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"請け"現場 その②



「これで見積もりお願いします」、
と言われたその日から、喜びと緊張と不安で、ソワソワソワソワ過ごすこととなる。

LINEで来た資料とひたすら睨めっこ。
住所を確認し、処分場を探す。
ダンプをレンタルできる所を探す。
解体の単価を探す。
そもそもの、見積もりの出し方を探す。

3日後にはさっそく現地調査へ。
佐賀は遠かった。
民家の駐車場の土間コンクリートのハツリである。
写真のまんまである。
意味もなく土間をコンコンなんて叩いてみたりする(解体屋がよくやるやつ)。
ただ、広さを実感して、イメージしなければならない。
何日で何人いるのか。
3時間以上かけて行ったが、うだるような暑さ。
どれだけ見ても変わらないので15分かそこらで現場をおいとまする。

そうして家に帰ってきた。
帰って来てから再び知り合いに電話しまくる。
見積もりの出し方を聞く。
平米やら立米やらでちんぷんかんぷん。
写真を見てもらって、どうやって解体するか聞く。

出た意見としては、
1. ブレーカーで2人ではつれば1日でハツリは終わるんじゃないっすかね←絶対来れない人
2. 周りの縁切って、重機でパカパカ上げれば1日仕事っしょ←来れるかどうか分からない人
3. 俺1人のブレーカーのハツリで、1日で終わるっしょ←来れると言ってくれた人

これは来てくれると確約してくれた人と一緒にやるしかない。
ハツリで1日、ガラ出しで2日3日みとけば、いけるだろう。
ということで、その人工を元に計算していく。

当たり前田のクラッカーだが、儲けは出さなくてはならない。
ただ、高く設定しすぎて、仕事を断られたらどうしよう。
今は仕事がない。
佐賀でもどこでも、仕事が欲しい。

フリクションで何度も書いたり消したりを繰り返し、1日は過ぎゆく。
「儲けを出さなければならない」と、「断られたらどうしよう」の狭間で、ストレスの海に溺れていた。
お腹は痛いし、夜は眠れない。

教会のおばちゃんはこう言った。
「香ちゃん、断られたらその時はその時よ。そんなストレス抱えてたら身がもたないよ」。
相棒はこう言った。
「とりあえず自信持って高く見積れ笑」。

どっちのアドバイスもありがたかったが、
結局のところ、
体を震わしながら、
自信無く低く見積もることとなる(アドバイス全然聞いてない)。

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