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【彼と彼女のものがたり】side O

「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり

現実の光と闇を行き来しながらも

お互いの存在を意識しながら

共に生きていく。
《仮面》〜side  O〜

「薫だって店で仮面つけてるって
知ってるよ??」



(そりゃあそうでしょうよ?
っていうか
じゃなきゃ接客なんてやってらんないし。)

(でも。
そのまんまの自分なら、
どうなるだろう。。?)

確実に売り上げは下がるなぁ。。

離れる客もいそうだし。。

立場的にも示しがつかないかも。。


仮面はもういらないと思いながらも、
顧客管理上のリスクを考えてしまう癖は
なかなか抜けなかった。



でも、このまんまじゃ
中途半端すぎて
気持ち悪い。。


やるか、やらないか
どっちかしかない。

やってだめなら
変えればいい。




薫は自分のメニュー価格から
見直しをはじめた。

薫にとっては
ゼロスタートみたいなものだ。


会社に決められたものではなく、

まずは、

自分で自分に
値段をつけようと思ったのだ。

相場やコストも気にしないわけではないが、

薫が優先したかったのは

「自分の仕事の価値」だった。





「俺、吉牛なんだよ」

「はい???」

「早い、安い、巧いってやつ」

「なるほどねぇ。。」


颯太とは
かなり
突っ込んだ話題も
話すようになっていた。




技術サービス提供は
時間単価がついてまわるものだ。

わかりやすいのが10分 ¥1000
みたいなものだ。

実際のところは
かなりギャップがある部分とも
言われる。


定められたものなど
本来はどこにも存在しない。


ある意味
オープン価格で
自由でもある、と言える。



薫はそこを分解して
組み立て直そうと思っていた。



「薫とは
また違うかもしれないけど。

自分のスタンスを
どこに置きたいのか、かもな
結局は。」


「颯太さんなら、
もっと高くてもいいんじゃない?
素人が聞いても
安くてびっくりする。。」

「ん〜。。
俺10年位、設定変えてないんだよ。
面倒くさくて。
だからオーダーが入りやすいみたいな 笑
お値段以上だよ、俺って 笑」

「それって
自信がないと出来ないでしょう??」

「そこはもう積み重ねなんだろ〜なぁ、、
ちっさい信頼を重ねるしかない
とこじゃない?」

「薫だって
キャリアあるなら
もうカラダで知ってると思うけど?」

「うん、、」

「アタマが邪魔してる気がするの」

「出たよ、理論好きが。」

「薫がしたいこと、してみなよ。
俺はいいと思うよ?」

「薫だからやって欲しい人は必ずいるよ。
俺が生き証人だもん」





(今まで、を気にしてたら
何にも出来やしないしな。。)

(とりあえず、
やってみるかぁ。。)


薫は出来るところから
価格変更をはじめた。


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