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欧州のドラマは楽しい【服装編】

英国のミステリードラマを見るのが好きです。物語も好きですが、登場人物の装いにも興味をもって見ています。

例えば名探偵ポワロに登場するミスレモンの装いはいかがでしょう。時代設定は1930年代とのこと。時代設定を踏まえて、美術面などでアールデコ風の世界観が作り出されていますし、ミスレモンの服装もそのようになっています。

1930年代英国の職業婦人の装いを知ることが出来るのです。職業婦人とはいえ、ミスレモンのパンツスタイルなんて見たことがありません。お帽子も手袋もされていますし、鞄も大きくありません。あの装いを今したとしても全く問題ないどころか、素敵なのです。

ミスレモンを眺めながら思うのです。同じ1930年代の日本女性はどんな服装だったのだろうと。丁度モガ(モダンガール)と呼ばれた女性たちがミスレモンと同じようなスリム&ロングドレスという服装で銀座をかっ歩していた様です。

大正末期から昭和初期の日本女性もお洒落でした。写真に残っているお嬢様方は想像せずとも富裕層のご令嬢等の可能性も高いですが、この年代正しく洋装文化を取り入れていたのだとミスレモンと比較するだけでも推測することが可能です。

その後「刑事フォイル」が活躍する時代となります。戦時下ということもあり、色合いに派手さはありません。とはいえ、登場する女性たちは全員スカートを履いています。貴族女性は勿論、軍部で働いている女性も全て。

その頃の日本は「欲しがりません、勝つまでは」の合言葉と共にモンペになっておりました。NHKドラマ白洲次郎が時代的に重なりますが、正子夫人がどのよう装いだったのかさっぱり思い出せません。が、このモンペスタイルの登場でモガから始まった日本の洋装文化が一度途絶えたと考えてもあながち間違いではないと思います。

当然のことながら英国他洋装文化の国々は脈々と親から子へ、子から孫へと装いの文化は受け継がれました。結果、普段はTシャツとジーンズでもパーティ時はドレスというTPOをわきまえた装いが出来るのではないでしょうか。

そして、日本はモンペ文化を親から子へ、子から孫へ引き継ぐはずもなく、新たに洋装文化を取り入れたのです。主に米国の軍人さんから。

時々フランスの現代ミステリー「アストリッドとラファエル-文書係の事件簿-」も見ます。やはり日本とは装いが違います。アリストリッドはブラウスにセーターとトラウザーとうなんてことのない服装ですが、セーターの色が素敵だなぁと思ってみています。

不相応にドレスダウンしているがゆえに無礼ということはあるけれど、ドレスアップし過ぎは多少恰好悪くても失礼にはあたりません。どんな装いがふさわしいかわからないときは、「ジャケットを着なさい、パンプスを履きなさい、そして、胸を張って、堂々と、自信たっぷりに振舞いなさい」とアドバイスしています。

上記はとある書籍からの引用なのですが、刑事のラファエルはしっかりとジャケットを着ています。現場に出て様々な人から話を聞くラファエルは相手に対して非礼があってはならないことを知っているのでしょう。

こうして、異国のドラマからは晴れの日の装い、ケの日の装いといった装いの塩梅を知ることが出来ると思いながら見ています。日々是学ですね。


今回のnoteをかくきっかけになったnoteはこちらです。

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