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良い作品で人生が変わったりはしない

映画でも本でも舞台でも、何か一つの作品をみた影響で生き方が変わるほど、ひとりの人間の習慣や考え方を変化させるということは甘くないと思う。

そんなに簡単だったら、誰も人生について悩んだりはしない。

だから、作品だけからもたらされる感動は多くの人にとって一瞬のエンターテインメントだ。一晩眠って、次の日にはいつもの日常に帰っていく。

重要なのは、作品を小さなエッセンスにしようとする自分の考え方や習慣だと思う。

今日、昼過ぎに友人とLINEで話した。その友人が最近、同じ映画を5回も観に行ったと言うのだ。

YouTubeにアップされていた宣伝のための短いメイキング動画を観て感動し、それがきっかけで映画館に足を運んだそうだ。

その作品は「グレイテスト・ショーマン」

友人とその映画の話をしたのは一瞬で、すぐに話題は他に移ってそれきりだった。LINE通話を切った後、しばらくしてからメイキング動画のことを思い出して夕方頃にYouTubeを見てみた。

その動画を見終わって、即、ここから一番近い映画館の最終上映時間に間に合うことを確認して家を出た。

グレイテスト・ショーマンはとても良い作品だった。本当に良い作品は、始まりから安定して引き込んでくれる不思議な魅力がある。

ただ、最初に話した通り、とても良い作品だったとしても、それがきっかけで自分の中の何かが大きく変わるなんてことはまずない。

私が明日でも明後日でもなく今すぐに映画館に行こうと決めたのは、少しでも良いエッセンスを自分の中に日々取り込むために、即行動できることを自分の中で当たり前にしたいからだ。

それは、仙台からここに引っ越すことを決めたときに体感で学んだことだ。

当初、区切りが良いからという理由だけで引っ越し日を4月1日と決めて、ゆっくりと移動の予定を立てていた私に対して友人が「なんで最短で動かないのか」と聞いた。私は何も答えられなかった。

当初の予定にとらわれず、日々より良い状態に自分の身を置くために、できる限りアップデートを繰り返すべきではないのかと言われ、この感覚を自分の中で当たり前にしようと決めた。

美しい曲、素晴らしい舞台、前衛的な絵画に感動しても、素晴らしい人の話に涙しても、結局は自分自身の内側から湧き出して、それについて自分で何とかしようと考えて、日々行動を繰り返して体感を積まないと何もならない。

ただ、グレイテスト・ショーマンは本当に良い作品だった。

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