の心地や七変化   土佐藩俳句百姓豊哲
写真のシーンでトトロは「雨粒の音の心地」を楽しんでいましたね。「雨粒の音の心地」がどんなふうであるかはあえて言わずに、下五の「七変化」という季語との相乗効果で読者にさまざまな雨粒の音を想起させる。巧いです。

さつきあめ隣人に貸す父の傘   嶋村らぴ
季語は「さつきあめ」。雨の中、傘を持っていない隣人に父の傘を貸す。忠実に写真の場面を再現しつつ、トトロを「隣人」と言っているところにサツキのやさしさを感じます。季語を「五月雨」と漢字表記にせず「さつきあめ」とサツキというキャラクターを感じさせる表記にしてる点も工夫が効いています。

トトロ賞

さといもの山あやかしの笑みひとつ   紅藤子
あの山はただの山ではなく、「さといも」が収穫できる山であると限定することで現場のリアリティが生まれます。「あやかし」はトトロのことですね。「笑みひとつ」という下五には怪しげな余韻を感じます。「あやかし」の笑みの意味や意図は、人間には計り知れしれません。「さといも」をたくさん食べて大人になったら、もう「あやかし」は見れなくなります。けれど、山はたしかにそこにあって、「あやかし」はいるのです、たぶん。

トトロ賞を受賞した紅藤子様には以下の『ステンレス トトロ タンブラー』を副賞として贈呈いたします。(アマゾンからギフトとして発送する予定です。のちほどDMで住所の確認を取らせていただきます)

謝辞

みなさま、素敵なアニメ俳句をありがとうございました。

今後もアニメ俳句部はアニメと俳句をかけあわせたイベントを開いていきます。

リクエストご要望等ございましたら、いつでも気軽にリプライやDMをお送りください。

ではまた。

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