あんクリ小説版/いろり庵のあすかさん-1

「あんこちゃんとクリームくん」小説版

■ （１）あすかさんと僕たちは家族

あんこちゃんと僕が
暮らしているたい焼きやいろり庵は
あすかさんがひとりで切り盛りをしている

本当はあすかさんのおばあちゃんの
ふじえさんがやっていたのだけど
ふじえさんはもういない
突然の病気でいなくなって、
まわりの反対を押し切って
あすかさんがお店を引き継いだんだ

あすかさんにはお母さんがいない
ふじえさんがお母さんの代わりに
育てたんだ
あんこちゃんと僕のレシピも
ふじえさんが作った

あすかさんは小さい頃から
ふじえさんのすそをつかんで
ずっとお店で見てたけど
見るのと作るのは全然違くって
とても苦労をしたみたいだ

あんこちゃんをつくるための
ひとつまみの塩はふじえさんの
ゆびのひとつまみによるものだったし
僕が焦げないように銅鍋でかき回し
続けるのもふじえさんの力加減だったから
元通りのあんこちゃんと僕になるまで
大層時間がかかって、僕たちも
自分ていうものが分からなくなって
ちょっと中学生になったら
急に素直じゃなくなる近所の
子どもたちみたいな気持ちになった

ふじえさんがいなくなって、
ひとりぼっちになったあすかさんにとって
僕たちはふじえさんの面影で
大切な家族なんだって思った

今日もあすかさんは楽しそうに
働いている

つづく

◇◇
「あんこちゃんとクリームくん」では、
えほんにしたいお話を書いていきます
こちらはクリエイターの皆さんと一緒に
話を作っていきたいと思っていて、
絵を描いて下さる方、お話を書いて下さる方を
募集中です
えほんやラジオドラマ等にもしていけたら
楽しいだろうなあと思っています

本編はこちら

「いろり庵のあすかさん」は
少し大人向けのものがたりを
書こうと思ってます
みんなでえほんを作る上での世界観や設定の
共通化を図れたら良いなと思っています

クリームくんの目線で、
あすかさんのこと、
あんこちゃんのこと
いろり庵のある街のこと、
人たちのことを描いていきます

あんクリ製作委員会 原作 りようより