見出し画像

【彼と彼女のものがたり】side O

「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり

現実の光と闇を行き来しながらも

お互いの存在を意識しながら

共に生きていく。
《鏡》〜side O〜

薫は
連日のサロン対応に追われていた。


STAY HOME週間を過ぎても、

設備、運営を変えながらの
サロン営業は

(理解されるまでは
時間がかかるな、、)
と思っていた。


「おもてなし」のサービスの
取り止め

人数調整の為の
予約コントロール

お客様への説明対応 etc...


こちらが変化しても
「前例」を引き摺るお客様達に
疲労困憊しながらも


「社会的変化は
人を不安にすること」
を目の当たりにしていた。

予想通り、
サロンの売り上げは
激減した。


瞬間的に
苛立ちを覚えることも多々あったが、
(ひとつひとつ向き合うしかないなぁ)
と思っていた。




反面で、

営業時間短縮で
自分の時間が持てるようになってもいた。

(やりたかったことをやれる!)

薫にとっての「コロナメリット」だ。


興味のあった
タロットリーディングの講座を受けたり、
自炊や、暮らしを整えていくことに
時間を費やせるのは
有難いことだった。




「やっぱり…ヒマになったの??」

「極端すぎて
笑えるくらい
暇だよ〜苦笑」

「でもなぁ、、
髪は生きてれば伸びるもんなぁ、、」

「快、不快の選び方が
真っ二つに割れてきてるかもね」


颯太もこれまでより
余裕ができて
リラックスした様子だ。

「一応
毎日弾いてはいるけどね。。

ミュージシャンって
家の作業の方が多いから
あんまり変わんないし。。。

スタジオに入れないくらいでね。」

「耳のお休み、、だね」

「ま、そんなとこかな」


颯太が難聴なのは
薄々知っていた。

(一般とは比較にならない音量の中で
高低をすくい上げる繊細な聴力の機能は
懸念材料なんじゃないか??)

おそらく、
颯太本人が一番そう感じているのを
薫は感じていたのだ。




薫にとって
タロットを学ぶことは
日常に幸せを見出すヒントになっていた。



美容室はある意味では

「愚痴の宝庫」でもある。

断片ではあっても、

ありとあらゆるお話が入ってくる。

同調や共感だけでは

闇に引き摺り込まれる環境



そんな中で
ひとつの光を見つける
ツールになっていった。



(愛あるコトバを使えるようになりたい)

薫はそう思っていた。





「先輩に年表作ればって言われてさ。
書き出したけど、
いろいろ書くことありすぎて困ってる…」

「見える化!!大事〜」

「半年スパンとかなら
私もやるけど、、、
年表はまだトライしてないなぁ」

「颯太さんの、
すごそう 笑」

「んー
クレジットされてないのも入れたら
150以上あるからなぁ、、」

「仕事とプライベート分けないと大変かもね」

「結局はごっちゃになるけどねぇ」



後に、

これが役立つことになるとは

この時の二人には想像できなかった。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?