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祖母のはなし 2

祖母のはなしの続き。
1を読んだ方がわかりやすいです。

今回のはなしは続きで少し進展があったため、記録に残しておこうと思う。
あれからがんは順調に祖母の体を蝕んでいっていると思う。と言っても私の目にはいつもの祖母が映る。しかし、この前会いに行ったら、前回の時よりも痩せていて、何事にも億劫になってソファに寝転がっていた。そんな祖母の小さな体からは酸素の管が伸びていた。その光景はまるで日曜日の午後14時からやる密着番組を見ているような非現実的な光景だった。そんな祖母は相変わらず口がよく動くようで、姉と私を笑わせる。それを強がりだと捉える人は何人いるだろうか。少なくとも私の目にはそのようにあら映らなかった。純粋に私たちがきたことに喜んでいるような感じだった。
祖母と姉との3人でのおしゃべりは楽しくて、ずっと続けばいいのにと何度思っただろう。
私は学校があったので途中参加したが、その前に姉は祖母に聞いた様だった。
このまま在宅医療に入っていいのか。それとも抗がん剤を打ち続けるのか。
私たちはもちろん抗がん剤治療を続けてほしいと思っていることも。
祖母の解答は意外なもので、抗がん剤治療を受けたがっているようだった。
孫に対してのただの強がりなのか、それとも本当にそう思っているのか。真意は分からぬままだったが、死ぬという考えはないように思えた。
ひとまずそれに安堵した。

私は花を買って行った。少しでも心が晴れるように。
姉はお茶を。そして来週は酸素ボンベを持ちながら公園を散歩しようと約束をした。


そして気がついた。
前の記事で私は、私たちに何ができるだろうと締め括ったのだが、こういうことが私たちにできることなんじゃないか。と。
つまらなくならないように、暗くならないように花を買って行ったり、水分を取るのが楽しくなるようにちょっといいお茶を買って行ったり、足腰が弱らないように酸素ボンベを持って一緒に散歩をしたり、話し相手になってみたり。そういう些細なことでも私たちが役に立てるのなら、なんだってやるのに。少しでも一緒にいることが私たちにできることなんじゃないかな。

今まで、自分が臆病で、現実を受け止めるのが嫌で逃げていたけれど、この数時間でものすごい濃厚で後悔のない時間を過ごしたと思う。もしあの時、学校が終わってそのまま家に帰って、ただゲームをして過ごしただけなら、大切なことに気がつけなかったのかもしれない。私はこの経験を忘れることはないだろうなと思う。後悔はないように生きたいと初めて思った。
私は今この記事を書きながら、涙が止まらない。
きっとこれから良い方に転がってもそうじゃなくても、祖父と祖母の何気ない会話を思い出しては込み上げるのだろうなと。

もう一度、父と祖父母には話し合ってほしい。
父に後悔がないように、後悔をしないように生きてほしいと思う。
あの時、この時はもう遅い。

そう思わない?


多分続く。

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