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コロナとアマビエと魔除の文様

今、新型コロナウイルスによる影響はとどまるところをしりません。WHOのパンデミック宣言が出され、株価の暴落など世間は大変なことになってきます。
通訳ガイドの仕事も軒並みキャンセルが続き、がっくりな日々が続いています。このコロナ騒ぎ、早く収束しないものですかねえ。

先の見えない時、人は何かに頼りたくなるものです。科学のすすんだ現在でさえそうなのですから、昔であればなおさらです。
最近、話題になっている妖怪がいます。「アマビエ」といいます。聞いた事あるでしょうか?アニメの「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターでも登場しています。

元ネタは江戸時代後期の瓦版から。
弘化3年4月中旬(1846年5月)肥後国(今の熊本県)に光り輝く海から現れ「疫病が流行したら、私の姿を描いた絵を人々に早々に見せよ」といって海中に帰っていった。というものです。(wikipediaより)
その話がSNSで拡散され、コロナウイルスが拡大しているここ数週間、ツイッター上でアマビエの絵の投稿が急増しているのだとか。この絵を見ることでご利益が得られればよいのですが。(しかしこの瓦版では、絵を人々に見せよと言っているだけで、見たら疫病が収束するとは言っていないのが気がかりです)


疫病から身を守るために、古来から人々は様々なことをしてきました。
私は仕事柄、北海道のアイヌ文化について話す機会が多いのですが、アイヌの人たちも疫病、悪い神様から身を守るために色々なことをしてきました。
アイヌの服の裾や襟には独特な模様がついています。アイヌ文様というのですが、これは衿や袖、裾など外に開いた部分から疫病などの邪気が入ってこないようにするためだそうです。渦巻き状や棘状になった模様があり、これが悪いものから守ってくれるというのです。アイヌの衣服は、オヒョウの木の皮から作られ、さらにこの文様の刺繍をして仕上げられました。家族の健康を守るため、アイヌの女たちは手間暇をかけて美しい刺繍を縫いました。

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着物にも魔除の文様はあります。麻の葉、南天、ウロコ、籠目の文様などです。こうした文様の着物を着ることで邪気を遠ざけ、身を守ることができるといわれていました。
麻は成長がとても早く、鬼が嫌うとされています。麻の葉のように丈夫ですくすくと子供が育つように子供の着物の柄に麻の葉はよく取り入れられました。
南天は「難を転じる」から厄除けに使われました。ダジャレかよ!という突っ込みが入りそうですが、日本の慣習にはそうした言葉遊びの要素が多々含まれています。六つの瓢箪を並べた柄も無病(むびょう)といって厄除けの柄です。
三角形を重ねたウロコ模様は、魚や蛇の鱗を連想させます。蛇は脱皮を繰り返し、厄を落として再生する象徴とされました。その模様は江戸時代に厄除けの文様とされたそうです。
さらに籠目の文様。竹などで編んだ籠に見られる六角形の模様です。悪霊は見られることを嫌ったということから、「目」のように見えるモノを家の前に置き、厄が入ってこないようにしたということです。籠目の文様のお札が玄関の前に貼られているのは、ここからきたそうです。

今も昔も、はやり病が怖いのは一緒。人々はその時のできうる限りの知恵を集めて恐ろしいものと戦ってきたのですね。どうか、現代の疫病も一刻も早く鎮めることができますように!


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