4000年後という時間

23時を過ぎたころでした。息子とだらだら話をしているうちに、自殺をしたら輪廻転生出来ないという話になったのは。私は息子に「自殺をした人は現世には戻れないらしいよ?」って言ったら、彼は「それじゃ人が足りないでしょう」と返して来た。
「自殺率は高いし、少子高齢化は進んでいるし、あながち戒めとかで言われているとは思えないんじゃない?」って言ったら息子は「でも、世界の人口は増えているんだよ?」って。
「ただ知っている?自ら命を絶つことは昔からとても重たい罪だったから自殺をした人は4000年間落ち続けるらしいよ?」と、息子が言う。
落ちる…とは、なんだろ。輪廻転生出来るのは4000年後という事か。ほとんど、それは輪廻転生出来ないという事に近いんじゃないのか?
もしも、今現世に生まれた人が例えば自ら命を絶った人だったらその人は4000年前の人…紀元前だな。中国4000年の歴史もびっくりだ。

そんな事を考えながら息子と話を続けていたら、いつのまにか0時を過ぎてしまう。
『自殺者は輪廻転生出来るのか?』って話はいつのまにか罪を犯した人は落ち続ける前提になり、「自殺者がこんなに多い時代だから、それならみんなで一体化したら落ちる速度は速くなるんじゃないか?」って息子は言う。
私は、逆に「年末年始の帰省ラッシュ並みに渋滞しているんじゃないか?」って返した。
0時はとっくに過ぎているし、話は曖昧に終わったはずだったけれど、翌朝再びこのネタで盛り上がる。息子が「重たい罪を犯した罪人はさらに落ちる年数は長いんじゃないか?」と言ってくるから、「そうだね、1億光年の孤独くらいじゃない?」って返したら…
暫くして食事を終えた息子から一言「1億光年ってそれ、光の速さだよ」と言い残して部屋へ去っていった。ダイニングには朝食のパンとコーヒーの香りだけ漂い、静まり返っている。
#お話
#息子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?