格ゲーの衰退は格ゲーマーの責任か?
格ゲーをちゃんとやっている人は今ほとんど相手にしない話ですが「格ゲー衰退論」というものがあります。これについて否定的に論じてみます。「モダン入力」を考察する記事に書こうと思ったけど、長い&全く本筋でないために独立した記事として書くことにしました。
これはこれで格ゲーが衰退したことにしたい人を不快にさせそうな話ですけども、読みたくないなら読むなよ? ちゃんと言ったからな?
「あなたみたいな人のせいで格ゲーは衰退した」
モダン入力についてトンチンカンな叩き方を某所でされて反論した際、捨て台詞のように言われたのが、だいたい上のような文章です。一応noteのネタにはなるかなと思い直し、前々から思っていたことを書いておきます。
この「格ゲー衰退論」は大昔から匿名掲示板で使われており、よくまとめブログなんかにも引用される論法で、その原因をプレイヤーのせいだと言い張る一群の人々が居ます。「格ゲーが衰退したのは性格の悪いプレイヤーのせい」と格ゲーマーの人格否定をしたいらしいのですが、他の要因を論じるならともかくこんな話を真に受けて人に開陳すると恥をかきます。僕個人の性格が悪いことは全く否定しませんけどね
仮に格ゲー制作会社のマーケティング担当になってこんな根拠のない話を上司に提出したら言うに事欠いてお客様のせいにするとは何事だと180%のガチ怒られが発生すること請け合いです。
まず個人レベルで否定しておきましょう。
僕が格ゲーを始めたのはスパ4の終盤、2013年後半です。その頃にはとっくに格ゲーは衰退してましたね。おわり。むしろ衰退した格ゲーをプレイしてスト6まで繋ぐのに貢献した側なんですよね。褒めてほしいぐらい。
そもそもスト5は700万本を売り上げたらしいですが、これって衰退してますか? スト2の合計超えてるし、むしろワンチャン盛り返してませんか?
「でも最盛期にスト2は社会現象だったのに今はそんなことないじゃん」と強引に反論する人が居るかも知れません。でも考えてもみてください。最盛期から比較したらそりゃ何だって「衰退」です。90年代の格ゲーブームが異常だっただけです。
例えばたまごっちブームが去ったことをたまごっちプレイヤーのせいだとか論じるのは的外れでしょう。タピオカブームが去ったのをタピオカ飲んでる人のせいにしたら正気を疑われます。スキーブームが去ったのはスキーヤーのせいなんですかね。言うまでもなく大間違いです。
しかし、不思議なことに格ゲーだけは何故かこの論法が罷り通ると思っている人がいるわけです。しかも格ゲーをそれほどやらない人に限って。
まぁ格ゲーがたまごっちやタピオカと違うのは対戦相手がいるということですね。その特徴に着目しすぎて相手のせいにしちゃう人が続出したのかもしれません。
僕はスト4を買い、スパ4を買い、ウル4(PS3/PC両方)買い、スト5(PS4ディスク版/PS4 DL版/PC版の3つ)を買い、ほぼやってませんがKOF98UM、2002UM、KOF13、アルカナ3LOVE MAX、鉄拳7も購入しました。相当格ゲーの売上に貢献したほうです。その間、格ゲー衰退論者は格ゲーのために何をしてくれていたのでしょうか。
真相は全く正反対だよね
たまごっちブームは去りましたが、実は2023年現在も最新作が出ています。
ブームが去った今でもたまごっちが売られているのは、メーカー側の企業努力のおかげ、そして何よりたまごっちにお金を出すユーザーのおかげです。
同じように、スキーブームが去ってもスキー場が残っているのは現役のスキーヤーやスノーボーダーのおかげですし、タピオカがお店でまだ買えるのは今もタピオカ飲む人のおかげです。
「格ゲーが衰退したのは性格の悪いプレイヤーのせい」というのは全く逆です。「格ゲーが今も残っているのは格ゲーにお金を払いプレイし続けてきたプレイヤーのおかげ」なのです。百歩譲って格ゲープレイヤーの性格がありえん悪かったとしても、彼らがお金を出さなければ絶対に格ゲーは残らなかったのです。
この構造はどの業界でも同じです。ZEEBRAというラッパーは「STREET DREAMS」という曲の中で「すべて支えてきたヘッズ達」と歌っています。日本のヒップホップを支えてきたのは何よりヒップホップにお金を出して聴いてきたファン達(ヘッズ)であるということです。
ブームが去った後も生き残ったたまごっちやスキー(スノボ)はある種の文化になったと言えます。格ゲーも同じで、ゲームの1ジャンルとしてかなり定着したと言えます。いいじゃないですか、ブームじゃなくて文化で。将来も文化として残るとは限りませんが、そこは純粋にメーカーの努力の範疇です。
勿論、格ゲーが今も残っているのはプレイヤーのおかげだけではありません。スタートで盛大にコケて「もんじゃ」と言われながらもスト5を出してくれたカプコンさんのおかげ、無理矢理にでもスト5を出すよう力を尽くしてくれた小野さんのおかげ、そして「もんじゃ」を立て直してくれた中山ディレクターはじめ多くのスタッフのおかげでもあります。
彼らは今、スト6に対して本当にあらゆる工夫を散りばめて新規を取り込もうとしています。こういうのがメーカーの努力ってことですね。
そういった格ゲー業界の発展だとか初心者の取り込みだとかメーカー側が心配すべきことを、プロプレイヤーでもないいちユーザーなのに心配する人も居ます。聖人君子です。純粋にすごいとは思いますが僕には無理です。
ですが我々格ゲーオタクのおじさんたちだって、スト6までバトンを繋いだという点でじゅーーーぶんに役割を果たしたじゃないですか。
だから僕はこれまで通り、自分らしく対戦に取り組むのみです。何ならスト5同様、文句言いながらつまんなそーに一生スト6をプレイしているかもしれません。それを見た潜在的新規プレイヤーがどう思うかとか、今更すぎて正直どうでもいいです。
僕は捻くれてるんで、仮にたまごっちオタクが「たまごっちマジつまんねー…」とか言いながら一生たまごっちやってたら逆にちょっとやりたくなってしまうと思います(笑)
これが俺のスタイル、俺のヴァイブス、でも誰でも真似できる俺の格ゲーライフってわけです。全方位に感謝して進む荒れたスト6ロード。
この記事を読んだ格ゲー勢じゃない人が、格ゲー衰退論など所詮誰かの願望に過ぎないということを理解してくれれば嬉しいです。
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